じゃがいも「インカのめざめ」とは。品種の特長を徹底解説!

皆さんこんにちは。株式会社オージーフーズが運営するとっておきやの最年長青果担当の杉本(67歳)です。

絶品じゃがいも「インカのめざめ」という品種について深堀りしてご紹介いたしましょう。品種の特長、産地情報、歴史などなど、詳しくお話しいたしますね。

じゃがいも「インカのめざめ」とは

皆さんは「インカのめざめ」って名前を聞いたことが有りますか?又、召し上がった事が有りますか?もし召し上がった事が有るのであれば中々のお芋の通(ツウ)の方と云えるのではないでしょうか。

一度でも召し上がって頂くとたちまち虜になり、殆どの方がリピーターになってしまうほどの美味し~いじゃがいもなんです!

ようやく最近生産量が少しずつ増えては来ているようですが、まだまだ希少な品種です。今日はそんなお芋さんについて語りますね。

じゃがいも「インカのめざめ」とは

じゃがいも「インカのめざめ」とは_ほくほく

見た目の特長

じゃがいも「インカのめざめ」の見た目の特長は、比較的小粒系で、外見は小粒のじゃが芋と云った感じです。

なんといっても特長的なのは、中の果肉の色がまるでさつま芋か栗を思わせる様な鮮やかな濃い黄色をしている点ですね!もう見るからにホクホクした感じが伝わってきます。

お味の特長

じゃがいも「インカのめざめ」のお味はの特長は、濃厚な甘さとお芋の味わいを感じることが出来ます!

一説によると、「インカのめざめ」は糖度が6~8度位は有るとも云われています。

一般的なじゃが芋の糖度は4~5度位と云われていますから、それに比べてまた一段と甘いじゃがいもということが分かりますね。

食感は、ねっとりとした口当たりとさつま芋の様な食感が特長的です。

栄養価について

このじゃがいも「インカのめざめ」は、甘さの元になるショ糖(砂糖の主成分)の含有量が一般的な男爵芋の約5倍近く含まれていると云われています。

また、この特長的なお芋のホクホク感はでんぷんの含有量による処が起因しているとのことで、「インカのめざめ」はでんぷん価も高いからこそよりいっそうホクホク感を感じる事が出来るそうですよ。

※あくまで参考値のお話しです。

おすすめの旬の時期は「秋」と「越冬」もの

収穫の秋、みのりの秋の「インカのめざめ」は獲れたての旬のものと云えます。

そして、個人的におすすめしたい美味しい時期はなんといっても年を越した「越冬インカのめざめ」は感動ものの美味しさですよ!!

「インカのめざめ」は前述でも案内していますようにでんぷん含有量(ライマン価)が多い品種でもありますので、低温貯蔵庫で貯蔵する事ででんぷんを糖化し、益々甘味が増しホクホク感も増し「インカのめざめ」の美味しさが一段と格上げされます。

特に2月~3月頃に出荷される「越冬インカのめざめ」は最高です。

特に今年は当たり年だったように思います。弊社のスタッフからも感動の声が上がり、今思い返してもあの時の感激は忘れられません。

じゃがいも「インカのめざめ」の産地とは

じゃがいもの産地_北海道十勝池田町

じゃがいもは全体の傾向を見ても、やはり何といっても生産量が圧倒的多いのが北海道です。北海道だけでじゃがいもの全国の生産量の約80%弱のシェアーを持っています。

もちろん「インカのめざめ」も大多数が北海道産のものが多くなっています。

私のおすすめの産地は北海道十勝の池田町!

じゃがいも「インカのめざめ」の産地として私がイチオシしているのは、北海道のJA十勝池田町と云う農協さんです。

名前の通り、北海道の十勝平野に位置する産地で、産地背景としては十勝平野のやや東部に位置していて、地形は平たんで高い山でもせいぜい海抜100~200mを越える程度です。

この地区の特長としては、昼夜の寒暖差が大きいのがポイントです。

とくに、夏には昼間は気温が30℃を越えても夜間は20℃ないしそれ以下になる位寒暖差が有ります。この寒暖差こそが、お芋の生育だけでなく美味しい青果物が育つ大きな要因の一つと云われています。

寒暖差が大きいほど、昼間に太陽を受けて作り出された栄養が夜間に消耗されずに蓄積されるため美味しい青果物が育ちます。

又、当地では、お芋の甘味とホクホク感の元に成っているでんぷんの含有量(ライマン価と云います)を数値で表し、より高いライマン価のじゃが芋作りを目指しています。

当産地でライマン価の高い品種としては「インカのめざめ」が圧倒的で、男爵芋、メークインの順になっています。

又、このJAは一般的には市場出荷が中心ですが、基本的には市場出荷はしていません。殆どが最初から決まった販売先に出荷されているのも魅力の一つです。

JA十勝池田町でじゃがいもの生産者さんは約35名程いらっしゃるそうですが、「インカのめざめ」の生産者さんは12名しかいません!希少なお芋と云われる理由ですね。

ちなみに、我々の様な青果担当の人間からするともともと「十勝と云えばメークイン」と云われる位の美味しいじゃがいもの一大産地なんですよ。

じゃがいも「インカのめざめ」の栽培と収穫の特長

じゃがいも「インカのめざめ」とは_箱

栽培方法について

「インカのめざめ」は大変栽培が難しい品種で、しかも病気や害虫に弱く、小ぶりな事もあって、生産者さん泣かせの芋とも云われています。

一株当たりの収穫量が少ない為、一定面積を植えたとしても総収穫量が少ない事と、種芋代も高い事から経済性を考えても生産者さん泣かせと云われる由縁です。

そんな理由なども有って、中々増えない為、希少な品種と云われています。

収穫方法について

収獲については、「インカのめざめ」は極早生に区分けされるため、他の品種よりはやや早めになり8月下旬頃から始まり9月には収穫が終わっている品種になります。

又、特に発芽の早い品種の為、ほっておくと直ぐに芽が出てきます。

その為、収穫は直ぐに低温庫(5℃位が理想)に入れて貯蔵しなければなりません。

正に、お金と手間暇がかかるじゃがいもと云えるのかもしれませんね。

じゃがいも「インカのめざめ」の歴史

じゃがいもの栽培の起源は南米のアンデス地方と云われていますが、その中でも高級食材として晴れのお祭りの時にしか中々食べられない「ソラナムフレファ種」を日本向けに改良したものが「インカのめざめ」と云われています。

2001年(平成13年)に登録された品種であり、まだ20年もたっていません。じゃがいもの中でもまだまだ珍しく、貴重で希少な存在というわけですね。

おすすめの美味しい食べ方

じゃがいも「インカのめざめ」とは_じゃがバター

「インカのめざめ」の特長の一つに、煮崩れしにくいと云う点が挙げられます。

煮ても形をそのまま残した上でホクホク感を楽しんで頂く事が出来ますよ。例えば、煮物はもちろんですが、みそ汁の具、コロッケ、肉じゃが、ポテトフライ、ジャーマンポテト、や北海道の居酒屋メニューの定番と云われる明太マヨ、イカの塩からのせなどが有ります。

また、他のじゃがいもでは中々味わえないのが、皮ごと素揚げです。

これは熱々の素揚げに塩を振って召し上がると、皮の香ばしさもありついついビールが進み過ぎてしまう一品です。

そして間違いない定番の食べ方はじゃがバターも外せませんね。

簡単で一番美味しいのが、蒸かしたてのインカのめざめにバターを乗せて溶かして召し上がると、濃厚な甘味のインカのめざめと塩味のバターが相まってもう最高です。

絶対のおすすめです。是非試してみて下さい!

おすすめの保存方法

「インカのめざめ」は他のじゃがいもに比べて非常に芽が出易い品種の為、産地でも低温(定温)で貯蔵して発芽を防いでいます。

理想的な貯蔵温度は5℃位が理想的な温度帯と云われています。

お買い上げ後、ご自宅で貯蔵する場合には冷暗所で保存するか冷蔵庫の野菜庫内で貯蔵してください。

新聞紙などで包んで頂けたら尚良いかもしれません。

光に当たると緑色になってしまい、食べられなくなります。

※もし芽が出てしまったら、じゃがいもの芽の根っこの部分からしっかり取り除いて調理してくださいネ。

お芋全体が緑色になってしまった場合は、もうそのお芋は食用には向いていません。種芋にして、じゃがいも栽培チャレンジしてみてはいかがでしょうか!?

じゃがいも「インカのめざめ」と私の出会い

私が「インカのめざめ」との出会ったのは、今から約15年前位になります。

知り合いの東京都内の青果卸業の方から、青森県西津軽郡深浦町の黄金崎と云う処に色んな種イモを扱っている会社が有るので、一度行ってみたらと紹介されて行ったのがそもそもの出会いでした。

そこで元々少しは知識があったのですが「インカのめざめ」を紹介されたのがきっかけでした。

その会社の方のお話によると…

「各種のじゃがいもが植えられている場所が世界遺産にも選ばれているあの白神山地の麓にあって、そこには野生の猿が多く生息していて、芋の収穫時期になると山から下りて来て芋を自分達で掘って食べてしまうから困っている」

…との話でした。

各種有る芋の中でも一番人気は断然「インカのめざめ」だそうですよ。

野生の猿に食べられてしまう前に、いかに熟度を上げて収穫するかが問題だったそうです。野生の猿は先ずは実を食べますが、実が無くなると茎とか葉まで食べてしまうそうで、何もなくなると他の芋に流れていくとの事でした。

その話を聞いて、野生の動物は本能で美味しいものを嗅ぎ分けるので、余程美味しい芋なんだろうと思いました。

そんな事もあって、ここで「インカのめざめ」の種イモを、我社でほぼ専門に取り扱っていた北海道の芋農家さんに紹介して、そこで作った「インカのめざめ」を販売し始めたのが元々の始まりでした。

最初は3㎏箱が300箱位からスタートして年々増やして行き、現在は我社のメイン商品にまでなったのがこの「インカのめざめ」です。

「インカ」の仲間のじゃがいもとは!?

じゃがいもの産地_獲れたておじゃが

特に貴重で希少な「インカのめざめ」ですが、実は同じ様に「インカ」と名の付くじゃがいもが何種類か存在します。

こちらは「インカのめざめ」以上に聞いたことが殆ど無い様な品種です。

私も実は名前だけは聞いた事が有るのですが、実際はまだ食べたことが無いんです。機会があれば是非食べてみたいと思っています。

ではどんな品種のじゃが芋が有るかというと下記の通りです。

  • 「インカのひとみ」
  • 「インカの星」
  • 「インカレッド」
  • 「インカパープル」

などが有ります。聞いた事が有りますか?

なんとなく想像がつくようなつかないような名前ですね。これからも継続して探してみますので、もしご案内出来るようになりましたらまたブログでお話ししますね。

おまけ小話:じゃがいもの花について

じゃがいもの花_北海道

実は、じゃがいもは種類によって花の色が異なるんです。

一般的に男爵芋は白色、メークインは紫色、北あかりは薄紫色、「インカのめざめ」は淡い紫色です。あくまでも代表的な品種のじゃが芋でもこれだけ違いますので、とても不思議な世界でもあります。

皆さんは初夏から夏場に掛けてじゃがいも畑に行かれたことがありますか?

初夏から夏場に掛けて北海道へ出かける時は、時間があれば是非じゃがいも畑で色んな色彩の花を楽しむのもありかな?なんて思います。

是非とも、じゃがいもを目で楽しんで、舌で美味しさを味わってみてください。

あとがき

じゃがいも「インカのめざめ」とは_素揚げ

今回のブログ記事では絶品のおすすめじゃがいも「インカのめざめ」についてお話しいたしました。

珍しいお芋なので、店頭ではなかなか見かけないかもしれないですね。もし通販などでお取り寄せ企画を発見したら、買い!ですよ。

お芋好きの方にぜひご堪能いただきたい味わいです。簡単調理で十分ご馳走になりますから、重宝すること間違いなしです。

お芋と云えば「さつま芋」「じゃが芋」「里芋」等、美味しいお芋が沢山ありますね。皆さんにご紹介したい美味しい野菜果物はまだまだたくさん日本全国各地の産地にあります。

これからも、季節の青果の話題でブログを更新しますので、どうぞお楽しみに。

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杉本

杉本

2003年入社。新潟県出身の66歳(2018年現在)です。学生時代から百貨店で青果販売に従事し、青果の道一筋に45年以上。市場で大野会長と知り合い、人柄に惚れてオージーフーズへ入社を決めました。好きなフルーツは柿とぶどうです。青果のことなら何でも聞いてください。趣味は産地訪問とスポーツ観戦です!

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