皆さんこんにちは。株式会社オージーフーズ直営オンラインショップ「とっておきや」の最年長青果担当の杉本喜広(67歳)です。
北海道生まれのじゃがいも「北あかり」についてお話しいたしましょう。
品種の特長、お味の特長、産地について、おすすめの食べ方、一体どんなじゃがいもなのかを情報満載で詳しくご紹介いたしますね。お芋さん好きの方にぜひ読んでいただきたいです!
目次
じゃがいも「北あかり」とは
「男爵」×「ニツカ」の掛け合わせで誕生した品種
じゃがいも「北あかり」は1975年(昭和50年)に「男爵芋」に「ニツカ」を交配して選抜・育成され、誕生した品種です。その後1987年(昭和62年)に新品種として出願され、翌1988年(昭和63年)に品種登録されました。
農林水産省育成農作物新品種となり、北海道の奨励品種にも採用された品種です。
最近は一部の青果販売店舗でも「北あかり」として販売されているのを見かけるようになりましたが、作付面積が少なく、ある時実施された調査では、じゃがいも全体の中でもシェアーが4%足らずしか作付されていない状態だったようです。
まだまだ希少なじゃがいもと云えそうですね。
見た目の特長
外見は男爵芋に似ていますが、芽が赤っぽい色をしているので見分けが付きます。
また、中の肉質は美しい淡い黄色をしており、まるで栗のよう。質感はきめ細やかで、少々粉っぽさがありますね。
お味の特長
北あかりの食味は、甘味が強く、香りも良く、その上舌触りもかなり滑らかなので、とても食べやすいお芋です。
肉質は粉質の為、加熱料理するとホクホクとした食感を強く感じることが出来ます。この食感の良さが「黄金男爵」や「くりじゃが」等とも呼ばれる由縁かもしれませんね。
果肉自体は粉質度が高い事もあって、どちらかというと煮崩れしやすいタイプのお芋です。
とくに北海道美深町の北あかりは「くりじゃが」と呼ばれます
とくに北海道川上地区の美深町産の北あかりは「くりじゃが」と云う商品名でも親しまれていました。以前、弊社でも販売させて頂いたことがあります。毎年恒例の大人気企画としてご好評頂いておりました。
お客様皆さん「このホックホクのお芋さんは他にない!」「秋の楽しみ!」と喜んでくださいました。ありがとうございます。
現在、とくにこの美深産のくりじゃがは数が少なく、なかなか流通しない貴重な存在です。もし販売されているのを見かけたら「買い」ですよ。
「北あかり」と「男爵芋」の違いとは
外観の違い
元々じゃがいも「北あかり」は男爵芋を改良して作られた品種なので、見た目は同じように見えますが、細かい違いがありますよ。
良~く見てみましょう。
- 外観の窪み…男爵芋の方が比較的ゴツゴツして窪みが深い。
- 芽の色…男爵芋の芽は白~薄緑色。北あかりの芽は赤っぽい色をしています。
- 中の肉質…男爵芋は白っぽい肉質。北あかりはほんのり黄色。
又、「北あかり」は外皮が非常に薄い為、売り場に陳列している際に少しでも擦れたり、袋詰めで販売している時にでも袋の中で擦れて破れてしまうことが多々ある…という点も男爵芋との違いだと云えますね。
店頭販売しやすいじゃがいもと云えば「男爵芋」「メークイン」が定番の主力商品ですね。
食感の違い
じゃがいも「北あかり」と「男爵芋」の食感の違いは、加熱するとその違いがハッキリとよく分かります。「北あかり」はデンプン価が高い事もあって、ホクホク感をひときわ実感して頂けます。
男爵もホクホク系のお芋ですが、「北あかり」のホクホク感はまたひと味違いますよ。ただし、そのホクホクさのため、「北あかり」は煮崩れしやすい点が大きな特長の一つです。逆に、男爵芋は煮崩れしにくいのが特長です。
それぞれがもつ特長を知って使い分けるとより料理上手になるのではないでしょうか!
「北あかり」の主力産地とは
主力産地としてはやはり北海道が圧倒的です。
北海道内でも地区で云うと、後志(しりべし)や十勝(とかち)、上川地区で多く栽培されています。
- 後志管内…小樽市を中心に余市町、仁木町、共和町、倶知安町、京極町、ニセコ町等、20市町村から成っています。
- 十勝管内…帯広市、芽室町、中札内村、清水町、池田町、幕別町、広尾町、士幌町等、19の市町村から成っています。
- 上川管内…旭川市、富良野市、上富良野町、中富良野町、美深町、美瑛町、上川町、士別町等、23の市町村から成っています。
個人的におすすめの産地は、じゃがいも「インカのめざめ」のお話しでも紹介したJA十勝池田町です。
この池田町のじゃがいも畑の環境的にはインカのめざめと同じ環境に有りますが、芋の生産者が35名中の2名しかいないという、大変希少な「北あかり」です。
「北あかり」の栄養価
「北あかり」はじゃがいもの種類の中でも、特にビタミンCが多く含まれていると云われています。一説によると、「北あかり」に含まれているビタミンCの量は一般的な男爵芋の1.5倍、リンゴの約10倍とも云われています。
又、元々じゃがいも類にはカリュウムが多く含まれており、「北あかり」の皮にはクロロゲン酸という栄養成分も豊富に含まれているので、皮ごと料理するのもおすすめですよ。
一般的に、じゃがいもは高カロリーの野菜と云われていますが、100g当たり73カロリーほどが目安だそうです(ご飯の約半分くらいでしょうか)
ホクホク美味しいじゃがいもを沢山食べましょう!
※一般的に云われる参考値です。参考情報として読んでくださいネ。
じゃがいも「北あかり」のおすすめの食べ方
じゃがバター
じゃがいも「北あかり」は前述の通りデンプン価が高く、煮崩れしやすいホックホクのお芋さんです。この特長を知ったうえで料理して頂けたらより楽しい食卓になると思います。
おすすめは、先ずはシンプルに蒸かして熱いうちにバターを乗せて「じゃがバター」で召上がってみてください。「北あかり」の滑らかな食感とお芋の味わい、圧倒的な美味しさに、まさに魅せられてしまい忘れられない味になること間違いありません!
コロッケ
じゃがバターの他にも、粉ふき芋、ポテトサラダ、コロッケ等に「北あかり」がよく使われているようです。軟らかくてホクホクの食感が最適ですね。
煮崩れしやすい特長を活かしたお味噌汁も最高です◎
私の個人的な好みではありますが、私は硬い芋よりどちらかと云うと紛質系の芋が好きなので、一般的には向かないと云われている煮物や汁物にも柔らかい芋を使います。
特に「肉じゃが」や「玉ねぎと併せたじゃが芋の味噌汁」の大好物には絶対に「北あかり」を使います。この2つの料理では特に煮込んで芋が溶けて煮崩れしたものを食べるのが大好きで、時には煮崩れした芋をご飯に掛けて食べるのが私にとっては最高の料理になっています。
「北あかり」は私にとってはじゃが芋類の中でも最高級な一品になっています。
じゃがいも「北あかり」のおすすめの保存方法
じゃがいも「北あかり」を保存する方法は、芋が呼吸できる状態で、水分が飛ばない様に保存するのが大切です。
具体的には、芋を新聞紙で包んだり紙袋に入れて風通しの良い冷暗所で保存するが良いでしょう。乾燥した場所での保存は水分が飛んでしまい美味しさが逃げてしまいますので十分に気をつけて下さい。
理想の形としては、低温(定温)の3℃~5℃位で、湿度が90%位ある貯蔵庫に入れるのが良いと云われています。
又、じゃがいもの芋が出てしまった場合は、芽の部分はしっかり取り除いてから調理してくださいネ。
基本的には、じゃが芋類は3℃~5℃位、サツマイモは逆に13℃~15℃位の冷暗所の様な処で貯蔵するのが良いでしょう。
あとがき
今回のブログ記事では、じゃがいも「北あかり」についてお話しいたしました。
このじゃがいも「北あかり」の思い出は…
私が都心の大手百貨店の青果売り場を取り仕切って居た頃(約30年前)、物産展の中でも一番人気企画の「北海道物産展」でのみ取り扱っていた思い入れがあるお芋さんです。
なぜ物産展だけで販売していたかというと、物産展では7~8種類位の色んな芋を販売していましたが、「北あかり」は非常に皮が薄く、陳列しているだけでも擦れて破れてしまい、その部分が変色してしまう為、通常での店頭販売は極力避けていたという理由がありました。
お味はとっても美味しいので、店頭で販売し辛いのがとても残念でしたが、その後はその欠点も解消されて、現在では美味しいじゃがいもとして認知されてきています!
ただ、生産量がまだまだ少ない為、なかなか大量販売が出来ない品種なのかもしれません。
今回、前回とブログで秋の味覚野菜シリーズで私がお奨めの2品「北あかり」「インカのめざめ」をご案内しました。
私のじゃがいものイチオシ品種として、年内は「北あかり」、年明け以降は「越冬インカのめざめ」をぜひおすすめしたいと思います!
じゃがいもは特に野菜の中でも使用頻度が非常に高い野菜ですから、上手く使い分けて頂ければ、お芋さんってこんなに美味しかったのか!と改めて思って頂けると確信しています。
秋から来春まで楽しめますので、是非とも楽しんでくださいネ。
それでは、また次回の更新をお楽しみに。
とっておきの青果情報満載でブログを更新いたしますね。
杉本
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