皆さんこんにちは。青果担当最年長の杉本です。
奄美大島特産の柑橘であるたんかん出荷解禁日の2018年2月1日(木)に行われるJAあまみ主催の「29年度奄美たんかんハサミ入式」への招待を受けたため、青果部の青木くんと一緒に奄美大島へ行ってきました。
今回のブログでは、その道中の様子とイベントの様子、産地の様子をレポートします。
貴重な機会にご招待いただきありがとうございます!
目次
実は、奄美大島訪問は今回で4回目になります。
今年は天候が不順のため、亜熱帯海洋性気候の奄美大島の産地の方々も「寒い!」と云ってはいましたが…。
しかし、現地に着いてみると気温14℃は有りました。寒いと聞いて東京からダウンを着て行ったのですが、さすがに恥ずかしく空港では着ることは有りませんでした。
奄美大島とは
皆さん奄美大島ってどこにあるかご存知ですか?
よく、夏から秋にかけて台風が来襲すると「現地からの生中継!」と使われることが多い場所と説明したらイメージしやすいかもしれませんね。
あの場所は、奄美大島の名瀬という所です。
奄美大島は鹿児島県にあります。
鹿児島から順に「種子島」「屋久島」「薩南諸島」「奄美大島」。
横に「喜界島」「徳之島」「沖永良部島」「与論島」、そして「沖縄本島」と続きます。
その中で「奄美大島」「喜界島」「徳之島」「沖永良部島」「与論島」は奄美群島と呼ばれています。そして、その奄美群島の中でも「奄美大島」は最大面積を持つ島です。
東京からの直行便は1便だけです。あとは鹿児島、伊丹、福岡などの経由便があり、私は今回、鹿児島経由で奄美大島に入りました。
奄美大島名産の珍しい柑橘「たんかん」を知ってますか?
皆さんは「たんかん」ってご存知ですか?
奄美大島名産のとっても珍しい柑橘です。もし召し上がったことがある方は、柑橘の通な方ですね。
たんかんについて詳しくご説明いたしましょう。
「たんかん」の品種・主な産地について
「たんかん」は「ポンカン」と「ネーブルオレンジ」の自然交配種です。
原産地は中国の広東省とされ、亜熱帯性気候に適しています。
日本へ伝わって来たのは1900年頃のこと。台湾から南西諸島へ移植され栽培が始まったと云われ「南国のみかん」とも云われています。
亜熱帯気候に適しているため、主な産地は沖縄県北部(通称やんばる地区と云われている名護市周辺や本部町、国頭村などが中心産地になります)と鹿児島県で殆ど生産されています。
鹿児島県内でも主産地は奄美大島、屋久島、徳之島などの島々が中心です。
「たんかん」って、濃いみかん??
「たんかん」の商品特長は「見た目より味本位」の柑橘と云えます。
完全露地栽培のため、奄美大島名物の台風の影響を強く受けるため、どうしても外皮はシミやキズが付き易いんですね。一見、見た目が悪い果実が多くみられます。
※完全露地栽培とは、露天の耕地での栽培を言います。屋根や温室など設備を用いずに自然のままに農作物を育てます。
外皮は多少ゴツゴツしていますが、手で皮を剥く事が出来ます。
皮を剥いた中の果実はジョウノウ(身を包んでいる薄皮)が薄く、そのままパクパク食べられます。果汁が豊富で、甘みと酸味のバランスも良く濃厚な味を楽しんで頂ける柑橘です。
果肉の色は濃いオレンジ色で、地元では「濃いみかん(味も果肉の色が濃い)」とも呼ばれています。
「たんかん」の収穫時期とは
※たんかんの樹を守る壁のように生い茂っているのが「防風林」です。美しい!
たんかんは春に花が咲き実を着け、収穫が2月以降になるので約300日以上樹上で育てます。これ程長く樹に成らす柑橘はあまり聞いたことが有りません。
産地でも台風対策として防風林や防風ネット等を整備して、出来るだけ台風の影響を受けさせない様に努力しています。
この防風林はすごい迫力ですよ。一見の価値あり、来島した皆さんが驚くのも納得です。
奄美大島訪問道中記「奄美空港に到着!」
さて、それでは今回の旅路の様子をお伝えします。
現地の空港からは、今回のアテンドをして頂いたJAあまみ大島事業本部営農販売課の嘉本課長に出迎えて頂き、それから島内のたんかん生産者の園地等を案内してもらいました。
嘉本課長ありがとうございます。
現地到着がほぼお昼少し前だったので、ありがたいことにお昼ごはんをご馳走になりました。メニューは勿論、奄美大島名物の「鶏飯」!
鶏飯を味わうのはほぼ1年ぶりでした!
やはり美味しく、おかわりまでしてしまいました。地元の名店で食べると余計に美味しく感じますね。店内は地元の方々をはじめ、旅行客も多く見られました。
たんかん園地訪問
龍郷町大勝地区の内山さんの農園
改めて嘉本課長の案内で龍郷町大勝地区の内山さんの農園を訪問しました。
内山さんの農園は、今年のJAあまみ主催の「29年度奄美たんかんハサミ入式」の会場!
約280本ほどのたんかんを栽培していて、品評会などでも受賞しているバリバリ大活躍中の若手女性生産者さんです。
そんな内山さんの園地でも、今シーズンは裏年と昨年が実が成り過ぎたことも有って、たくさんなっている樹と全くなっていない樹とはっきり分かれてるそうです。玉伸びは少し大きめが目立ち着色は若干薄い感じと伺いました。
そして、樹から1個もいでその場で試食させてもらいました。ご馳走様です。
今は未だ酸が残ると云われていましたが、甘味と酸味のバランスが良く美味しく試食させて頂きました。こんな時はまさに役得だなぁとつくづく思います。
平井さんの平井果樹園を訪問
※横並びに壁のように立っているのが、たんかんを守る「防風林」です。
続いてもう1軒の生産者の園地を案内して頂きました。
JAあまみの中でも若手同志会の中心メンバーの平井さんの「平井果樹園」で、私が奄美大島を訪問する際には必ず訪問する園地です。平井さんは特に若手の中でもリーダー的な存在で、よく言われる「篤農家」(とくのうか)の代表的な生産者さんです。
※篤農家とは、とくに熱心な生産者さんをそう呼びます。
彼は3代目で彼の園地はまさに芸術的な美しさを持った園地です。きれいに整った防風林に囲まれたたんかんの園地は、これも一見の価値が有ります。
又、展望台を兼ね備えた園地も正に観光農園としても島内でも唯一と思われる位です。
今彼の園地では、緋寒桜(ひかんざくら)が満開を終えて咲いていました。この時期に桜を見られるのも南国ならではですね。
平井さんのたんかんも、ひとつ樹から直接もいで、その場で試食させていただきました。
平井さんいわく「1月が日照不足の為、酸の抜けがイマイチ」と仰ってはいましたが、実際は濃い味のたんかんでした!ご馳走様です。
みかん「津の輝き」の園地も訪問
※みかん「津の輝き」の苗木(2~3年目)の様子。これからどんどん伸びます。
その後、元柑橘部会の部会長様である元井さんが力を入れているみかん「津の輝き」(つのかがやき)の園地を訪問しました。
元井さんはJAあまみの柑橘部会長を務められた方で、TV等にも何回も出演されたこともあり、地元やJAでも有名な方なんですよ。
園地へお邪魔させていただいた皆さま、お時間をいただきましてありがとうございます!今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
「29年度奄美たんかんハサミ入式」当日の様子
雨男はだれ?
2018年2月1日(木)は、ついに迎えたハサミ入れ式の本番の日。
ですが、あいにく朝から雨模様。気温も10℃ちょっと位と結構寒さを感じる朝でした。
関係者の方々と「雨が降ってしまいましたね~」なんてお話ししていたら、なんと「今までハサミ入れの日に雨が降ったことは無かった!」と云う事で、どうやら私が雨男になってしまったようです。トホホ…
ハサミ入れの瞬間を動画でお伝えします!ご覧ください!
ハサミ入れ式の会場は、前日に一度訪れた内山さんのたんかん農園です。
式典には、JAあまみの組合長はじめ、農協関係者、鹿児島県や奄美市などの行政関係者、販売関係(私)の代表者が揃ってハサミ入れを行いました。
ハサミ入れっていうのは収獲用ハサミで枝から実を1~2個をカットする事です。
みんなで一斉にハサミを入れました!
スペシャルゲスト登場!!
式典の終盤になって、突然スペシャルゲストが現れて関係者皆ビックリでした!
とあるBSTV局の番組で当地を訪れたそうで、そのゲストとは長野冬季オリンピックのスピードスケートで金メダルを取ったあの選手です!!
写真をお見せできないのが残念でなりません。
たんかんの評価と価格が決まる「目揃え会」
式典のあと、午後からはJAあまみの選果場で「目揃え会」を見学しました。
「目揃え会」とは、農産物の出荷基準や選果基準を決める大切な場です。
結果によって、出荷品の評価が大きく変わってしまう事が有ります。産地評価や相場価格が下がってしまう事も…。生産者の皆さんは、良い商品を出荷するために皆で色々と意見を出し合います!!
たんかんの場合は、JAあまみの柑橘部会の部会長を中心に、先ほどの若手同志会の中心メンバーや地区代表の生産者一同が侃々諤々と、現物を手に意見を交わします。
今期の基準を決め、その基準に沿って、光センサーのチェック度を決めます。その年の産地の評価を決めてしまう大変重要な会議です。
2月の初めから少しずつたんかんの出荷が始まりますね。今期は収穫量が全体に少なめが予想される中でどの様なレベルの品物が出荷され、どの様な評価がされるかがとても楽しみです!
おまけの小話「奄美大島で有名なもの」
奄美大島といえば毒蛇「ハブ」も有名ですね。
ハブは酸性土壌、奄美から沖縄本島北部、石垣島にいると言われています。
で、奄美大島では生きたままハブを捕らえて市役所へ持って行くと、なんと1匹3000円の現金収入になるんだとか!なんでも、聞いた中には「ハブを何匹も捕まえて、新車を買うときの足しにした」なんて話も…。
ちなみに、タクシーの運転手さんは車のトランクにハブの捕獲棒と木箱を積んでいるんだとか。
奄美大島では、大河ドラマ「西郷どん」の効果もあり、これからの観光客の増加を期待しているそうです。
島の人々も皆さん優しい方々ばかりですので、一度は訪れてみて頂きたい島です!
4月にはたんかんの花が満開になり、奄美の海と花で見事な絶景を見ることができるはずですよ。これからの時期におすすめのスポットです。
青果専門店とっておきやでは、これからも全国各地の産地を訪問します。季節ごとのおすすめフルーツの販売も予定していますので、WEBサイトもチェックしてみてくださいね!

杉本

最新記事 by 杉本 (全て見る)
- 「伊予柑(いよかん)」とは。柑橘類の特長を青果部長が語る! - 2019年12月18日
- 栗のように甘いじゃがいも「北あかり」とは。品種の特長を解説! - 2019年12月5日
- じゃがいも「インカのめざめ」とは。品種の特長を徹底解説! - 2019年12月3日