どうもこんにちは。株式会社オージーフーズの最年長青果担当の杉本です。
秋の果物といえば「柿」ですね。私も柿が大好きです。昔から定番人気の柿ですが、皆様は「甘柿」と「渋柿」という言葉を耳にしたことはございませんでしょうか。
今日は「甘柿」と「渋柿」の特長についてそれぞれ詳しくお話しいたしますね。見分け方なども解説します。柿好きな方に知っていただきたい柿知識が満載のお話しです。
目次
もともと柿は全て「渋柿」だった!?
実は、生果の柿は、もともとは全て渋~い「渋柿」だったんです。その渋柿から突然変異で「甘柿」が生まれました。
もともと柿と云えば、古くは「干し柿」にしたりして渋を抜いて食べるものだったそうです。そして、ある時の突然変異が起きてからというもの、品種改良を加えて今の様な美味しい甘柿が出来上がった…と、いう歴史があります。
甘柿は世界でもあまり例が無く、日本独特のものと云って良いかもしれませんね。
柿の種類は1,000以上ある!?
柿の品種は現在約1,000種類あるとも云われています。
数多く存在する柿の本来の特長は全て渋い柿だったということですから驚きですよね。
柿の種類について、青果業界に身を置く私のおすすめ情報など満載の記事はこちらです。こちらもお読みいただくと皆様の柿知識がより深くなること間違いなし!
渋柿とは
渋柿はその名の通り、熟しても渋み(タンニン)が残っている柿を云います。
実が固いうちは渋みが残っていますが、「干し柿」の様に干したり、アルコールや炭酸ガスなどを使って渋抜きをして甘さを出す方法も有ります。
渋柿と云っても糖度も比較的高く、糖度15度~18度前後の渋柿もあるんですよ。ただし、渋みの方が勝っているので、そのままだと渋みを強く感じます。
そのため、いろんな方法で渋みを抜いて食べ易くしているんですね。
渋柿の代表的な品種
特に生産量が多いのが「平核無柿(ひらたねなし柿)」です。
他にも、「刀根柿」「紀の川柿」「甲州百目柿」「蜂屋柿」「富士柿」「愛宕柿」「西条柿」「身不知柿(みしらず柿)」「市田柿」「横野柿」「高瀬柿」等が有名ですね。
これらの渋柿はそのままでは出荷できません。皆様も、店頭で「これは渋柿です」と云って売られている柿を見たことはまさかありませんよね?
産地によって、それぞれの品種に合った方法で渋を抜いて出来た甘い柿が皆様のお手元へ届くようになっています。これも産地の農家さんたちの努力の賜物です。ありがたいです。
渋柿の渋抜き方法についてより詳しく書いた記事がございますので、こちらも併せてご参照くださいませ。
甘柿とは
「甘柿」と云えば、以前は「富有柿(ふゆう柿)」と「次郎柿(じろう柿)」が有名でした。最近はこの2品以外にも品種改良が進んで、美味しい甘柿が世の中にたくさん流通するようになりました。
甘柿の代表的な品種
「松本早生柿」「御所柿」「伊豆柿」「陽豊柿」
又、最近特に人気が有るのは「太秋柿(たいしゅう柿)」「早秋柿(そうしゅう柿)」「輝太郎(きたろう柿)」などが有ります。
甘柿と渋柿の種類の4分別
実は、甘柿と渋柿に於いて独特の種類の分け方が有ります。
大きく分けると「甘柿」と「渋柿」の2つなのですが、さらにそれぞれを「完全」「不完全」と、もうひと段階区別する呼び名があるんです。
ここで注目したいのが、「種があるか」ということと、柿を切った際に果肉に見える黒いぶつぶつの「ゴマ」が重要なポイントということです。
実は、柿はあの「ゴマ」の部分がとくに甘みを感じられるのです。つまり、話の筋で云えば「種がある=種のまわりにゴマが出来る=甘い!」という図式が出来るんですね。
ただし、品種によっては当てはまらない場合もあります。詳しくは下記の通りです。
完全甘柿
種の有無にかかわらず、熟すととにかく甘くなる柿を「完全甘柿」と呼びます。
つまり、あの「ゴマ」が無くとも甘い柿もあるということです。ほぼ渋みを感じることはないと云っても良いほどに甘い柿です。
※甘柿のニ大代表品種の「富有柿」「次郎柿」、そして最近人気の「太秋柿」などが完全甘柿の有名どころですね。
不完全甘柿
種の量で甘さが変わると云われているのが「不完全甘柿」です。
種の量が多いと甘く感じられ、種の量が少ないと比較的渋く感じられます。
何故かというと、種の周りにゴマが出来るので、ゴマが出来るきっかけとなる種の量が肝心なのですね。ゴマが多ければ多いほど甘いとされます。
完全渋柿
種に関係なく、とにかく渋い柿です。
特長としては、種があったとしても、甘さの目印になる「ゴマ」が全く生じません。
不完全渋柿
種も存在しますので、ある程度はゴマが入ります。しかし、不完全甘柿とは違って渋みが抜けにくいのが特長になっています。
なんと、一本の樹に甘柿と渋柿が混じって実る品種も有るんだとか。
「甘柿」と「渋柿」の見分け方
一般的に云われている見分け方は…
- 甘柿は形が比較的丸っこく厚みが有り、種が有る。
- 渋柿は形が四角く平べったく、種が無い。(ただし、例外的に品種によっては形が大きく、三角形の柿も見かけます)
ただし、品種改良がどんどん進んでいますので、甘柿でも種が殆ど無い品種が出てきたりしていますね。
近年の青果業界では食べやすさ重視で「種無し」が流行っていますから。ブドウなどはその傾向が顕著になっていると感じます。
皆様がお店で柿を購入する場合、きちっと産地で渋抜きされてから出荷されますので、果物売り場で渋い柿に出会う事はほぼほぼ無いと思います。安心してご購入いただければと思います。柿の美味しさをお楽しみ下さい。
柿好きの青果担当がおすすめする甘柿とは
↑陽豊の産地へ行ったときの写真です
柿好きの私がお薦めしたい柿があります。
甘柿では、岐阜県産の「陽豊柿」です。この陽豊は、別名「赤柿」と云われる位に外皮が赤くなります。うまい!赤い!丸い!と三拍子揃った柿です。
これは樹上で一般的な柿より10日間以上長く成らすことで熟度を上げてから収穫します。まだまだ希少価値の高い商品です。
陽豊柿についてより詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
渋抜き渋柿でおすすめの品種とは
↑紀の川柿に袋掛けして渋抜きをしている様子です。
渋抜きでは和歌山県産の「紀の川柿」がおすすめです。
この柿はもとは渋柿ですが、甘く食べるためにある工夫をして、渋を抜いてから出荷されます。樹上で1個づつに袋掛けて固形アルコールを入れて渋抜きされているんです!
そうすると、甘い柿の特徴である通称「ごま」が果肉の内部いっぱいに広がりとても甘い柿に変身します。
あとがき
甘柿と渋柿の特長についてお話しいたしました。
柿好きの皆様にひとつでも「これは知らなかった!」とあたらしい柿知識を得るのにお役立ていただけたら幸いです。
他にも柿に関する面白い話はたくさんありますよ。
例えば「平核無柿(ひらたねなし柿)」はご存知ですか?私が好きな柿の種類の一つでもあります。(ちなみに、渋柿です。)柿の生産量が日本一の和歌山県でも断トツに多く出荷されている柿です。シーズンになるとTVCMでも和歌山県産の柿として紹介されていますね。
実は、平核無柿は全国的にも多く栽培されており、出荷時にはそれぞれの産地(県)等の名称を付けた商品として販売されているんです!
品種としては同じものなのに、場所が違うと別の名前になるのが面白いですね。
例えば、新潟県ではJA扱いの物は「おけさ柿」それ以外は「八珍柿」とか。山形県では「庄内柿」として販売されています。
他に他産地でも同様に違う商品名で売られている平核無柿が有るかもしれません!
これからも青果物にまつわる面白い話題でブログを更新します。
今後とも青果専門店とっておきやをどうぞよろしくお願いいたします!
杉本

杉本

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