皆様こんにちは。青果専門店とっておきやの杉本です。
今日は豆知識ネタと云いますか、知っておいてトクする雑学ネタをお伝えいたしますね。
柿の中でも「渋柿」について、「渋柿の渋の抜き方」についてお話しいたします。産地でプロが行っている渋抜きの方法から、お家で出来る身近なものを使った渋抜きの方法もご紹介いたします。
目次
柿には甘柿と渋柿がある
柿とは、大きく分けると「甘柿」と「渋柿」の2種類が存在します。
- 甘柿…渋を抜く必要が無く、そのまま食べられる甘い柿。
- 渋柿…渋を抜かないととてもじゃないですが食べることができない渋い柿。
この2種類に分類されます。
そして、びっくりなのが「甘柿とは、渋柿が突然変異して誕生した柿」ということ!柿という果物は、もともとは渋い果物だったのです。それが今となっては甘柿と渋柿が存在するようになりました。
甘柿と渋柿の特長について詳しくはこちらの記事をご参照くださいませ。見分け方のお話しも含め、雑学ネタ満載ですよ。
ちなみに、私のおすすめの柿の種類などについては別の記事で詳しくお話ししております。
美味しい柿の選び方のコツや、保存方法のコツなどもご紹介しております。こちらもぜひ読んでみてくださいね!
定番の渋柿の渋を抜く方法とは
渋柿から渋を抜く方法は、品種によって異なります。
様々な方法を用いて渋柿が甘い柿に変身してお店に並びます。
- アルコールや炭酸ガスで渋を抜く方法
- 皮を剥いて干して「干し柿」にする方法(「あんぽ柿」や「枯露柿」など、干した時の水分含有量で呼び名が変わります)
- 「吊るし柿」にする方法
…等々。
昔ながらの定番の渋抜き方法といえば、やはり「吊るし柿」にする方法が馴染み深いですね。
私の故郷は新潟県ですが、秋から冬にかけてたくさんの家の軒先に柿が吊るされている風景が思い出です。吊るされている柿に雪が少し積もったりするとまた趣があるんですよねぇ。
私が子供の頃は、じっくり時間をかけて渋を抜ぬかれて甘~くなった吊るし柿がとびきりのおやつでした。
産地のプロフェッショナルが使う柿の渋抜き方法とは
渋を抜く倉庫「脱渋庫」とは
産地の中でも大型産地の和歌山県「JA紀北かわかみ」様の脱渋方法をご紹介します。
こちらのJA紀北かわかみ様は昔からお付き合いが有り、生果は勿論ですが、干し柿の人気商品「あんぽ柿」でもお付き合いさせて頂いています。和歌山県内でも大手の優良な産地としても全国的有名な処です。
このJAでは、「平核無柿(ひらたねなし柿)」という渋柿を収穫後、大きな脱渋庫へ持って行って渋抜きの作業が行われています。
脱渋庫内では、約2日間ほど炭酸ガスを充てんし、その後脱渋庫内で1日ほど保存し、そして更に、約1日ほど保温した後に選果機へかけます。選果機では柿の色や形を選別し、それからようやく出荷できる流れです。
しっかり渋抜きされ、チェックをクリアしたものだけが出荷されているというわけです。大規模産地はこの方法が多い様ですね。
一つ一つビニール袋をかけて脱渋する方法
「紀の川柿」という柿の渋抜き方法もご紹介します。こちらもJA紀北かわかみ様で生産されている柿なのですが、また違った方法で渋抜きされています。
産地で実際に撮影してきた動画をご覧くださいませ。
樹々に実っている柿一つ一つに丁寧に袋を掛け、その中に固形アルコールを入れ、そのまま2日間ほど置いて樹上で脱渋されています。
渋抜きの後、柿の色づきの様子を見ながらまた丁寧に収穫の作業があります。
一般的な平核無柿よりは約3週間ほど長く成らしているため、よりいっそう完熟した甘味の強い柿となるわけです。
又、もう少し収穫量が少ない産地では、収穫後に規格をチェックし、箱内にビニール袋など強度のある袋を用意して箱内にアルコールを注入して脱渋を計っている処も有るようですよ。
産地の方々の努力のおかげさまで、世の中に美味しい柿が流通しているんですね。感謝です!
お家でも出来るかも!?渋柿を甘くする方法とは
さて、では「もし買ってきた柿が渋かったら家で渋抜きできるかしら?」と気になりますよね。
渋抜きにはアルコールが使われますので、身近にあるアルコールと云えば「焼酎」を使ってみる方法があります。柿のヘタの部分に少しだけ焼酎をつけてみてください。
上手くいけば、良い感じに渋抜きできるかもしれませんよ。
その他にも、炭酸ガスやドライアイスを使ったり、お湯に入れたりなんて方法もあります。
お湯に入れるとしたら、ちょうどお風呂の温度と同じくらいが適温です。お風呂に入れて渋を抜くなんて話を聞いたことがあります。(柚子湯ならぬ、柿湯!?)
あとがき
今回は渋柿の渋抜きについてお話しいたしました。
渋柿と云っても、実は糖度としては17度ほどあるんです。でも渋があるため甘さを感じられないんですね。そこで渋抜きしてやることで、渋柿が本来持っている甘味を強く感じる事が出来るようになります。
今の時代、店頭に並んでいる柿はほどんど産地できちっと渋抜きされているはずです。すぐに食べることが出来る美味しい柿を出荷してくださる産地の皆様には本当に感謝、感謝ですね。
渋柿にも甘柿にもそれぞれ良い特長がありますので、色々食べ比べして、お気に入りの柿を探してみてください。
今回も青果専門店とっておきやブログをお読みいただきありがとうございます。
今後とも旬の青果物の話題でブログを更新します。どうぞお楽しみに!
杉本
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