皆様こんにちは。青果専門店とっておきやを運営する株式会社オージーフーズの最年長青果担当の杉本喜広(66歳)です。
青果の道48年(まだまだ現役!!)の私がとっておきのみかんのおすすめ品種について詳しくご紹介いたします。また、実際に産地を訪問し撮影したみかん圃場の絶景動画も掲載しますので是非ご覧くださいネ。
皆様がみかんを選ぶ時にこのブログ記事を参考にして、お買い物にお役立ていただけたら幸いです。
目次
ちなみに、「みかんってそもそもどんな果物?」ということを知りたい方は下記のブログ記事がおすすめです。みかんの特長や旬のことなど雑学ネタたっぷりで解説しています。おいしいみかんの見分け方のコツもご紹介していますよ!
私のおすすめ!とっておきのみかんの品種と産地のお話
私自身がみかんを選ぶ時に注目しているのは、「品種」と「産地」です。さらに、「時期」も重要なポイントです。暦に合わせておすすめの品種がそれぞれあり、時期によって購入するみかんを決めています。
それでは、私がおすすめする4品種のとっておきのみかんをご紹介いたします!
和歌山県JA紀州産「ゆら早生みかん」
この「ゆら早生みかん」は、私の長い青果業界でのみかんの概念を180度変えた商品です。読み方は「ゆらわせみかん」と読みます。
5年ほど前にご紹介頂いた品種です。
品種としては「極早生温州」の部類に属しているため、まだちょっと青いんじゃないかなぁなんて思いながら試食させていただいてもうビックリ!!でした。
外皮にはまだ青みが残っているにも関わらず、中の身の色が濃く香りもあり、食べた途端、甘さが口いっぱいに広がったのです。
程よい酸味も有って思わず「うまい!」と唸ってしまったほどでした。
糖度を計ったところ、なんと13度も有り「ちょっと待ってよ糖度13度って宮川早生の特選品クラスだよね。なんで極早生でこんなに糖度が有るの!?」と、驚きの連続でした。
元々私が知っていた極早生温州とは、糖度が10度ほどあればOKで、みかんの旨味でもある酸味があまり感じられず、百貨店時代にはあまり取り扱う機会がない印象でした…。
そんな私がこのゆら早生みかんに心底惚れ込んでしまい、今となっては様々な販売先様へイチオシのみかんとしてご紹介させていただいています!
又、我々の青果業界の専門紙にこの商品は今後の期待感の有る果実としてベスト5にランクインもされている商品なんです。
JA紀州のゆら早生みかんはまだまだ生産量も少なく希少性の高い商品ですから、どこかのお店で見つけたら絶対に買いです。
おすすめの旬の時期は10月中旬~11月中旬頃が狙い目です。ぜひ探し当てて美味しいみかんで今年のみかんシーズンをスタートしてください!
熊本県福岡県シトラス21中央産「太陽の雫」
この「太陽の雫」というみかんは、熊本県の北部と福岡県の南部のみかん生産者の15名が立ち上げて作った生産者団体で、オリジナルのブランドみかんとして栽培されています。私としても、このみかんを販売するのはもう10年以上にもなり思い入れのある商品のひとつです。
元々、昔からみかんの有名産地は海岸に近い処が多いと云われています。
熊本北部と福岡南部の産地の彼らは自分達で山を切り開き、太陽がよく当たる様な斜面を作り、潅水設備を入れて、樹間をキチンと取り、圃場内に軽トラックが軽く入る様にして、みかん栽培に手を掛けられる環境を作り出しました。
良いみかんを作るための環境を揃え、このオリジナル品種の太陽の雫を栽培しています。手塩にかけて育てられたみかんです。美味しさは間違いないですね。
特長としては、特に小玉系のみかんは味が濃く、外皮もじょうのう(中の身を包む皮)も薄く、外皮を剝いている時には中のじょうのうまで一緒に破れてしまう事が良くある位、全体が繊細なみかんが出来上がるんです。
もちろん糖度も高く、それに有った程よい酸味も伴い、本当に美味しいみかんです。
生産者が15名の団体ですから、生産量は限られています。貴重なみかんと云えます。見つけたらこちらも絶対買いです!
おすすめの旬の時期は11月上旬~12月上旬位。11月に食べるみかんはこの太陽の雫が私のイチオシです。
愛媛県JAにしうわ産「西宇和みかん(宮川早生)」
日本国内でも有数の優良みかんの産地である愛媛県JAにしうわの「早生温州みかん」もおすすめの品種です。「西宇和みかん」「宮川早生温州」とも云う場合もあります。
JAにしうわのみかんは、基本的には極早生温州からスタートしてメインが早生温州(特に宮川早生)で、それから中生温州を経て普通温州を出荷する流れで動いています。
やはり業界の中でも、JAにしうわの早生温州は何処も欲しがる品種と云えます。特に小玉系が人気です。宮川早生種の特徴が出ていて、とても美味しいみかんになっていますよ!
宮川早生の特長は、外皮が薄く、中の身の色も濃く糖度も高く適度な酸味も有り、小玉系は特に味の濃いみかんです。
動画で見る!愛媛県西宇和のみかん園地の絶景
JAにしうわの所在地は、愛媛県の八幡浜市と一部その周辺地になります。宇和湾を取り囲むように、標高300m位までの段々畑が点在しています。又、JAにしうわはみかんの出荷場(共選場)が10ヶ所近くあります。
美味しいみかんを育てるポイントとして「3つの太陽」というキーワードを耳にしたことはございませんか。この3つの太陽とは、「空からふりそそぐ太陽光」「海が照り返す太陽光」「みかん圃場の石垣が照り返す太陽光」のこと。
それらが揃っているのが西宇和の地なんですね。3つの太陽と、昼間の暖かさと夜の冷え込み、昼夜の寒暖差が大きいことでより美味しいみかんが出来ると云われています。
同じJAにしうわでも特に人気の有る共選場は「日の丸」「真穴」「川上」の3カ所で、通称尊敬を込めて青果の業界では「御三家」と呼ばれています。
この3カ所の商品は中々手に入りにくく、他県や同県の他のJA、同JA内でも他の共選の商品から比較するとやや価格的には高めになっています。みかん好きの方はすでにご存知かもしれませんが、ぜひチェックしてみてくださいね。
おすすめの旬の時期は11月下旬~12月中旬頃です。
静岡県JAなんすん西浦柑橘共選場「寿太郎みかん」
みかんのシーズンでいえば、最後を飾るブランドみかんが「寿太郎みかん」です。
おすすめの旬の時期は年明け2月中旬~3月中旬頃。
この時期には珍しく青島系とは異なり、どちらかと云えば小玉~中玉系で、外皮もそれほど厚くなく、皮も剥き易く味は甘味と程よい酸味のバランスが良く、味の濃いみかんという点が特長です。
寿太郎みかんの最高級ランクは「プレミアム寿太郎」というランクで、中々見かける事が出来ないくらい希少なみかんになっています。是非この「寿太郎みかん」でみかんのシーズンを美味しく終えてください。
ちなみに、静岡県出身の大村君がこの寿太郎みかんをご紹介しているブログ記事もございますよ。
代表的なみかんの品種
さて、「他にもどんなみかんの品種があるか知りた~い!」という方のために、いま私が思いつく主なみかんの産地と代表的なみかんの品種をご紹介いたしましょう。
これらもおすすめの品種ばかりです。ここに挙げた名前のみかんに出会う事が有りましたら、是非とも興味をを持って見てみて下さい!
和歌山県の代表的なみかん
- 有田みかん(和歌山県を代表するみかん早生温州が中心)
- 下津みかん(普通温州以降のみかんが中心。蔵貯蔵の蔵出しみかん)
- 紀南みかん(極早生中心の早出し系が中心の産地)
…などなど。
愛媛県の代表的なみかん
- 西宇和みかん(JAにしうわ管内の各共選場ごとで出荷されます)
- ☆日の丸共選「日の丸みかん」「千両箱」「百年蜜柑」「ガキ大将」
- ☆真穴共選「真穴みかん」「雛の里」「風の舞」
- ☆川上共選「川上みかん」「味ピカ」「小太郎みかん」
- 三瓶共選「しずる(雫流)」
- 八幡浜共選「濱ノ姫」「濱美人」
- みつる共選「蜜る」
- 八協共選「媛美月」
- 伊方共選「媛匠」
…などなど。
☆マークは「御三家」と評される特に人気の産地です。
他にも、宇和島地区、松山地区、越智今治、東予地区、あとは「島みかん」として人気の島々もそれぞれ有ります。
静岡県の代表的なみかん
- 三ヶ日みかん (青島温州みかんの他早生温州から普通温州まである「ミカエース」等も有名ですネ)
- 浜名湖みかん
- 西浦みかん(寿太郎温州)
- 清水みかん
…などなど。
熊本県の代表的なみかん
- 河内みかん (JA夢みらい「夢の恵」品種より糖度へのこだわり)
- 天水みかん (「草枕」)
- 三角(みすみ)みかん(極早生中心の「肥のあかり」「肥のあけぼの」)
…などなど。
長崎県の代表的なみかん
- 西海(さいかい)みかん(させぼ温州みかん(早生種)「味っ子」「味まる」「ながさきの夢」「味ロマン」等が有り、その果の最高級が「出島の華」販売されています)
- 伊木力(いきりき)みかん(JA長崎せいひのこだわりみかん)
- 長崎恋みかん(島原市を中心に栽培され、「島原みかん」とも呼ばれます)
…などなど。
広島県の代表的なみかん
- 大長(おおちょう)みかん(広島県を代表するみかんですよ!)
- 瀬戸田みかん(最高級品は「せとだの五つ星」というみかんです)
- 石地みかん(糖度が高く味が濃厚。「いしじの匠」がブランド品です)
…などなど。
福岡県の代表的なみかん
- 山川みかん(人気の宮川早生種の発祥の地として有名な産地)
- 立花みかん(ブランド品として「姫たちばな」「華たちばな」が有る)
…などなど。
まだまだ他にも…
- 山口県の「山口大島みかん」
- 高知県の「山北みかん」
- 鹿児島県の「桜島小みかん」
- 香川県の「小原紅早生みかん(さぬき紅)(金時みかん)」
…などなども人気の品種です!
あとがき
みかんはファンの方が多く、品種も多種多様にあり、十人十色の様々な好みが有る果実と云えますね。糖度が高く適度な酸もあり味の濃いみかんが好きな方、酸に弱く少しでも酸を感じると酸っぱいと感じる方、糖度が低くても酸が低ければそれを甘いと感じる方…いろんな好みが有ります。
このブログでご紹介した品種の特性などを少しだけでも覚えていただいて、みかんを選ぶ参考にして頂けたらとても嬉しいです。
いま、全国のみかんの生産者の方々は年々高齢化や天候不順よる災害なども含めて色んな要因が重なり、みかんの収穫量が激減しているのが現状です。
その中で、各産地では美味しいみかんを提供する為に、全てをセンサーでチェック(糖度、酸度、着色、傷果等々を)している処が多くなっています。
青果業界に身を置く人間としては、このままでは数年後のみかん果実がどこまで食べる事が出来るのかが心配になってきてしまいます…。
どうぞ皆さん、今シーズンは昨年よりは1個でも多くのみかんを召し上がって頂き、何とかみかんの業界を支えて頂きたいと考えております。
この度も青果専門店とっておきやブログをお読みいただきまして誠にありがとうございます。
これからも旬の青果物の話題でブログを更新します。どうぞお楽しみに!
杉本
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