皆様こんにちは、青果専門店とっておきやを運営する株式会社オージーフーズの最年長青果担当の杉本(65歳)です。
ここ数年で話題沸騰中の新食感の柑橘とも云われている「紅まどんな」の特長から品種の誕生話、魅力について、詳しくお話しいたします。
目次
最近本当に人気が高まっていて、高級フルーツを取り扱う喫茶店で紅まどんなのパフェを見かけたこともあります。もしかしたら、贈答品として紅まどんなを受け取ったことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。
「紅まどんなってどんな柑橘なの?」と皆様の関心も集まっている注目のフルーツです。産地の方々から聞いたここだけの話もあり、紅まどんなとは何ぞやを深~く、わかりやすく解説いたしますね。
産地を訪問して撮影してきた写真もたくさん掲載します。柑橘ファンの方が知りたい情報満載です!!
紅まどんなとは
紅まどんなとは愛媛県生まれの柑橘類です。「まるでゼリーのよう!」と云われるほどぷるぷるとした食感が人気の品種ですよ。
では、いったいどんな品種であるのか。紅まどんなの特長や産地について詳しく深~く解説いたしますね。
紅まどんなの正式名称とは
紅まどんなは、正式品種名を「愛媛果試第28号」と云います。
その愛媛果試第28号を光センサーでチェックして、糖度、外観、着色、形状等々が合格したものだけが紅まどんなという商品名を与えられて出荷する事が出来るのです。
ちなみに、惜しくもチェックに合格できなかった分は紅まどんなの名前を使うことができません。そのまま「愛媛果試第28号」の名前か、又はそれぞれ出荷元が付けた商品名で出荷されているようですね。
出荷時の名前に特別な価値がある柑橘
実は、皆様お馴染みの柑橘「デコポン」もその名前に価値があります。
デコポンの正式品種名は「不知火(しらぬい)」と云います。
センサーで不知火をチェックし、基本的には糖度13度以上、クエン酸濃度が1.0以下のものだけがデコポンの名前をつけて出荷されます。基準に達していないものは不知火や独自のネーミングで販売されます。
実はここに難しい問題が有り、産地によってはデコポンも不知火も似たような形態で出荷されている上に、果実の形態も一緒で、非常に紛らわしいんですね。
販売する側がデコポンと不知火をキチンと区分けして販売しないとお客様に迷惑を掛けてしまう事になってしまいます。
詳しくはコチラ…
紅まどんなの名前の由来にはあの有名な小説が関係あり!
「紅まどんな」というユニ-クな名前は、全農愛媛県本部が一般公募して名づけられました。
マドンナは聖母マリア、ドンナはイタリア語で貴婦人を表し、夏目漱石の小説「坊ちゃん」の登場する女性の愛称でもあります。そして、小説「坊ちゃん」の舞台は愛媛県の松山市でもあります。
濃い紅色をした貴婦人の様な柑橘、松山市民が憧れたマドンナの様な麗しい果実から命名されました。
「紅まどんな」の名称は2006年4月に全農愛媛県本部が商標登録を申請し、翌2007年4月に受理されました。実は、「紅まどんな」の名前で世に出てからようやく11年目を迎えたところということですね。
紅まどんなの産地はどこ
紅まどんなの産地は、今のところ唯一愛媛県のみで栽培、収穫、出荷されています。愛媛県のオリジナル品種です。
紅まどんなと同じように、もう一つ愛媛県のオリジナル品種として人気なのが「甘平」という柑橘もありますね。この紅まどんなと甘平の2品種の柑橘は、愛媛県のみで栽培されている為に大変希少性の高い柑橘と云えます。
紅まどんなと媛まどんなの違いは?
よくお客様から「紅まどんなと媛まどんなって何がどう違うの?」とご質問をいただくので、ここでズバリお答えいたします!
- 媛まどんなは、愛媛県にあるのま果樹園様の登録商標です。
- 紅まどんなは、JA全農えひめ様の登録商標です。
紅まどんなの誕生
紅まどんなは、もともとは愛媛県で「12月に愛媛みかんを超えるギフトにも使える柑橘を作ろう!」と云う事から開発が始まったと聞いています。
紅まどんなの品種としての誕生は、1990年の春(今から約28年ほど前)に愛媛県の農林水産果樹研究センターで「南香」に「天草」の花粉を交配したことが始まりです。それから秋に得られた種子を育成し、それから月日を経て2003年に種苗登録申請を行い、2005年の3月に品種登録されました。
その後、名付けの公募などがあり「紅まどんな」として最終的に商標登録されたのが2007年ですから、長い年月をかけて誕生した柑橘ということになりますね。
紅まどんなの掛け合わせのご両親「南香」と「天草」の特長
紅まどんなの親となる、掛け合わせの2種「南香」と「天草」についてもご紹介しますね。それぞれの品種の良いところを受け継いだのが紅まどんなというわけです。
南香とは
南香は別名「ニュースカーレット」とも呼ばれています。
温州ミカンの食べ易さ、ネーブルオレンジやデコポンの様な香り、プチプチした食感に豊富な果汁を持っている正にいいとこ取りのみかんです。
又、手で皮が剥けやすく、種も無く、中の身を包む皮(じょうのう)も薄く、芳醇な香りと糖度と酸度のバランスが良く、糖度も大体13度以上は有る美味しいミカンの一種です。
天草とは
又、もう一方の親となる天草は、皆様も良くご存知の「清見タンゴール」と「興津早生ミカン」を掛け合わせた上に「ページオレンジ」を交配して出来た柑橘です。
味はオレンジの血を引いている事も有り、果汁が豊富の上、酸味が殆ど無く、実を包んでいる皮も薄く、特に甘味が強いのが特長です。
果実の大きさは平均が約200g位で、果皮は薄く赤橙食で滑らかで外観の優れています。
こちらも種が殆ど無いので非常に食べ易いのですが、外皮が薄く柔らかい為、手で皮が逆に剥きにくい柑橘なのです。ですから、食べる時はカットしてから召し上がる方法が良いと思います。
紅まどんなの味の特長
紅まどんなは南香と天草の特長を受け継いで誕生した新しい柑橘です。
紅まどんなの味の特長は果汁が豊富で、じょうのうが非常に薄く、甘味と酸味のバランスが良く、独特の香りが有り非常に食べ易い柑橘です。食味、食感に優れています。その上、肉質はぷるぷるとしてゼリー状とも云われるほどで、正に新感覚の柑橘です!
果実の大きさは大体が250g位の大きさですが(ミカンのLサイズで一般的な重さが大体で125g前後です)、手に乗せてみるとずっしりとしたボリュウム感がありますよ。外観にも優れ、見るからに高級感に溢れていますね。
色は赤橙色が濃く、上部が少し尖った独特の果形が特徴です。
唯一の欠点は、外皮が薄く柔らかすぎる為、手で皮が剥けないことでしょうか。(この皮の柔らかさは父親譲りと云えますね!?)
出来ればスマイルカットにして召し上がる様にして頂ければ「紅まどんな」の美味しさを充分堪能して頂けます。
紅まどんなの食べ方についてはこちらの記事もご参照くださいね。
紅まどんなの栽培方法の苦労
紅まどんなの栽培については、生産者の方々もかなり労力を要しています。
初めに若芽(発芽後)の芽かきから始まり、着蕾した場合は摘蕾(蕾を摘む作業)を行い養分の浪費や受精の低下を防ぎます。
6月から7月頃から摘果(余分な果実を摘む作業)を始め、時には時期や天候と相談しながらその後2~3回に分けて実施することもあります。
その後、夏場以降8月の中、下旬には小玉果やキズ果を取り除きます。この時期は実は果実が肥大するとても大事な時期なんです。
糖度は10月以降徐々に上昇し、11月下旬から12月上旬位には12度位には上がります。
酸度(クエン酸)は当初かなり高めですが、8~9月頃には急激に減少し、10月中旬以降はやや緩めになり、11月下旬から12月上旬に掛けては減酸して1%以下になります。正に糖度が上がると同時に酸度が下がる様になっています。
紅まどんなの露地栽培とハウス栽培
この間に夏場に雨量が少ない場合には潅水を行ったり、果実が肥大した場合には枝の折れを防ぐために添え木をして枝を守る様にします。
露地栽培の場合は途中で袋を掛けて品質の安定化を目指していますが、特に露地栽培の場合では秋期に雨に当たったりすると果皮に障害が出たり、クラッキング(果皮にひびが入ってくる)という果皮障害も発生し易くなります。
ですから、紅まどんなの栽培にはどちらかと云えば施設栽培(ハウス栽培、無加温ハウス栽培、雨除け施設等)が向いているのではと云えます。施設栽培であれば色んな障害が有る程度防げているようです。
出荷作業も非常にデリケート
収穫後は出荷基準値(糖度12度以上、クエン酸1%以下)を見定めながらチェックします。
紅まどんなは果皮やじょうのうが極端に薄く、しかも柔軟で果汁が豊富な為、収穫や輸送には大変気を使う商品です。
収穫後の選別でも敢えて優しく扱う為に桃の選果機を使って選別する処も有る位です。
それほど生産者の方も出荷する農協の担当者も特に気を使う貴重な商品です。
紅まどんなの旬の時期はいつ頃?
紅まどんなの旬は、基本的には12月上旬からせいぜい12月20日過ぎ位までが一般的です。売り手としては百貨店のお歳暮のピーク時からクリスマス少し前位までが最盛期だと感じています。
以前は愛媛県内の全産地が一斉に出荷するいわゆる「解禁日」が設定されていましたが、地域ごとに生育状況が異なることも有り、より良い紅まどんなを提供する為に解禁日を無くしたそうですよ。
紅まどんなはどこで買えるの?
商品的な価値も高く、紅まどんなは百貨店のギフト商材として販売されることが多いです。また、丁度その時期の百貨店のフルーツ売場では、化粧箱だけではなく、ばら売りで1個数百円位で販売されている事も見かけたことがあります。
そして、弊社のような通信販売の会社などで扱われることも多くありますね。
決してお安くは有りませんが、産地も扱い時期も限られた希少性の高い商品ですから、ぜひ一度贅沢してみて下さい!
紅まどんなは大切な方への贈り物にぴったり
とくに贈り物にお奨めの商品です。受け取った方は皆様総じてその食感に驚き絶賛の嵐です!贈った方も褒められる商品であると云えますね。
最近では人気に伴い生産量も増えつつあり、産地の方でも少しでも長く召し上がって頂ける様に、工夫を凝らして年明けの1月2週目位まで販売できればと計画しているようです。
今まではお歳暮やクリスマスの用途がメインでしたが、今後はお年賀の需要も増えてくる可能性も大きいと期待しています。
ご自宅用であればお買い得品もおすすめ!
紅まどんなの元々の品種名は「愛媛果試第28号」であり、収穫後のチェックで基準値を超えたものだけが紅まどんなとして世に出ていますが、基準値にたまたま達しなかったものは愛媛果試第28号の名前で出荷されている事が有ります。
この商品は、糖度酸度が基準値以下だったり、多少形状が悪かったりしますが、ご自宅でお召し上がりになるのであれば充分おすすめの柑橘ですよ!
いきなり紅まどんなは敷居が高いと思う方は、愛媛果試第28号でまずは食感などを味わってみて下さい。ただし愛媛果試第28号も希少性が高いので、見つけたら買い!だと思って下さいネ…
また、たまに生育中にキズやスレが付いてしまった分を「ワケアリ品」や「お買い得品」としてお求めやすいお値段で販売されている場合もありますよ。
紅まどんなの人気っぷり
ここまで読んでいただくと、「紅まどんなってすごい柑橘だなぁ」と云う事をお伝えできましたでしょうか。
実は、私たちの様な青果担当の人間がよく読む業界紙でもこの紅まどんなは注目されているんですよ。青果関連の人たちを対象とした「果実の売れ筋期待値ランキング」と云うアンケートが有りました。
そのアンケートの結果、第1位から5位までにランクインしたのが「シャインマスカット」「シナノスイートりんご」「ゆら早生みかん」「紅まどんな」「あきづき梨」だったのです。アンケートの結果から見ても、紅まどんなは我々青果業界の人間からも期待値の高い果実だと分かります。
それだけ業界内でも注目の高い果実なんです。
弊社スタッフが好きなフルーツランキングでも人気!
食べることが大好きな人間が集まっているのが、わが社オージーフーズです。
そんな弊社内でも「好きなフルーツはなに?」と声を募ったところ、なんと!一番人気のフルーツは「紅まどんな」でした!!
続いて「種なしピオーネ」「白鳳桃」「甘平」「貴陽」「国産マンゴー」などが上位を占めました。フルーツ好きなスタッフが多い会社ではありますが、私もビックリでした。
どちらかと云うとあまり一般的には知名度が高いとは思えない様な商品名が次々と出てきました。どちらと云うと割とマニアック的かもしれませんが、これがオージーフーズの大きな特長の一つでもあると思っています。(私自身はとても嬉しく思っていますよ)
詳しくはこちらのブログ記事を読んでみてください。色々コメントがあり面白いですよ。
紅まどんなへの想い
私がこの紅まどんなを取り扱うようになって早10年ほどになります。
どこよりも早く通信販売で企画し、12月の主力商品として取扱ってきました。
お客様からも大好評です!と有る通販で販売したところ、お客様から「こんな美味しい柑橘は初めて食べた。本当に美味しい。生産した農家さんに宜しくお伝えください。」と、ありがたいお言葉を頂いております。
実は、私自身も数年前に12月にお歳暮として紅まどんなを送ったところ、凄い反響でたくさんの絶賛を頂いておりますよ。それからは毎年ずっとこの紅まどんなを送り続けています。
その中で、山形県の有るJAの知り合いに送ったところ、直ぐに電話が有り「自分でも贈り物に使いたいからあと3箱送って欲しい!」と云うリクエストまであったほどです。
我社のスタッフの中でもお歳暮に使いたいという者も結構います。また、退職した人からも「どうしても買いたい」と云うリクエストがあったりしています。
ここまで良い反響が有るフルーツは驚きです。この道長い私でも中々経験したことが無い位です。本当に凄い商品だと思います。
もう10年もの間大変ご協力頂いています、我社の取り扱う紅まどんなの主力産地のJAえひめ中央の生産者の皆様や関係者の皆様には本当に感謝申し上げます。
今後とも宜しくお願い致します。
紅まどんなから新しい品種が誕生する!?
当店のブログをご愛読いただいている皆さんだけに、ここだけの、とっておきの情報です!
先日、愛媛県の方と商談がありまして、その席で凄い商品の話が出ました。
愛媛県内では既に一部の新聞などで掲載されているそうですが、新しい品種として「紅プリンス」という柑橘を開発したそうです!
この品種の掛け合わせが特に凄いんです。
この「紅プリンス」の両親となる品種とは、「紅まどんな」×「甘平(かんぺい)」という愛媛の二大人気柑橘の掛け合わせになるそうです。
この掛け合わせを聞いただけでもう美味しさが想像できる位の凄い柑橘だと思います!!
この「紅プリンス」の名前は愛媛県の商標登録名であり、正式な品種名は「愛媛48号」になります。
味の特長は、紅まどんなのもつぷるぷるのゼリーの様な食感に、甘平の濃厚な甘味を併せ持つと云われています。
これは間違いなく美味しいと思いますし、早く食べてみたいですね!
この話を教えてくださった方は、もちろん既に試食をされていて「とても美味しかった」と云っていました。
ただ、残念なのは「商品化は早くて10年後位になってしまうかも…。」とのことでした。
今まだ少しずつ枝を配っているところだそうで、枝を手に入れた農家さんが実際に栽培に挑戦してみてから段々と市場に姿を現すようになります。
10年後が待ち遠しいですね!!
あとがき
- 紅まどんなとは愛媛県オリジナルのうまい柑橘!
- 厳しいチェックをクリアしたものだけが「紅まどんな」の名前がつく!
- 両親の良いとこどりでぷるぷるジューシーな食味はまさにゼリーのような新食感!
日々人気が高まっている紅まどんなについてお話しいたしました。
このブログ記事を読んで、皆様にも紅まどんなの魅力をお伝えできていれば何より嬉しいです。もしどこかで販売しているのを発見したらラッキーですよ。お見逃しなく!
是非、JAえひめ中央様の紅まどんなを手に入れて召し上がってください!
私自身も、また今年もお歳暮の時期に紅まどんなを注文しないとと思っているところです。
私の知り合いや弊社のスタッフたちも楽しみにしているので、忘れずに注文しないと怒られてしまいますね(笑)
これからも、旬の青果物の話題やとっておきの青果物のお話しでブログを更新します。
実際に私が産地へ行って撮影した写真や動画も掲載しますので、ブログの更新も楽しみにしていただけたら嬉しいです。
本日も青果専門店とっておきやのブログをお読みいただきありがとうございます。
株式会社オージーフーズ
青果部長 杉本
杉本
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