平成30年に20周年を迎える宮崎高級マンゴー「太陽のタマゴ」の話

皆さまこんにちは。

オージーフーズの青果担当最年長(66歳)の杉本です。最年長でもブログで青果の話を皆さまにお伝えできる!良い時代ですね。

今日のテーマは、春から夏にかけて人気の果物・マンゴーの中でも国産品で最高級に評価が高いと言えるマンゴー「太陽のタマゴ」について詳しくお話し致します。

実は、平成30年の今年、あの「太陽のタマゴ」が20周年記念を迎えるんですよ!

平成30年に20周年を迎える宮崎高級マンゴー「太陽のタマゴ」の話

青果の道40年の男から見たマンゴーとは

まずは、青果業界に40年以上携わってきた私から見たマンゴーという果物についてお話しいたします。

ここ数年スイーツなどに使われ人気が高まり「マンゴー大好き!」と云われる方が多いと思いますが、中にはあの匂いが苦手と云う方も結構おられるみたいです。独特の甘い~香りが特徴の漆科(うるしか)の果実です。

海外からの輸入物を含めますと、凡そ3月位から8月末位までいろんな種類のマンゴーに出会えますね。海外での生産量の多いのが、1位はメキシコ2位がタイ3位がフィリピンで後台湾、ブラジルなどが続きます。

マンゴーは品種がかなり多く覚えきれない位です。

多種多様な外国産マンゴー

外国産は各国それぞれ特徴のある品種がみられます。

メキシコはアップル系、タイはナムドクマイやマハチャノク、フィリピンはペリカン、カラバオ種、台湾はアーウィン種などが有名です。

又、インドはアルフォンソマンゴーなども有名です。

赤く人気の国産マンゴー

逆に国産を見るとほとんどがアップルマンゴー系のアーウィン種です。

国産マンゴーの生産量は1位が沖縄県、2位が宮崎県、3位が鹿児島県、4位が熊本県、5位が福岡県と九州が圧倒的に多いです。

でも最近は日本中で栽培される様になってきました。特に国内産マンゴーでは今まで考えられなかった産地でも栽培されています。それは北海道でも生産しており、なんと真冬の12月にクリスマスマンゴーとして出荷しています。

アーウィン種は元々台湾から沖縄(石垣島)に渡ってきたと云われていますが、見た目の表皮がリンゴの様に赤が濃く比較的丸い形からアップルマンゴーとも呼ばれています。

味の特徴は召し上がった事の有る方なら既にご存知の様に、甘味が強く、程よい酸味があり、滴る果汁、その上甘く上品で芳醇な香りが特徴の正に高級果実の代表と云えるのではないかと思います。

国産マンゴーの中でもとびきり高級なマンゴー

国産マンゴーでは皆さんよくご存知のマンゴーと云えば、宮崎県産完熟マンゴーだと思います。

私もこういった青果の仕事を長年やっていますので、結構マンゴー自体は食べる機会も皆さんよりは多くあるかもしれませんが、この一品だけは本当に年に何回もあるわけではありません。輸入マンゴーが苦手な私ですが、国産マンゴーのアーウィン種は大好きです。

又、日頃あまり私の側に来ない我が家の娘達も国産マンゴーを出すとあっという間に側に来て美味しそう食べてしまいます。

たいようのたまごとは

平成30年に20周年を迎える宮崎高級マンゴー「太陽のタマゴ」の話_太陽のタマゴ実

そんな大人気の宮崎県産完熟マンゴーの中でも、最高級のマンゴーといえば「たいようのたまご」と呼ばれているマンゴーです。

呼び名を文字で表すと①「太陽の卵」②「太陽のタマゴ」③「太陽のたまご」と色々ありますが、正しい表記をご存知ですか?

正解は②太陽のタマゴです。タマゴはカタカナで全て統一されています。

宮崎県産マンゴーの歴史~太陽のタマゴ20周年~

宮崎県産マンゴーの歴史は今から約30年位前にさかのぼります。

1984年にJA西都(さいと)の方が沖縄出張で出会い、宮崎に持ち込んだのが始まりと云われています。

2軒の農家さんからスタートして8軒まで増えたのですが、毎年試行錯誤を繰り返しながら温度管理の技術や栽培方法を進化させてきた結果、1993年に「宮崎は一つ」を合言葉に県内のマンゴー生産農家約280名で「宮崎県果樹振興協議会亜熱帯果樹部会」を発足させました。

完熟宮崎マンゴーのブランドの確立をめざし、約20年前位前の1998年に糖度、大きさ等の基準等の厳しい基準を設けて、完熟マンゴーから「太陽のタマゴ」のブランドを作り上げました。

この「太陽のタマゴ」の出現により国産マンゴーでは生産量で2位にも拘らず、国産の完熟マンゴーと云えば宮崎県と云うブランド地位を確立しました。

現在ではJA西都以外に県内の殆どのJAで栽培されています。

今年は「太陽のタマゴ」が世に出て丁度20年目を迎えます。

宮崎県では20周年を記念してPR活動を行う予定と聞いています。

マンゴーの栽培と出荷時期の関係

元々マンゴーは施設(ビニールハウス又はガラス温室)で栽培していますが、冬の早いうちから重油を焚いて温度を上げ花芽を早めに開花させて4月以降出荷出来る様に栽培しています。

ちなみに沖縄県内では、やはり施設(ビニールハウス又はガラス温室)栽培ですが、重油を焚いて温度を上げる事はしていません。重油を焚いてしまうと元々の気温が高い為、果実に高温障害が発生してしまう事が有ると云われています。

その為、沖縄県産のメインの販売時期は7月から8月に掛けてですが、宮崎県産、特に「太陽のタマゴ」は早くて4月中旬位から8月位まで出荷が有りますが、主に「母の日」や「父の日」等のギフト、又はお中元ギフトを目指して栽培し、出荷を目指しています。

マンゴー栽培の特長

平成30年に20周年を迎える宮崎高級マンゴー「太陽のタマゴ」の話_ネット吊りで栽培

栽培上の特長では、以前はマンゴーの果実が有る程度の大きさになると、果実に病害虫が付かない様に「紙袋」を掛けて果実の色が付いてくるとハサミで収穫していたのを、網目のネットを掛けて外から見える様にして、果実が完熟して自然とネットの中に落下する様にしました。

沖縄でも全てではありませんが、ネットでなく紙袋の中に自然に完熟して落下する栽培方法を行う様になりました。

このように完熟した後、自然落果するマンゴーポトリマンゴーという商品名で販売する処もあるようです。

ポトリ笑い話

「ポトリ」については、こんな笑い話もあります。

「太陽のタマゴ」の取材で、地元のTV局がポトリと自然落果する状況を収録して、番組で使いたいと云う事で、ある生産者にお願いしてマンゴー園で朝からカメラを構えてずっとまっていた処、お昼過ぎても3時過ぎても中々落果せず夕方になってやっとネット内に落果したそうです。

生産者さんからは今日落ちそうだと話を頂き、朝から約10時間かけてやっと収録が終わったそうです。

ハサミで収穫した方が本来楽かもしれませんね。

太陽のタマゴの証のシール

平成30年に20周年を迎える宮崎高級マンゴー「太陽のタマゴ」の話_太陽のタマゴの証シール

実は、太陽のタマゴという黒いブランドシールを貼る為には厳しい県の基準(JA宮崎経済連が定めた基準)をクリアーしたものだけが「太陽のタマゴ」の称号が与えられるんです。

その内容は下記の通りです。

太陽のタマゴであると言える厳しい基準

  1. 自然に落果するまで樹上で完熟させた、特に食味、外観の優れた果実。
  2. 宮崎経済連が定める県統一基準を満たす果実。

品位

  • 「青秀」⇒完熟で、外観は病中・薬害が無く、傷・ヤニの程度が軽く、鮮紅色部が全体の1/3 以上有るもの。緑色部分が濃いもの。
  • 「赤秀」⇒「青秀」より上位ランクになり完熟で、外観は病中・薬害・傷・ヤニは無く、鮮紅色部が全体の1/2以上有るもの。緑色部分が無い又は薄いもの。

赤秀の方が高級品というわけですね。

階級

2L以上のもの。

だいたい1玉350 g以上のものと云えます。

糖度

平成30年に20周年を迎える宮崎高級マンゴー「太陽のタマゴ」の話_センサーで糖度チェック中

糖度は15度以上のもの。光センサーでしっかりチェックされています。

チェックの様子を見学させてもらったのですが、まず果実の大きさが違いますよね。さすがの大きさです!

※ちなみに、以前は各選果場で選果担当者が目視で着色などをチェックし判断していたようです。

以上の厳しい基準をクリアーしたものだけが「太陽のタマゴ」のシールを貼ることが許されます。

太陽のタマゴを一躍有名にした県知事さん

今のように「太陽のタマゴ」の人気が高くなったのは、やはりこの人の功績が大きいと云わざるを得ないでしょうね。それは2007年に宮崎県知事に就任した東国原英夫氏です。(もう10年前!びっくり!)

それまでは九州の各県の中でも宮崎県の知名度はかなり低く、仙台が県庁所在地の宮城県と間違われる位だったのを、1月就任後早速宮崎県の宣伝を開始し「どげんかせんといかん」という言葉をキャッチコピーとして活躍されました。

特に「完熟マンゴー(太陽のタマゴ)」「完熟金柑(たまたま)」「地鶏」を強烈に全国展開でアピールされました。

そのおかげもあってその年の5月に県知事が東京の太田市場を訪問し、「太陽のタマゴ」の初セリが行われた時の価格が、前年までの4~5倍の価格になってしまい、その年は出荷期間中ずっと高値が続きました。

私もそのおかげでその年は販売上大変痛い目に有った事を覚えています。(笑)

その後も県知事のおかげで「太陽のタマゴ」の知名度は上がり、全国規模で販売が広がって行き、高級果実店や百貨店商材だったものが、通販や一般店でも販売希望が増えて行きました。

県知事退職後もそんな状況が続き生産者も増え、生産量がここ10年で約2.5倍以上にまで増えています。

平成29年度の初荷で過去最高額が!!

昨年は初荷で「太陽のタマゴ」の販売で過去最高額が出ました。

昨年は29年度産「太陽のタマゴ」の解禁日の4月13日(木)に地元の宮崎市の青果市場でJA西都の2玉化粧箱がなんと!!40万円でした。1個20万円!!!

ご祝儀相場ですが凄いですね。

他のご祝儀相場で云えば、北海道産夕張メロン2玉200万円とか岩手県JA江刺のサンフジ26玉120万円、石川県産高級ぶどうルビーロマン1房100万円などが有りますが、それに肩を並べる位とんでもない価格が出てしまいました。

平成30年の「太陽のタマゴ」解禁日は4月16日です!

今年は先程案内した様に「太陽のタマゴ」の20周年記念ですから、今年の解禁日の4月16日(月)には幾らが出るのでしょうか?楽しみでもあります。

もしかしたら50万円とか、あるいはそれ以上とか・・・・

販売上において解禁日が設定されている果実って、やはりこだわりのある商品が多いんです。サクランボの佐藤錦の後に出てくる「紅秀峰」何度もその典型ではないでしょうか。

価格は兎も角、皆さん是非とも「太陽のタマゴ」の興味を持っていただきたいと思います。

多分、4月中旬以降は百貨店や高級果実店、高級スーパーでお出かけの際は探してみてください。

6月中旬以降になれば少し販売価格もこなれてくるかもしれません。

私も今年は1回は食べたいと思っています。

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杉本

杉本

2003年入社。新潟県出身の66歳(2018年現在)です。学生時代から百貨店で青果販売に従事し、青果の道一筋に45年以上。市場で大野会長と知り合い、人柄に惚れてオージーフーズへ入社を決めました。好きなフルーツは柿とぶどうです。青果のことなら何でも聞いてください。趣味は産地訪問とスポーツ観戦です!