こんにちは!オージーフーズの青果担当青木です。
今回はさくらんぼの品種と時期についてお話しさせていただきたいと思います。
何を隠そう!私、青木はさくらんぼの時期になるとかわいい嫁と息子を置いて、山形に季節労働者として10日~2週間程度さくらんぼの出荷の立ち合いとして駐在します。
その時の時系列に沿ってお話しさせていただきたいと思います。
目次
山形駐在ももうどれくらいになるでしょうか。
近年は「例年並み」という言葉の例年っていつ?とわからなくなるくらいスタート時期がバラバラです。去年山形入りしたのは6月17日、一昨年は6月9日くらいだったと思います。その差8日、上旬、中旬とほぼ一旬変わってきますね。
この私にとってのさくらんぼのスタートを飾るのが、「King of さくらんぼ」と言っても過言ではない、そうみなさんご存知の「佐藤錦」です。
まず、このKing of さくらんぼ 佐藤錦についてお話ししましょう。
「佐藤錦」(さとうにしき)
日本の初夏の訪れをつげるさくらんぼ佐藤錦、ちょっと詳しい人ですと、佐藤錦と言えば6月下旬くらいに目にする、口にするイメージがあるかもしれませんが、上にも書いたように最近下旬?という年がちらほら。
この「さくらんぼと言えば佐藤錦」と言っても過言ではない佐藤錦は山形県東根市が発祥の地、生みの親佐藤栄助氏の名をとって「佐藤錦」と名付けられました。
今でも、佐藤錦原木があるようですが、残念ながら私もまだ見たことがありません。一度見てみたいなー。
かけ合わせは「黄玉」×「ナポレオン」、大正から昭和にかけての先人たちのおかげで今、私たちは佐藤錦を食べられていると思おうと歴史を感じ、1粒の重みを感じますね。
歴史ある佐藤錦ですから、我々の舌も佐藤錦の味に慣れ親しんでいるので、さくらんぼと言えばこの佐藤錦の甘さ、ジューシーさの中にさわやかな酸味を思い浮かべる人が多いのではないかと思います。
この時期、車で道を走るといたるところのさくらんぼ園のさくらんぼが真っ赤に色づき、葉っぱの緑とさくらんぼの赤のコントラストがとってもきれいですよ。
もし、私が子供のころ山形のさくらんぼの産地で育っていたら、絶対下校途中道にはみ出しているさくらんぼをつまみ食いしただろうなーと毎年思います。
もちろん、大人ですので毎年そんなことはしてませんし、良い子はマネしないでください!
そんなこんなで佐藤錦を出荷していると少し経つと黄色いきれいなさくらんぼが入ってくるようになります。「月山錦」です。
次は月山錦についてお話ししましょう。
「月山錦」(がっさんにしき)
月山錦は中国原産で、山形では大体毎年6月下旬頃から出始める黄色いさくらんぼです。
出羽三山の一つ月山の名を冠した月山錦ですが、あまりお目にかかれない地域もあるのではないかなと思います。
入荷直後は本当にきれいな黄色なんですが、日がたつと熟度が増してきてあめ色になってくるんです。また、実と実が当たったりするとその部分が変色したりと取り扱いが非常に難しい品種です。
味は酸味が少なく口いっぱいに甘さが広がるような、また大粒なので可食部も多く、1粒の食べごたえもあります。
山形駐在中、月山錦が出てくると駐在も折り返しかなーと思うのですが、終盤に見られるか見られない年もある品種が「大将錦」です。
「大将錦」(たいしょうにしき)
山形県上山市が原産の大将錦、「佐藤錦」×「ナポレオン」×「高砂」の自然交雑実生と言われています。
その名の通り大粒のさくらんぼです。大将!
食べごたえ十分でパリッと肉厚な食感にはまる人が急増中です。とはいえ、生産量は多くないので、なかなかお目にかかれない品種かもしれません。時期的には7月入ってからくらいですかね。
佐藤錦がKing of さくらんぼだとするとQueen of さくらんぼとして紹介したいのが
「紅秀峰」です。女性ファン増幅中のさくらんぼ「紅秀峰」について次はお話ししましょう。
「紅秀峰」(べにしゅうほう)
「佐藤錦」×「天香錦」のかけ合わせ。佐藤錦と人気を二分?しつつある?表現は難しいところではありますが、佐藤錦の後に出てくる人気品種が紅秀峰です。
佐藤錦より大粒傾向で、赤身も濃く、肉厚で甘みが強く、酸味が少ないので、甘さが口いっぱいに広がるさくらんぼです。
毎年、解禁日が設定され、駐在中に解禁日の情報を入手します。山形駐在の楽しみの一つです。「今年は佐藤錦の収穫が遅れているから紅秀峰の解禁日も遅れるかなー」とか「何日っていう噂だよね」とかそんな話を会話のネタにしつつ、その場にいる臨場感というかいち早く情報を入手できる状況を楽しんでいます。
7月上旬からのイメージがありますが、ここ2年は6月中に解禁されています。解禁されたからと言って出てくるかどうかは別の話しなので、結局みなさんのお手元に届くのは7月上旬からでしょうかね。
今年ももう間もなく山形もさくらんぼの花が咲きだすでしょうが、不思議なもので花が咲いた品種順に出荷が始まるのではなく、佐藤錦より紅秀峰の方が早く花が咲き、収穫は紅秀峰のほうが後というちょっと不思議な現象がおきます。
木になっている期間が長いので、紅秀峰のほうが大粒傾向ということもあるのでしょうか。
そのほかに取り扱っている山形のさくらんぼの中に「山形美人」という品種があります。
軽く触れておきましょう。
「山形美人」
佐藤錦の枝替わりと言われています。佐藤錦の枝分かれということもあり、時期的には佐藤錦と同じくらいの6月中旬、下旬あたりに出てきます。
赤が鮮やかで酸味がさわやかでさっぱりと食べられるさくらんぼです。
全国の出荷量の割合と時期の関係
ここまで山形を中心に私の駐在の時間軸でお話ししてきましたが、一理ありまして、山形のさくらんぼの出荷量が全国の7~8割くらいを占めています。
次にくるのが北海道で1割くらいですかね。北海道の佐藤錦は山形の佐藤錦が終わったくらいの7月上旬くらいから出荷が始まります。
また、今までお話ししてきたのは露地の時期の一番生産量が多いところのお話でしたが、実はもう市場にはさくらんぼ出てきているんですよ。
沖縄、九州のものとかではないですよ、ちゃんと山形のものが。ハウス栽培のさくらんぼになります。お安いものではないですけどね。
母の日にこのハウスものを化粧箱に手詰めしたものなんかを贈る方もいらっしゃいますね。
まだまだあるさくらんぼの品種!
その他の品種としては「紅さやか」「南陽」「高砂」「レーニア(アメリカンチェリー)」なんかはもしかしたら聞いたことがあるかもしれませんね。
他にも世界各国にいろいろな品種のさくらんぼが存在します。
世界のさくらんぼにお目にかかれる山形県寒河江市のチェリーランド
ここで全部紹介することは出来ませんが、山形県寒河江市に「チェリーランド」という道の駅があります。
さくらんぼの時期になると正面駐車場では駐車しきれず、裏の寒河江川沿いの臨時駐車場までびっしり埋まるほど人気のスポットですよ!
そのチェリーランドの建物を向いて左側に散策できるようなところがあります。
そこには山形名産の柿や桃、ラ・フランスにリンゴ、ブドウ、キウイなどの木も植えられているエリアに世界各国のさくらんぼの木も植えられています。6月、7月のシーズンに行くと結構いろいろな品種が実をつけています。
一例としてはカナダの「バレラ」、アメリカの「エボニー」、イギリスの「エルトン」、フランスの「ジャボレー」、中国の「寿錦」、ロシアの「大紫」など。なんと、世の中には国籍不明のさくらんぼもあるんです。一体どこから来たのか…不思議ですよね。
そこだけでさくらんぼ世界一周したかのようなたくさんの品種のさくらんぼが見ることが出来ます!
もし、さくらんぼの時期に山形へ足を運ぶ機会がありましたら寒河江市のチェリーランドにも行ってみてはいかがでしょうか。
お土産もそこで買うことが出来ますよ。
あとがき
このようにさくらんぼにはいろいろな品種があります。
「さくらんぼ」として毎年口にする人がほとんどだと思いますが、今年のさくらんぼは品種まで確認して食してみて、また、いくつか食べ比べしてみてはいかがでしょうか!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
青木
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