皆さんこんにちは。とっておきやの最年長青果担当の杉本(67歳)です。
近年大人気のぶどう「シャインマスカット」の産地を訪問しましたので、当日の様子を詳しくレポートいたします。写真も動画もあります!
今回訪れたのは山梨県の勝沼です。ブランドとも云える「勝沼のシャインマスカット」の産地を見学してきましたよ。この記事を読んでくださった皆さんに産地訪問気分を味わって頂けたら幸いです。
目次
また、ブドウに関するブログ記事をもっと読んでみたい方はこちらの記事も必見です。ぜひ読んでみてブドウ知識を深めてください。
シャインマスカットとは
シャインマスカットとは高糖度で大粒で種無しで皮ごと食べれるブドウです。
見た目は大粒の鮮やかな黄緑色で、ジューシーな甘みとスッキリとした後味、しまりの有る果肉は果汁が豊富で、マスカットの芳醇な香りも楽しめます。ブドウを美味しく食べられる要素を兼ね揃えている、四拍子揃ったブドウです!
シャインマスカットがどんな品種かという特長については下記記事で田中さんが詳しくご紹介してくれていますよ。
青果を販売する身からして、シャインマスカットはもしかしたら今一番人気の有るブドウかもしれません。
小さなお子様からお年を召した方まで数多くのお客様の支持を得ているブドウです。皮ごとパクパクと食べられますので、アッという間に食べ切ってしまうこと間違いなしのブドウです。
市場においてもとても人気の有る商品で、夏場のハウス栽培物から秋口の露地栽培物にかけて、数多く販売される様になっています。
又、近年は国内ばかりではなく海外でも人気の為、海外輸出用のモノが日本国内のシャインマスカットの相場を引き上げている…とも云われる位に大・大・大人気ですよ!
ブドウの郷、山梨県勝沼町へ産地訪問!
7月の下旬に山梨県甲州市勝沼町へ行って来ました。
東京から車で中央高速を使えば約1時間チョットで到着しますよ。
勝沼町は我々の様な青果業界の人間だけでなく、一般的な方々でも「勝沼と云えばブドウ、ブドウと云えば勝沼」と云われている位ブドウ栽培では超がつくほど有名な産地です。弊社にも山梨県出身のスタッフがいるので話を聞いてみると、やはり「ブドウは勝沼!」という言葉が返ってきました。
勝沼町は甲府盆地の東端に位置しており、傾斜地で有る為に水ハケが良く日当たりも良好で日照時間も長く、昼夜の寒暖差の有る土地の為、ブドウ作りの最適地だと云えます。
長年連続して山梨県はブドウの生産量日本一を誇っています。シェアー率も全体の約25%前後を常にキープし続けています。
そして、ブドウ生産量ナンバーワンの山梨県の中でも勝沼はブランド産地の代表的な産地になっています!
※ちなみに、ブドウの生産量ランキングは2位が長野県、3位が岡山県、4位が山形県と続きます。
勝沼のブドウの歴史
又、勝沼はブドウ栽培の歴史も長く、本当に古くからブドウの栽培に取り組んでいる産地です。
一説によりますと西暦718年(養老2年)ごろからブドウの栽培が始まったと云われています。
そして、1186年(文治2年)ころから増え始め、江戸時代になると勝沼の甲州ブドウの知名度が段々高まり、明治時代の初期頃から本格的にワインの製造が勝沼周辺で始まった事で益々ブドウ栽培が盛んになり現在に至っていると云われています。
そう考えると約1300年も前からブドウ栽培を行っている名産地ということになりますね!
現在、勝沼町には100年以上の歴史を誇る「甲州ブドウ」の樹が有ります。もし勝沼を訪れた際はぜひ見に行ってみてください。
JAフルーツ山梨勝沼支所
今回の訪問先は勝沼町にあるJAフルーツ山梨勝沼支所と云う処です。
JAフルーツ山梨は県内でも最大規模を誇るJAで、その管内では4つのブロック(山梨、塩山、笛川、勝沼)に分かれそれぞれの支所が全部で26カ所もあります。
管内では、桃、ブドウが圧倒的な生産量をほこり、それ以外ではサクランボ、すもも、柿などが有ります。
その中で勝沼支所は勝沼ブロックでは代表的な支所であり、特にブドウの生産量で圧倒的な量を誇っています。
ちなみに、昨年度に勝沼支所で出荷したブドウの総量は約1,220tだそうです。1tは1000kgに当たりますから、それはもう圧倒的な量ということが分かりますね!なんと更に、生産者の方々が個人で出荷した分は約3倍分も有る…とも云われています。
シャインマスカットにおいては約270t出荷されています。
シャインマスカットの生産者の佐藤部会長さん
今回のJAフルーツ山梨勝沼支所でお会いしたのが、生産者を代表して勝沼支所の勝沼生産部会部会長の佐藤守孝さん(73歳)さんでした。
佐藤部会長さんはブドウを作ってもうすでに50年以上のキャリアをお持ちで、現在はご家族3名でシャインマスカットを中心にブドウ栽培を行っていらっしゃいます。
この勝沼支所管内はブドウの生産者さんの数は462名所属している大所帯の産地であり、その中で中心的な生産者さんの代表的存在です。
シャインマスカットの栽培について
生産者さんインタビュー動画
理想の房作り
シャインマスカットの栽培について、佐藤部会長さんの圃場をご案内頂きながら、栽培に関する苦労話を色々とお聞きすることが出来ました。
そこでお聞きしたとある言葉が印象的でした。
それは、「ブドウの形は作る人が決める=生産者のセンスがそのまま出てしまう」ということです。
ブドウは手を掛ければかけるほど良い形の房を作る。
それはつまり、生産者さん手による「房作り」の賜物というわけです。
シャインマスカットは大きく作る事も出来るのですが、大きすぎると鮮度と味が落ちてしまうそうです。
そのため、理想の形(房作り)としては「1房約35粒で約600gの房」がシャインマスカットの形として理想的とのこと。。。
農協さんからも理想形として約500g強の房づくりを推奨しているそうですよ。
理想の房作りのために行われる手作業
基本は1枝に1房になるように「適房」と云う、房を落とす作業が行われます。その結果、約半分くらいの小さな房を落として基本的な形として5本の樹で約4000房位までにするそうです。
又、1房単位でみると放っておけば1房70~80粒位にはなりますが、理想の形にする為ブドウバサミを使って1房の中の1粒1粒を「摘粒」します。
これはもう大変な作業です。これは機械では絶対に出来ない作業の為、全ての房を手作業で行います。これが生産者の人間性が出てしまうと云われる由縁です。
この作業についてはこちらの別記事もご参照ください。
又、「シャインマスカット」の特長の一つである「種無し」の為の作業も大事な仕事になります。
元々、全てのブドウは「核」つまり種が有ります。
種を抜くためにはジベレリンと云う溶液にブドウの房を浸したり、噴霧する作業を2回程行います。この作業を園地内の房全てに行います。その結果として、種なしのブドウになります。
シャインマスカットはご存知の様に美しい緑色のブドウであるため、その溶液は無色のものを使用します。この作業を行う際の天候が特に大事で、湿度や雨等を避けながら行います。
種なしブドウの栽培方法については別記事でも詳しく解説しております。
又、緑色のブドウは遮光が必要な為、先に傘を掛けてそのあとから袋を変える様にします。これらの作業は出荷前の2か月位前に行われるそうです。終盤になって傘と袋を取り、光を当てて、糖度を蓄えます。
その後、圃場内で糖度をチェックして出荷をします。
シャインマスカットの出荷時期について
勝沼のシャインマスカットは、7月のハウス栽培物から今は12月の貯蔵ものまで、かなり長い間販売できるようになってきました。
上記の佐藤部会長さんのシャインマスカットの出荷は9月に入ってからだそうで、今の時期は袋掛け作業をしています。
出荷基準と糖度基準
JAとしての出荷基準は「大房については5kgコンテナで8房まで。それ以上の物は受けない」ことと、「小房の物は基本的にパック詰めをしてから出荷する」という基準があるそうです。
さらに、糖度の基準も設けられています。JAの営農指導員が各圃場を廻ってサンプルチェックをして糖度18度以上の物だけを出荷します。
糖度がそれ以下の物は、約1週間ほど樹上で熟度が上がるのを待って、再度検査をして基準を満たしたものから出荷するそうです。
又、共選所でも同様に糖度をチェックして出荷されています。
厳しい基準をクリアしたシャインマスカットこそがお客様のお手元に届いているということですね。産地の皆さんの努力に感謝、感謝です。美味しい果物をありがとうございます。
あとがき
今回は山梨県勝沼町のシャインマスカットの産地を訪問いたしました。
産地訪問にご協力くださった関係各位の皆さま本当にありがとうございます。
今回、JAフルーツ山梨勝沼支所の生産部会長の佐藤さんの圃場をお尋ねして気が付いた事があります。
すべての作業(摘房、摘粒等)はブドウ棚の中で行います。
実は、私は身長が180cmありまして、私のように体が大きい人間は、とてもブドウ棚の中での作業はできないのでは??と思いました。棚の中で動くのもずっと中腰の為、かなり厳しかったです。。。
又、ブドウ棚はブドウの房が大きくなるたびに、ブドウの重さで(約4000~5000房の加重の為)高さが段々下がってくるそうです。夏場の暑い中での作業はかなり大変な作業だと思います。
こうやって色んな産地を拝見する度に、どんな果実でも一つの物を作り上げるのは大変なご苦労があることを改めて感じます。
我々が販売する際にも、もっと産地の生産者さんの苦労や果物に込められた想いも併せてお伝えして行きたいなあと思っています。
皆さんは先ずは今シーズン山梨勝沼の「シャインマスカット」を是非召し上がって頂けたらとても嬉しいです。
それでは、また次回のブログの更新をどうぞお楽しみに。
とっておきの青果情報満載でお届けいたします!
今回も記事を最後までお読みいただき誠にありがとうございます。
青果部長
杉本
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