皆さんこんにちは!!
「とっておきや」の最年長青果担当の杉本「67歳」です。
今回は春から初夏にかけてのフルーツ”びわ”をご紹介させていただきます。
いつもの通り市場に顔を出していると、「え!?もうこんな時期にこの様な種類のフルーツが出てくるのか!」と思うようなものも入荷が始まりました。
それは、初夏から夏場にかけて、地味だですがそれなりに人気のあるフルーツ「温室栽培びわ(ハウス栽培とも云います)」です!少しずつですが、入荷が始まりました。
今の時期の産地は「びわ」のハウス栽培が盛んな長崎県や鹿児島県です。
目次
皆さんは「枇杷(びわ)」はよく召し上がりますか?
「びわ」の基本的な産地は、九州、四国、中国、関西(一部関東も有りますが)地区が中心になっています。
旬の時期も比較的短いフルーツなので、年間で1回も召し上がらない事もあるのではないかと思います。
「びわ」のイメージは・・・?
みなさんは「びわ」に対してどのようなイメージをお持ちですか?「びわ」は、日本の季節を代表する“和”のイメージのある果実ですよね。
「びわ」のイメージは、比較的小粒の果実ですが、中にそれなりの大きさの種があるため、可食部が少なく、もったいない果実だなんて思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、実は「びわ」の可食部比率はあの「バナナ」と同じ位の%があるんです!
全体の65~70%ほどが可食部分比率といわれています。
バナナと同じくらいの可食部分比率ってちょっと驚きですよね!
味は、品種によっても若干異なりますが、基本的には甘味が強く、ほとんど酸味が無くジューシーで食味、食感に優れています。
また、販売価格に対しては、ギフト用等の化粧箱売りでも、ご自宅で召し上がる様なパックでの販売であっても、粒数のわりに販売単価が比較的高価なイメージになっているのも「びわ」の大きな特徴の一つではないかと思います。
特に近年は、品種改良が続いているため、徐々に単価が上がっているように思えます。
美味しいびわの選び方
びわは、一般的に販売されている形態は化粧箱入りだったり、産地でパック詰めされたものがほどんど。
なかなか1玉ずつ選んで買うことは難しいと思いますが、もし選べる事が出来たら次の様な事を思い出して頂けたら幸いです。
・ヘタがしっかりしているもの。
・出来るだけ左右対称でふっくらしているもの。
・全体が濃いオレンジ色のもの。
・果皮に張りがあり、枇杷独特の鮮やかさが有るもの。
・うぶ毛とブルーム(白い粉)が残っている方が新鮮です。
(但し、出荷作業中や荷造り中などで擦れて落ちる事が有る)
・果皮に傷が付いていたり、うぶ毛が取れてテカテカ光っているものは収穫後日にちが経っているので出来るだけ避けて下さい。
上記を覚えて、より美味しいものを食べてくださいね!
「びわ」の保存方法
基本的に「びわ」は追熟しないため、長期保存が出来ません。
お店に出回る時期も限られているため、出来れば食べたい時に購入して直ぐに召し上がるのが理想です。
もし保存する場合は直射日光を避け、涼しく風通しの良い場所で2~3日程度、状態次第では冷蔵庫で保存してください(あまりお奨めはできませんが・・・)。
もし冷蔵庫に入れる場合は、風味が落ちやすいため短期間でお願いします。
冷やして召し上がる場合は、冷蔵庫の野菜室で1~2時間ほど冷やして召し上がって下さい。くれぐれも冷やし過ぎないように気を付けてくださいね。
「びわの食べ方」について
びわを召し上がる際は、果肉が傷みやすいため、強く押したりせずに、食べる直前にサッと優しくすすぐ程度にしておいてください。
食べる時は、ヘタを(軸)の反対側、へそ(下)の方から手で皮を剝いて召し上がって下さい。
手が茶色くなりやすいので、食べ終わったらすぐに洗って下さい。皮を剝いた後は変色しやすいの、水(またはレモン水などで)に浸すといくらかの歯止めになると思います。
「びわ」の効能について
びわは別名「健康果実」と呼ばれています。昔から「びわ」は身体に良い果実といわれています。
びわにはℬカロテンが多く含まれていたり、ポリフェノールの一種の「クロロゲン酸」(がん予防やウィルス疾病予防に興があると期待されている)も含まれています。
また、「びわ」の葉や種子は昔から薬として利用されていて、今でも「びわ茶」などに利用されています。
「びわ」の産地と品種
産地は、「びわ」の栽培がもともと寒さに弱いという品種の特性があることから、関東より北方地区や日本海側には大きい産地はほとんど見当たりません。
主な産地を見るとやはり、温暖で海に近い産地が多いようです。国内での最大の産地は、「びわ」好きの方ならよくご存知の「長崎県」です。
長崎県は国内全体の約3割のシェアを誇っています。
続いて、千葉県で、その後は香川県、和歌山県、愛媛県、鹿児島県などが、しのぎを削っています。
主な産地の大半は、九州、中国、四国、和歌山等の所謂西日本地区の温暖な海岸べりに産地があります。
稀な関東地区の千葉県でも、産地は海辺に近い比較的温暖な房総半島にある館山市や富浦町などが中心産地になっているんですよ。
また、一般的に夏ではなく春から早めに出荷してくる産地は、ハウス栽培が盛んな産地が中心です。
品種と商品名
品種としては数多くありますが、一般的に有名なのが「茂木びわ」「田中びわ」「大房」あたりです。
その他の品種としては、
・瑞穂
・福原早生(クイーン長崎)
・白茂木
・麗月
・陽玉
・涼風
・長生早生
・室戸早生
・森尾早生
・長崎早生
・楠
・なつたより
等の品種があります。後ほど、品種の特徴については詳しく説明いたしますね。
その中で、国内での最大産地の長崎県のびわの主力品種は「茂木びわ」が圧倒的なシェアを誇っています。
他に今はその中でも比較的大粒系の「福原早生種(商品目“甘香”(あまか)」や「涼風」等が少しずつ増えてきています。
収穫量2位の千葉県では、中心品種が「田中びわ」で商品名が「房州びわ/房総びわ」として販売されています。
千葉県
千葉県でも、やはり大粒系にシフトしてきていて、ここ数年では「大房」という品種が相当量増えてきています。
和歌山県
和歌山県では、JAながみねの下津町を中心に「田中びわ」を「下津びわ」という商品名で、こちらもみかんでも有名な田村地区では「田村びわ」としても販売されています。
愛媛県
愛媛県ではJAえひめ中央管内の伊予市地区を中心として、こちらも「田中びわ」を「唐川(からかわ)びわ」という商品名で販売しています。
鹿児島県
また、鹿児島県では、こちらも比較的温暖な気候を利用した産地(奄美大島、桜島、指宿、垂水等)で栽培されていて、全国でも3~4位ほどの収穫量があります。
他には特に九州全県で栽培されていまし、各産地では品種よりその地区の地名を商品名としている産地が多くあります。
例えば、「天草びわ」「五和びわ」「田ノ浦びわ」「高倉びわ」「安芸津びわ」「轟びわ」等が上げられますが、皆さんこの中にご存知の「びわ」はありましたか?
品種の特徴
「茂木びわ」
西日本における枇杷の代表的種が「茂木びわ」です。
果重は1粒が40∼50g程度の大きさで、果汁が豊富で甘味はやや強めで酸味が少なく、一般的には果肉も比較的柔らかく食べ易い品種です。
旬は5月~6月位になります。
「田中びわ」
果重は1粒が60~80g程度で茂木びわに比較するとやや大きめです。
果実の形は釣鐘形で、味は甘味が強く適度な酸味が有りバランスの取れた品種です。旬は6月頃がピークになります。
「大房(おおぶさ/だいぶさ)」
千葉県の有名産地の富浦町を中心に栽培されている大粒のびわです。「房州(房総)びわ」と呼ばれています。
大きいもので1粒約100gにもなり、酸味が少なく程よい甘味が有り果汁も豊です。旬は6月です。
「長崎早生」(ながさきわせ)
果重は約40~60g位とやや小粒系のびわで、糖度は比較的高く、みずみずしく上品な味わいです。元々寒さに弱いため、どちらかというとハウス栽培向けの品種となっています。
露地物と比べると約2か月ほど早く出荷されます。
「なつたより」
この品種は長崎県果樹試験場で育成され、2009年に品種登録されたまだ新しい品種です。
「長崎早生」×「福原早生」の掛け合わせで、サイズが約60g位と比較的大玉系です。
甘味は強めで酸味は控えめ、果肉はソフトでみずみずしく上品なびわの美味しさを楽しめます。
旬の時期は5月下~6月上旬位です。
私のお奨めの品種
「びわ」の中で色んな品種がある中で、美味しくておすすめしたい品種があります!
その品種とは、長崎県産「大粒の枇杷 “長崎甘香”(福原早生)」です。
「甘香びわ」の栽培はハウス栽培で行っています。果重は1粒の大きさが一般的な物でも約70g以上を超えており、ものによっては100g位の物も出てきます。
1粒1粒がずっしりと重みを感じます。果皮はきれいな橙色です。
味は、酸味がおだやかでさっぱりとした甘味で果肉が柔らかく果汁が豊富でまろやかな味わいで気品を感じて頂ける商品です。
糖度は約11~14度ほどあります!また、大粒なので食べ応えがあるのもお奨めしたい理由の一つです。
「びわ」にまつわる珍しい言葉
みなさんは「びわ」にまつわるこんな言葉をご存知ですか?
「もも・くり3年、柿8年、びわは(早くて13年)」
実際、桃・くり・柿まではよく耳にしますが、びわの13年は今まで聞いたことがありませんでした。
樹が成木に成長してしっかりした果実を付けるまでの凡その年月のことをいますが、他の果実と比較しても長い年月を要する事が判りますよね!
私もこんな言葉は聞いた事がなかったので、ビックリでした。
最近の傾向として
びわは最近の傾向として、生果で召し上がるだけでなくスイーツなどにも多く使われる傾向にあります。
限られた時期だけしかなく、果肉自体が比較的硬めの果実であること、甘味も適度にあり、ジューシーであることから、よく使われるようになって来ています。
もし自宅で食べきれなかった場合には、ジャムやコンポート、ゼリー等にもアレンジするのもおすすめですよ!
最後に・・・待望の品種登場!!
びわはどうしても、他のフルーツと比較して、果肉内の種が大きく可食部分が少ないというマイナーなイメージがついて回るのですが、現在そのイメージを腐食する画期的な「びわ」が栽培され出荷されているんですよ!
そのびわの名前は、まさにびわ生産者の夢である「種無しびわ 希望(きぼう)」です。たな梨だからこそ、可食部分も多いので大変食べ応えのあるびわです。
2004年(平成16年)に千葉県農業総合センターで誕生しました。この「希望」は「田中びわ」と「長崎早生びわ」を交配させて出来ました両種の良いとこを持ち合わせた品種になっています。
ただ、まだまだ生産数量が少ないため、あまり見る機会も少ない品種で、私も話には聞いていますが、まだ見たことはありません。早く見てみたいと思っています!
みなさん、「びわ」はとても旬の短いフーツですので、フルーツ好きな方は、ぜひ時期を逃さないでおいしい「びわ」を召し上がってみて下さいネ!!
青果専門店とっておきや
最新記事 by 青果専門店とっておきや (全て見る)
- 白いとうもろこしは甘みがすごい!特徴や種類など大公開 - 2019年5月24日
- 藪塚スイカとは?人気小玉スイカの魅力に迫る! - 2019年4月24日
- びわの色々解明!長崎県産の大粒びわ「甘香(あまか)」はご存知? - 2019年4月10日