皆さんこんにちは!株式会社オージーフーズが運営する青果専門店とっておきやの最年長青果担当の杉本(66歳)です。
冬の代名詞の柑橘類の中でも、特別印象深い柑橘の一つと云える宮崎県産の完熟きんかん「たまたま」と「たまたまエクセレント」について詳しくお話しいたします。品種の特長、産地の情報、基準についてなどなど、深~く「たまたま」情報をお伝えしますね。
柑橘好きの方、美味しいきんかんを知りたい方、必見のブログ記事です!
目次
柑橘類全般について知りたい方はこちらのブログ記事も読んでみてください。青果専門店だからこそ知っているとっておきの青果情報満載ですよ!
「きんかん」とはどんな柑橘か
きんかんは、漢字では「金柑」と書きます。柑橘類ですね。
きんかんは「ヒメタチバナ」とも云われ、昔からご家庭のお庭に植えられている柑橘の樹というイメージがあります。新潟にある私の実家の裏庭にも、鑑賞用も兼ねてきんかんの樹が何本か植えられていました。
ころころ小さい形、爽やかな酸味、ほろ苦い、種が有る、風邪をひいた時に食べた…等々、私たちの生活に馴染み深い柑橘です。
きんかんの栄養素
きんかんは、栄養面でも非常に優れた柑橘類です。
きんかんの小さな果実にはギッシリと栄養素が詰まっており、特に皮の部分には、ビタミンCやカルシュウム、へスぺリジン(ビタミンP)が豊富です。
実の部分は、ビタミンA(カロチン)、B1、B2、C、カルシュウム、カリュウム、ナイアシンなどが含まれています。
昔から「風をひいたら金柑を食べると良い」とよく云われたものです。パクッと簡単に食べられるきんかんは、ちょっとしたビタミン補給にもピッタリですね。
美味しいきんかんをタップリ食べて冬を乗り切りましょう!
きんかんの県別の生産量
きんかん生産量1位は宮崎県
きんかんを県別の生産量から見てみると、やはり宮崎県が断トツトップのシェアーを誇っています。日本全国でのきんかんの生産量が約3,500tで、その内の約2,500tが宮崎県で生産されているほど圧倒的です。この量は全体のシェアーは68%強も有ります。
ちなみに、その約2,500tのうちの約1,000tは特に宮崎県産完熟きんかん「たまたま」として出荷されていますよ。
きんかんの生産量は九州4県が上位!
宮崎県に続き、きんかん生産量2位は鹿児島県です。全体の約24%程と云われ、鹿児島県では「春姫」「いりき」「大甘」等のきんかんが販売されています。
そして、きんかん生産量3位は熊本県(全体のシェア約3%)、4位佐賀県(シェア約2%)となっていて、この九州4県でほぼ100%近い生産量です。
また、最近は鹿児島県や熊本県でも「完熟きんかん」同様のハウス栽培きんかんの生産が増えています。熊本県では「夢小町」、そして静岡県では「こん太きんかん」等が、「完熟きんかんたまたま」を目指して努力している処です。
今後はまだまだ他の産地でもハウス栽培きんかんが増えて、完熟きんかんが増えてくると思います。楽しみですね!
ちなみに、静岡県のきんかん「こん太」について知りたい方はこちらの記事もドウゾ。
きんかんの花は白い花
きんかんの花は可愛らしい白い花が咲きます。基本的に、柑橘類の花は白い花が多いと思います。みかんや文旦なども白い花が咲きますね。
私の実家のきんかんの樹も、夏から秋にかけて白いきれいな花を咲かせていたものです。
きんかんの露地栽培について
元々、きんかんは露地で栽培されていた柑橘です。
露地栽培のきんかんは比較的小粒の傾向があり、表皮は硬く、そのまま召し上がると酸っぱさがあり、露地もののきんかんの多くは加工品にまわることが多いですね。きんかんの甘露煮やジャム等に良く使われています。また、おせち料理にも使われることがあるそうです。
生産量ナンバーワンの宮崎県以外の産地でも、11月中旬位から12月位まで露地もののきんかんが出荷されています。
きんかんの温室栽培について
温室栽培とは、ハウス施設内において重油を焚いて室内の温度を高め、湿度の管理や潅水等を行いながら人工的に栽培する方法です。その結果、ハウス内で開花結実後約7か月以上を経たものを収穫しています。
温室栽培のきんかんは、11月~12月に出荷される「ハウスきんかん」、また年明け以降に出荷される「完熟きんかんたまたま」「完熟きんかんたまたまエクセレント」が有名です。
宮崎県産「完熟きんかんたまたま」ついて
2010年に命名された「たまたま」
2010年に宮崎県ブランド推進本部が中心となり、宮崎県の完熟きんかんを「完熟きんかんたまたま」と云う商品名を命名しました。
また、この時みやざきブランドの金柑はひらがなで「きんかん」と云う呼称になりました。
ちなみに、「たまたま」と命名される前は完熟きんかん「丸かじり」として出荷されていましたよ。だいたい2000年~2010年の頃は「丸かじり」でしたね。
その頃、私は都内のと有る百貨店の青果売り場にいて、百貨店商材として「丸かじり」を販売していた事を覚えています…。
完熟きんかんたまたまの特長
「たまたま」は、今までのきんかんの概念を大きく変えてしまったと云っても良いほどです。
きんかんの中でも特に大粒で表皮は柔らかく、皮を食べると非常に甘味が強く、果肉も甘く、非常に食べ易くなっていて、正に丸かじり出来て甘くて美味しいきんかんがこの「たまたま」の特長です。
この「完熟きんかんたまたま」の名称はJA宮崎県経済連さんが商標を持っているので、県内の各JA以外で個人農家さんはこの呼称での出荷はできません。
「たまたま」の魅力は青果業界でも結構浸透しており、1月中旬以降の季節商品として地位を確立しています。
ブランド化が進む宮崎県の特産品
2007年1月に宮崎県都城市出身のお笑いタレントの東国原英夫さんが宮崎県知事に当選した事で、宮崎県産の青果物やいろんな商品が全国展開する様になってきました。
その最たるものと云えば、宮崎県産完熟マンゴー「太陽のタマゴ」と「完熟きんかんたまたま」、「日向夏」、そして「地鶏」が一躍脚光を浴びる事になりました。東国原さんは知事の頃は自称「宮崎のセールスマン」として、農産物や加工品のブランド化を図ってきたのです。
宮崎県産完熟マンゴー「太陽のタマゴ」については以前もブログでもご紹介させて頂いていますので、良ければそちらも読んでみてくださいネ。
宮崎県のきんかんの糖度とサイズの基準
ハウスきんかん
11月中旬以降で12月いっぱい位出荷されます。
L、2L、3Lが中心で糖度は13~14度位ですが、外皮も柔らかく丸ごと食べられます。
完熟きんかん「たまたま」
1月中旬から出荷が始まり、ハウスきんかん同様に丸かじりがお奨めです。
なんと糖度16度以上(柿やメロン並み)のきんかんです!
完熟きんかん「たまたまエクセレント」
こちらも「たまたま」同様の規格ですが、糖度18度以上(ブドウ並み)で直径3.3mm(2Lサイズ)以上の大玉の物をこの商品名で販売します。
「たまたま」と「たまたまエクセレント」はきんかん専用センサーでしっかりチェックされている!
「完熟きんかんたまたま」と「完熟きんかんたまたまエクセレント」は全量、きんかん専用の光センサーでチェックされています。
「たまたま」の明確な基準を設けていて、糖度や大きさの基準をキチンと順守した出荷を行っていますよ。
- Lサイズ:2.8mm~3.3 mm以上の物
- 2Lサイズ:3.3mm~3.7mm以上
- 3Lサイズ:3.7m以上
きんかんの中では「たまたま」は大玉サイズとは云え、みかんの2Sサイズよりも小さいのでセンサーチェックは無理かなあ~なんて思っていましたが…、宮崎県経済連の方にお聞きした処、「完熟きんかんたまを出荷している県内の各JAは全てきんかん専用センサーを持っている」との事。さすがと思いましたね!
だからこそ、価値の有るブランド商品になるのだと改めて感じました。
因みに光センサーチェック後、糖度、規格落ちで「完熟きんかんたまたま」になれなかったものは「宮崎県産完熟きんかん」という呼称で販売されています。
完熟きんかんたまたまの価格はおいくら?
完熟きんかんは非常に手間と経費を掛けて栽培していることもあり、販売価格もかなり高価なものになっています。
その販売価格は、例えば「完熟きんかんたまたま」は1kg箱で3,500円以上、「完熟きんかんたまたまエクセレント」は1kg箱で5,000円以上で販売されていることが多いです。※販売先の条件によっても異なりますので都度ご確認くださいネ。
12月頃に出荷のピークを向かえるハウスきんかんは1kg当たり1,500円前後位で販売される事が多いと思われます。それを考えると、やはり「たまたま」シリーズは高値ということがわかりますね。
完熟きんかんたまたまの解禁日は?
2018年の「完熟きんかんたまたま」の解禁日は1月15日でした。2019年の解禁日もほぼ同時期になる見込みだそうですよ。
ちなみに、初競り価格の最高値では「完熟きんかんたまたま」は3kg箱で10,000円、「完熟きんかんたまたまエクセレント」は1kg箱で30,000円の競り値が出ています!
2019年は一体1粒幾らになるのでしょうか?楽しみですねぇ。
完熟きんかんたまたまはどこで手に入る?
「完熟きんかんたまたま」や「完熟きんかんたまたまエクセレント」は百貨店や高級青果専門店や高級スーパーなどで販売されているのを見かけます。または珍しい果物を扱う通信販売でも販売されているようです。
やはりお値段的に、八百屋さんや量販店では取り扱いが難しいという面もあるようですよ。
また、今はやりの「ふるさと納税」の見返り品として凄い人気を頂いている様です!
あとがき
- きんかんの生産量日本一は宮崎県!
- きんかんは露地栽培が定番だが、ハウス栽培のものもある!
- 宮崎県のブランド完熟きんかん「たまたま」「たまたまエクセレント」はとっておき!
今回のブログ記事を読んでくださった皆様に宮崎県の完熟きんかんの魅力がお伝えできていたら何より幸いです。
甘くておいしく、栄養価も高いきんかんです。
私が思うに、きんかんに唯一欠点があるとしたら、丸かじりした時にどうしても種が気になります…。最近の果実の人気傾向を考えると、ブドウでもそうですが、セールスポイントとして「種無し」が必須アイテムになっているのは間違いありません。
それこそ「種無し完熟きんかん」が実現できれば、丸ごと美味しく食べれるのではと考えると楽しみでもありますね。宮崎県では、宮崎経済連さんや各JAグループや県の行政をを含めて「種無し完熟きんかん」についても、本格的な普及を目指しているとお聞きしています。
少しでも早く本格的に普及して欲しいと切に願っています!
今日もブログを最後まで読んでくださってありがとうございます。
今後とも、果物好きな皆さんにとっておきの果物情報をお届けいたしますね。どうぞお楽しみに。
杉本
最新記事 by 杉本 (全て見る)
- 「伊予柑(いよかん)」とは。柑橘類の特長を青果部長が語る! - 2019年12月18日
- 栗のように甘いじゃがいも「北あかり」とは。品種の特長を解説! - 2019年12月5日
- じゃがいも「インカのめざめ」とは。品種の特長を徹底解説! - 2019年12月3日