皆様こんにちは!青果専門店とっておきやを運営する株式会社オージーフーズの最年長青果担当、杉本喜広(66歳)と申します。
先日、長年お世話になっているトマトの名産地、長野県飯綱高原のトマト畑を訪問しました。産地訪問の様子を詳しくレポートいたします。写真も動画もたくさん撮影しました。この記事を読んでくださった皆様に爽やかな長野県の空気を感じていただけたら幸いです。
目次
トマト畑の様子や、ここで収穫したトマトを加工して作るトマトジュースの豆知識などなども詳しくお話しいたします。
トマト好きの方にぜひ読んでいただきたい情報満載です!
長野県にある飯綱高原とは
先日、夏場の暑いさなか長野県の飯綱高原を訪問しました。
ちなみに、こちらの地名は「飯綱」と書いて「いいづな」と読みます。「いいづなこうげん」です。
飯綱高原は長野市内から車で約30分から40分ほど山を上がって行きます。夏はキャンプやゴルフ等のレジャーの場として、冬は県内でも有数なスキー場などの観光地として、一年中楽しめる場所です。
特に飯綱町の中でも青果担当者として個人的に一押しなのが「リンゴパークセンター・いいづなアップルセンター」です。リンゴの栽培でも有名な飯綱町産のリンゴの資料館が有りますよ。
又、同じ地区のサンクゼールの丘には最近ワインやレストランなどでも人気の「サンクゼール」さんが有ります。ここでは自前の圃場でワイン用の各種ブドウの栽培や、レストランのすぐ側ではリンゴなども栽培されていて、旬の時期にはブドウ畑も楽しめる場所です。
飯綱高原は標高500m以上に位置しています。
夏場でも気温はそこまで上がらないのでは?と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、さすがにこの夏の盛りの時期、昼間はゆうに気温30℃以上になることも!
ただ、暑いと云えば暑いのですが、標高500mだけあってけっこう涼しい風が吹いていました。あまり湿気を感じる事もなく、とても快適で過ごし易く気持ちが良かったです。
こんなことを書いていると、バカンスで遊びに行ったのかと思われてしまうかもしれませんが、残念ながら今回も仕事で日帰りでした。とっても残念ですが…。
今回の産地訪問の目的はトマト畑
今回の産地訪問の目的はトマト畑です。
こちらで栽培されているトマトは、長年お取引いただいている「長野県産の完熟トマトを使った100%ストレートジュース」の原料となるトマトです。
このトマトジュースは弊社内でもロングセラーの大ヒット商品で、シーズンパックという特別な製法で作った逸品です。
※「シーズンパック」とは、一年に一度の旬の時期に、収穫したばかりの新鮮な青果物をそのまま缶ジュースにする製法を云います。素材そのものの味わいをお楽しみいただけます。
その完熟トマトの産地がこの飯綱地区です。
飯綱地区は三水地区と牟礼地区に分かれていますが、今回は牟礼地区のトマトの畑と生産者の方にお会いすることができました。今年のトマトの産地状況を確認する事と、少しだけ収穫のお手伝いに参加してきましたよ。
産地訪問の様子を動画でご覧ください!
産地訪問の様子を1本の動画にまとめました。約1分30秒の動画です。ぜひ御覧ください。
よく晴れた飯綱高原の清々しさ、トマト畑の様子、私と弊社スタッフがチャレンジしたトマト収穫の様子、などなどを動画でより身近に感じていただけたら幸いです。
畑を撮影している途中で、少し画面が躓いているのはご愛嬌ということで…(撮影者は私です)
トマトとリンゴの生産者である上野さんにご挨拶
今回は、飯綱町の牟礼地区の生産者の上野さんのトマト畑を訪問しました。
生産者の上野さんは元々飯綱町のスキー場でペンションを経営していたそうですが、たまたま先輩生産者の方に薦められて加工用トマトの栽培を始めたそうです。
生産者としてのキャリアは今年で約5年を迎えたと仰っていました。これからもどうぞよろしくお願いいたします!
上野さんのトマトのお話し
今回訪問した上野さんのトマトの畑は総栽培面積はなんと67aも有り、収穫中の圃場には10aあたり苗木が約1,000本も植えられています。※a(アール:1aは10m×10mで、100㎡を云います)
ここでは今年の目標収穫量は70トン!!
つまり、1トンは1,000kgなので、70,000kgものトマトが収穫される見込みとのことです。メーカーのコンテナはだいたい20kg目安だそうで、いっぱいにトマトを積んでもコンテナ約350個分にもなるようです。
今年の加工用のトマトの栽培状況は、収穫量としては春からの天候が良すぎた影響で、雨が必要時に殆ど降らず、全体が小粒傾向なんだとか。量としては昨年より減少してしまっているようです。
ただ、雨が少ない分、昨年以上に糖度が高いトマトが実っている模様です。
上野さんの圃場で採れたてのトマトを1個試食させて頂きましたが(採れたての為、トマトが熱を持っていて暖かいと云うよりは少し熱い感じでした)、とても信じられないくらい美味しいトマトでした!
もし夕方に居酒屋あたりで冷やしトマトとしてメニューに出てきたら大変な人気商品になってしまうのではないかと思いました。ご馳走様です!
正直何個か貰って帰りたかかったのですが、収穫量が少ないと云われていたので遠慮してしまいました。とても残念で後ろ髪が引かれる思いでした…。
上野さんのリンゴのお話し
上野さんは加工用トマトの栽培以外にも、リンゴの栽培も大規模に展開していらっしゃいます。
現在、リンゴの栽培面積はなんと150aもあるそうです。5年前の最初スタート時は20aだったそうで、この5年間で7.5倍に拡大させたそうです。凄いですね!
栽培品目は「サンフジ」が中心で、上野さんは昨年主力のサンフジをコンテナで約1,500箱も出荷したそうです。
又、他には長野県で開発された品種の「シナノスィート」「秋映(あきばえ)」「シナノゴールド(黄色い品種)」他に早生系の「つがる」を栽培していると仰っていました。
とくに飯綱のシナノスィートは品種の特性が良く出ると云われている「標高500m以上の産地が良い」と云う条件にピッタリの産地として有名です。
いつか機会がありましたら、ぜひ上野さんのリンゴ園も訪問してみたいですね。
生食用トマトと加工用トマトの違いとは
生食用トマトの特長
皆様が生で召上がる「生食用」と云われるトマト(品種は「桃太郎」とか「ファースト」種などが定番ですね。)は、ハウス栽培を含めて施設で栽培されている場合が多いです。
大きな施設では大型ビニールハウスやガラス温室等で栽培されますね。ハウス内の温度、湿度、潅水、肥料の量などはコンピューターでしっかり管理されています。
栽培方法は、一般的には「立木栽培」や「立体栽培」と云われる「トマトの苗木を上に伸ばして行く栽培方法」で、年に何回か収穫することが可能です。
トマトは完熟状態ではなくまだ少し青めのものを収穫して、市場や流通の間で輸送途中に丁度良く赤い色が付くようにします。お客様の手元に届くまでの間で少しずつ青みが抜け、だんだんと赤みが増すように時期を見計らっての出荷作業となります。
ただし、生食用でも「フルーツトマト」や「こだわりのトマト」等、産地でしっかり完熟させてから出荷する品種もあります。
加工用トマトの特長
産地訪問に同行した弊社スタッフが一生懸命トマトを収穫しています。ガンバレー!
長野県産の加工用トマトの特長は、生食用とは異なり、完全露地栽培で地面にそのまま植えて栽培する「地這栽培」になっています。
だいたい5月頃に播種(=植えつけのこと)して、8月に入ってからの収穫になります。
この露地栽培は非常に大変な作業が必要なんです。
7月位になって日差しが強くなって来る頃から、圃場内に植えたすべてのトマトの苗木に日焼け防止のためのワラを被せます。畑の写真にワラが敷き詰められているのはそういう理由があるんですね。
青果物の成長のために太陽の日差しが必要なのですが、トマトの実が日焼けしない様に大切に気配りして手間をかけて育てられています。
8月になって収穫の時期を迎える頃には、圃場内の真っ赤に完熟したトマトだけを収穫します。着色が浅いものは一斉手を付けず、じっくり着色を待ってから順々に収穫を続けます。
それも、丁寧に1玉1玉ずつ手作業で収穫します。
地這栽培の為、腰を曲げてしゃがんだり、地べたに座ったり、体に負担がかかりますが、それでも丁寧に人の手で収穫されています。
暑い8月の炎天下の中、この何年かお邪魔してお手伝いをしていますが、とても大変な仕事です。正直、私はとても毎日できない仕事だなぁとひしひしと感じています。
この大変な作業をシーズン通してやって頂けることには、だただた感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます。
トマトジュースの豆知識
トマトと云えば、栄養価のお話しで最初の思い浮かぶのが「リコピン」ではないでしょうか。
よく云われるのは、トマトは完熟する直前から「リコピン」の含有量が増えると云われています。又、以前ラジオの情報番組で「リコピン」を簡単に取る方法として「トマトジュースで採るのが簡単だ!」と話題になっていたのを耳にしたことがあります。
ちなみに、100%のジュースには「ストレートタイプ」と「濃縮還元タイプ」と云う種類があるのはご存知でしょうか。それぞれの特長を簡単にご説明いたします。
「ストレートタイプ」のジュースの特長
ストレートタイプとは、新鮮な素材そのものを搾った果汁を殺菌し、そのまま詰めて作る果汁100%ジュースです。
素材そのものの味をお楽しみいただけます。
ちなみに、殺菌方法は「加熱殺菌」「加圧殺菌」などがあります。
「濃縮還元タイプ」のジュースの特長
濃縮還元タイプとは、搾った果汁を濃縮してから殺菌し、それを水で元の濃さに還元して詰めた果汁100%ジュースです。
どうして濃縮する必要があるのかと云うと、濃縮しておくと原料を輸送する際などに利便性があるからです。
例えば、海外産の原材料を使って作る100%ジュースなどは、一度濃縮されてコンパクトになった原材料の方が輸入する時に便利なんです。
また、フルーツなど青果物には「旬」がありますね。濃縮した原材料保存をしておいて、一年中いつでも美味しいジュースを作るためにも濃縮還元は便利な手段だと云えます。
どちらが良いというものではなく、それぞれ味の好みで選んでいただければと思います。
また、最近の流行りで云えば無塩タイプのトマトジュースが人気ですね。ただ飲むだけではなく、お料理などにも使い易く、アレンジも利きますので使い勝手が良いのが人気の秘訣です。
皆様は「トマトジュース」はお好きですか?
お客様の声でよく頂戴するのは「生のトマトは大好きでよく食べるけど、何故かトマトジュースは苦手…。」と云う方や、まるっきり正反対で「生のトマトは苦手だけど、トマトジュースは大丈夫!」という方がいたり、トマトジュースは好き嫌いがはっきりしている方が多い印象を受けています。皆様はいかがでしょうか。
トマトジュースが苦手と云う方の中で特に多くみられるのが「トマトの青臭さが苦手」という方が多いようですが、弊社でお取引しているこのトマトジュースは元々の原料のトマトが格別に違いますから、青臭さは全くといって良いほどありません。
逆に、加工用トマトと云っていますが、もう生のままお召し上がりいただいても本当に美味しいトマトです!
おすすめのトマトジュースの飲み方
私も今では一人前にトマトジュースの話をしていますが…、
実は、元々はトマトジュースが飲めない口でした。この仕事をさせて頂いているうちに美味しいトマトジュースに出会ったおかげさまで飲めるようになったんです。
夏は冷やして、冬は温めて、その日の気候に合わせて美味しく頂いています。
「えっ!?トマトジュースを温めるの?」とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、コレが意外と美味しいんですよ。温めたトマトジュースにオリーブオイルをほんの少し数滴だけ足して飲むのがおすすめです。
少し肌寒いなと感じた日に、ぜひ一度お試しください。
おすすめの飯綱グルメ
なんと云っても、長野県を訪れた時に食べたいものは「信州そば」ですね!
いつもお世話になっているメーカーご担当者様と弊社スタッフと一同で長野を訪れた際にはこのお店に来るのが私達の定番になっています。このお店は信州そばはもちろん、天ぷらも絶品です。
ありがたいことに、メーカー様にご馳走になってしまいました。いつもいつも本当にありがとうございます。ご馳走様です!
あとがき
今回は長野のトマト畑の産地訪問レポートをお届けいたしました。
長年お付き合いいただいているメーカー様、生産者様もいらっしゃって、もう6年か7年ほど毎年お伺いしている産地です。また来年もどうぞよろしくお願いいたします!また来年も一緒におそばを食べに行きたいですね。
これからも旬の青果物の話題、産地で見てきたこと、聞いてきたこと、などなど、とっておきの情報をブログで発信いたしますね。
これからも青果専門店とっておきやをどうぞよろしくお願いいたします。
杉本
杉本
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