和歌山県産「紀の川柿」とは。品種の特長、産地情報をご紹介!

皆さんこんにちは。青果専門店とっておきやを運営するオージーフーズの最年長青果担当の杉本です。

秋から冬にかけて旬を迎える「柿」の中でも和歌山県産「紀の川柿について詳しくご紹介いたします。紀の川柿の品種の特長、名前の由来、産地のこと、等々深~くお話しいたしますね。産地の写真や動画もあります。

甘い柿が好きな方にぜひ知っていただきたいとっておきの品種ですよ!

和歌山県産「紀の川柿」とは。品種の特長、産地情報をご紹介!

紀の川柿の品種の特長

紀の川柿の特長

和歌山県産「紀の川柿」_袋をかけて渋抜き

紀の川柿はどんな柿かと云いますと、一言で言えば「渋を抜いた甘い渋柿」です。

元の品種は「刀根早生柿」「平核無柿」という渋柿です。それらの渋柿を、従来の様に脱渋庫で渋を抜くのではなく、袋をかけて脱渋作業をすることが大きな特長です!

日当たりの良い園地などの好適地を選定して、その園地内に実っている渋柿一つ一つ1個ずつ丁寧に袋を掛け(勿論手作業)、その袋に個体のアルコールを入れ数日間そのまま過ごし、その後袋の下部を開けて空気を入れ、その後又数日間実を成らせた後収穫します。

そうすると、平核無柿に黒いゴマ状がびっしり入ります。

比較的、他の柿よりも長く木に成らしますので、着色も良く赤くなります。その結果、見た目も赤くなり、甘味もより強くなり、食感は核まわりにトロミ感を感じる事が出来ます。この黒いゴマ状は甘い柿に良くみられる光景です。

こうして一般的な「平核無柿」に手間ひまを掛け樹上脱渋する事で、高級な柿に変化します。

動画で見る!紀の川柿の脱渋作業

私が産地を訪問した時に撮影した動画がこちらです。ぜひご覧ください。

このように、木になっている柿一つ一つに丁寧に袋をかけて渋抜き作業をしているのですよ!どれほど手間がかかっているか…。美味しい柿を作るため、産地の皆さんがどれほど頑張っていらっしゃるか、感謝、感謝ですね。美味しい柿をありがとうございます!

しっかり渋抜きされた紀の川柿は選果場で品質チェックから等階級を見定められ、箱詰めされて出荷されます。

余談ですが、この箱詰め作業もロボットの腕が大活躍していてビックリしたものです。

紀の川柿の元「平核無柿」の特長とは

和歌山県産「紀の川柿」_木なりの柿

平核無柿とは「ひらたねなしかき」と読み、元々渋柿で核(タネ)が無い柿です。

収穫時はもちろん渋みが有りますが、前述の様にしっかり渋を抜く事で見事に甘柿に変身してしまいます!甘柿とは異なり元々果肉が柔らかい柿で、よりいっそう食べ易い柔らかさになりますし、甘味も強く感じます。

実は、渋柿と云えども元々は糖度も比較的高く、時には糖度14~5度位のものも多くあります。渋みが邪魔をして本来の糖度を発揮できていなかっただけなのです。その柿の渋を抜いてやることで、より甘味を感じる事が出来ます。

紀の川柿の産地について

紀の川柿の産地は和歌山県です。

皆さんは和歌山県産の農産物と云えば何を思い浮かべますでしょうか。定番で云えば「梅」「みかん(紀州とか有田とか)」などが挙がりますが、実はもう一品、日本一の生産量を誇る果実が有ります。それが「柿」なのです。

和歌山県内のJA紀北かわかみとJA紀の里が主力産地

和歌山県産「紀の川柿」_産地の景色

和歌山県の名物の一つにもなっている紀の川柿は、産地としては県内北東部に位置するJA紀北かわかみJA紀の里が主力の産地になります。

JA紀北かわかみは、橋本市、九度山町、高野町、かつらぎ町からなり、中央部には「紀の川」が流れています。大阪府と隣接している地区ですね。南には世界遺産の紀伊産地・高野山等の自然と歴史文化を持つ地域です。

又、もう一つのJA紀の里は、ほぼJA紀北かわかみに隣接している北部中央部に位置していて、紀の川市と岩出市に有ります。こちらも中央部を「紀の川」が流れていて、正に「紀の川柿」の名にふさわしい産地と云えるのではないでしょうか。

和歌山の柿の特長

和歌山県産「紀の川柿」_柿イメージ

和歌山県産の柿の特長と云えば甘柿の富有柿も有りますが、どちらかと云えば渋抜きの渋柿が有名です。

「渋抜きの渋柿って何?」と思われるかもしれませんが、元々は渋柿であっても渋抜きの工程を経て甘く美味しい柿に仕上げて市場に出荷される柿があるんですよ。

主な品種は早生種の刀根早生柿(とねわせ柿)平核無柿(ひらたね柿)です。渋柿の渋抜きについては、詳しくはこちらのブログ記事をご参照ください。

渋柿を甘くする方法とは!?プロの渋抜き、お家で出来る方法も解説
秋の人気果物である柿の中でも「渋柿」について、渋柿の渋の抜き方を詳しく解説します。産地でプロが行っている渋抜きの方法から、お家で出来る身近なものを使った渋抜きの方法もご紹介いたします。豆知識ネタと云いますか、知っておいてトクする雑学ネタをお伝えいたしますね。
甘柿って渋柿からの突然変異だとご存知でしたか?それぞれの特長とは…
秋の定番果物の柿について、「甘柿」と「渋柿」の特長をそれぞれ詳しくお話しいたします。実は、柿とはもともと「渋柿」だったんです。その渋柿から突然変異で「甘柿」が生まれました。見分け方なども解説します。柿好きな方に知っていただきたい柿知識が満載の記事です。

又、同じ柿の種類であっても、産地によって商品名が変わる点も面白い特長です。

和歌山県では「平核無柿」として出荷されますが、これが同じものでも山形県庄内地区では「庄内柿」になり、新潟県内のJAでは「おけさ柿」になり、それ以外では「八珍柿」として出荷される場合もありますね。

2018年の台風被害について産地の方々にお話しを聞きました

和歌山県産「紀の川柿」_2018年の台風

2018年は台風が多い一年でもありましたね。とくに和歌山県は台風の襲来が多く、JA紀北かわかみの柿の園地もかなりの被害を受けてしまいました。

枝が折れたり、最悪にも柿の木全体が折れてしまったりする事態が発生してしまいました。強風の影響で実にキズがつき、スレ果が出る事はたまには有るのですが、ここまでの被害はそうあるものではありません…。

樹が折れてしまうと、埋め替えたりと大変な作業が必要になります。

又、埋め替えても樹が成熟するまでは長い年月を要しますので、その間、家計にも負担がかかります。「桃栗3年、柿8年」と云われているように、柿の実が成るまで10年近くかかってしまいます。

青果担当者として、日本全国各地の農作物の栽培状況はとても心配です。産地の方々とみつに連絡をとりあって、なんとか良いモノをお客様の元へお届けできるように頑張っています。

できれば、来年度は今年のようにならないように祈るばかりです。

「紀の川柿」の名前の由来

和歌山県産「紀の川柿」_スライスカット

「紀の川柿」の名前の由来と云えば、なんといっても和歌山県を代表する河川「紀の川」の名前ですね。紀の川は奈良県から和歌山県へかけて流れるとても大きな一級河川です。

柿の生産量日本一を誇る和歌山県が手間暇かけ樹上脱渋して栽培したとっておきの柿ですから、他の柿との差別化を図る為に命名した名前だそうです。名前からして和歌山県を代表する柿ということですね。

今のところは、この「紀の川柿」の名前は商標登録していないようですよ。

紀の川柿は基本的には和歌山県内で栽培されていますが、最近は他産地でも似たような樹上脱渋した柿の商品化も少しずつ増えてきています。九州地区や東北の一部でも出荷されていて、その地区に昔から由来のある商品名で出されることはありますが、やはり元々は和歌山県が平核無柿の樹上脱渋の先駆者です。

ちなみに、熊本県では同じように樹上脱渋した柿を「てっぺん柿」という商品名で販売しています。

紀の川柿のお味はジューシーな甘さが特長

和歌山県産「紀の川柿」_お味の特長

私の個人的な感想ですが、紀の川柿のお味の特長は第一に「甘さ」が際立っています。

また、果汁もたっぷりでとてもジューシーです。とくに種の周りはトロみがあり、柔らかめの柿がお好みの方にはもう堪らない食味食感をお楽しみいただけます!

初めて目にした方はこの黒いゴマに驚かれるかもしれません。この黒いゴマが甘さの証なのです。ぜひ一度お召し上がりいただきたいとっておきの柿ですよ。

紀の川柿は展示会でも大人気!

展示会「野菜・果物ワールド」へ青果専門店とっておきや一同で出展しました

また、当店スタッフ一同で東京で開催された展示会「野菜・果物ワールド」へ出展した際、紀の川柿の断面の「ゴマ」を見ていただけるように横からカットして実物サンプルを展示しておりました。

すると、やはり通りがかる皆さん「これは柿なの?どうしてこんなに黒いゴマが!?」「初めて見た!」と注目を集めていましたよ!

展示会でのお話しはこちらのレポート記事もぜひ読んでみてくださいネ。

展示会「野菜・果物ワールド」へ青果専門店とっておきや一同で出展しました
皆さんこんにちは。青果専門店とっておきやを運営する株式会社オージーフーズの青果担当最年長の杉本(66歳)です。 11月下旬に東京ビック...

あとがき

  • 紀の川柿とは和歌山の柿!
  • 元々は渋柿だか、丁寧に袋かけして渋抜きし、甘~い柿に仕上がる!
  • 紀の川柿の果肉の黒いゴマは甘さの証!

紀の川柿は私自身もとてもお気に入りの柿です。

私が都内の某百貨店で店長をやっていた頃からの付き合いなので、もう20年以上この紀の川柿に携わっています。思い入れもひとしおです。

もし販売しているところを発見しましたら、ぜひ一度お召し上がりいただきたいですね。この黒いゴマを見たら、甘い柿好きの方は感激すること間違いなしです。

今日も青果専門店とっておきやのブログを最後まで読んでくださってありがとうございます。これからも珍しい果物、とっておきの果物をブログでご紹介いたしますね。

どうぞお楽しみに。

とっておきやトップページへ

The following two tabs change content below.
杉本

杉本

2003年入社。新潟県出身の66歳(2018年現在)です。学生時代から百貨店で青果販売に従事し、青果の道一筋に45年以上。市場で大野会長と知り合い、人柄に惚れてオージーフーズへ入社を決めました。好きなフルーツは柿とぶどうです。青果のことなら何でも聞いてください。趣味は産地訪問とスポーツ観戦です!