皆さんこんにちは!オージーフーズ最年長青果担当の杉本(66歳)です。
今回のブログのテーマは、秋の人気フルーツ「梨」についてのお話しです。
梨とはどんなフルーツなのか、梨の歴史から、代表的な品種、特長や、個人的にオススメの品種について、おいしい梨の選び方などなど、梨に関する情報満載でご紹介致します。
この記事を読んでいただければ、あなたも「梨博士」ですね!
目次
弊社で撮影した梨の写真、各地の梨産地で撮ってきた写真もたくさん掲載致しますね。
このブログ記事を読んでくださった皆さんに梨園訪問気分がお伝えできますように…。
梨の歴史とは
梨は日本で栽培される果実の中でも歴史が古く、すでに弥生時代には食べられていたそうです。江戸時代には多くの品種が栽培されていたと云う記述もあるようです。
現在の様な「甘くて果実が柔らかい梨」は、明治時代以降に発見されたり、品種改良されたりしたものです。梨の歴史の中では比較的「最近」と云うことになりますね。
元々は中国が原産地と云われていますが、現在では沖縄を除いて全国でいろんな種類の梨が栽培されています。
梨の3つの区分は「和・洋・中」
梨は大きく分けて①和梨、②洋梨、③中国梨の3つに区分されます。
それぞれについて詳しく解説いたしましょう。
和梨とは
いわゆる国産の梨で一般的には「赤梨系」と「青梨系」に分かれます。
和梨の特長は、形は丸い球形で食感はシャリ感(ざらつき)が有り、甘味も強く、品種によっては食味が硬いもの、少し柔らかいものが有ります。
赤梨の代表的品種
「幸水」「豊水」「新興」「新高」「あきづき」「南水」等々
外皮が黄褐色の物を言います。赤梨は糖度が比較的高く、ジューシーな事も特長のひとつです。
青梨の代表的品種
「二十世紀」「サンセーキ」「かおり梨」等々
外皮が淡黄緑色系の物を言います。青梨の糖度はそれ程高くは有りませんが、上品な甘味とジューシーさが特長になっています。
※とくにサンセーキ梨は「無袋栽培」であるのが特長です。二十世紀梨を栽培中にあえて袋をかけず太陽光をたっぷり浴びさせて糖度を高めて「サンセーキ」の名前で出荷します。JA長野の商標登録です。
昔は、「関東地区は赤梨」「関西地区は青梨」なんて云われていましたが、現在では関西地区でも圧倒的に赤梨の割合が増えてきているようですね。
主な和梨の産地とは
県別の梨の生産量は、第1位が千葉県(ふなっしーの地元の県)2位が茨城県、3位が栃木県その後に続くのが福島県、鳥取県と続きます。
この中では鳥取県の青梨の代表的な品種「二十世紀梨」が昔からの一大産地でしたが、最近では赤梨の栽培もかなり多くなってきています。
それ以外のトップ4はほとんどが赤梨の産地で、早生系の「幸水」「豊水」等から始まり、中生種の「あきづき梨」等を経て晩生種の「晩三吉」「新興梨」「にっこり梨」「新高梨」等に繋がって行きます。
洋梨とは
洋梨は西洋梨とも云われますね。
果実の形が特長的です。上が細く、お尻が大きい、まるで瓶の様な形をしています。
美味しく洋梨を味わうために覚えていただきたいのは、「洋梨は収穫後すぐには食べる事が出来ず、必ず追熟が必要になる」という点です。
※追熟は、風通しの良い、日の当たらない涼しい場所で数日置いてください。
洋梨の代表的な品種は「ラ・フランス」や「ル・レクチェ」等が有名ですね。
これらの品種は、基本的には一定の温度で一定期間保存し、成熟した後出荷します。(保存する期間は品種によって異なります)
追熟後の洋梨は非常に滑らかでとろける様な食感で、食味も良く糖度も高く、芳醇な香りが堪能できる梨です。
主な洋梨の産地とは
主な産地としては、山形県、長野県、新潟県、青森県、岩手県、福島県、北海道など。北の産地が主力となっていますね。
特に有名なのは、「ラ・フランス」は山形県、「ル・レクチェ」は新潟県、又「ブランデーワイン」は北海道が有名です。
まだまだあります洋梨の品種
細かな品種まで入れると、洋梨に分類される品種は何十種類もあると云われていますが、市場や店頭でお目にかかる事が出来る品種としては凡そ十種位かと思います。
皆さんは洋梨の品種はどれ位ご存知でしょうか?
私がいま洋梨と聞いてパッと思いつく品種名を挙げてみますね。
洋梨の品種例(これでもまだまだ一部ですよ!)
「ラ・フランス」「ル・レクチェ」「ブランデーワイン」「ゴールドラフランス」「バートレット」「レッドバートレット」「オーロラ」「ゼネラル・レクラーク」「マルゲリット・マリーラ」「シルバーベル」「バラード」「コミス」「セニョール・デスペラン」
等々
※ちなみに、「ル・レクチェ」「コミス」「オーロラ」等は高級洋梨として扱われることが多いです!
この中でも特に栽培量が多いのは圧倒的に「ラ・フランス」です。ラ・フランスだけで洋梨全体の栽培面積の65%を占めていると云われています。
その量は、和梨の中の「新高梨」や「二十世紀梨」と肩を並べる量にもなるそうです。
中国梨とは
中国梨はなかなかお目にかかる機会が無いので、もしかしたら存在さえご存知の無い方もいらっしゃるのではと思われる梨の一種です。
形は洋梨に近い形をしていますが、洋梨よりも少し小さめであるのが特長です。
気になる中国梨の味は、甘味と酸味のバランスが丁度良いと云われていて、洋梨の香りと和梨のシャリ感も感じることが出来ます。
中国梨の代表的な品種
中国梨の有名な品種としては、「鴨梨(ヤーリー)」「慈梨(ツーリー)」「千両梨」等が有ります。皆さんご覧になった事は有りますか?
私は以前、百貨店のフルーツショップに居た時に販売していた事が有ったのでいくつか知っているくらいです。
これを機会に、名前だけでも覚えて頂ければ幸いです。
梨の品種と旬の時期とは
梨はなんと「150種類以上の品種がある」とも云われています。
主な産地は九州産で福岡県、佐賀県、熊本県などが中心ですが、一部関東地区の茨城県あたりでも少しずつ出荷されています。
又、梨は旬の季節ごとに品種が変わって来ます。その為に販売期間が比較的長く(7月から最終的には12月頃まであります)種類も多くそれぞれ食味食感が異なり、長く楽しめる果実なんですね。
それでは、季節ごとの人気品種をご紹介します。
夏に旬を迎える梨の種類
- 幸水梨 …生産量NO1の人気の品種!甘味が多く果汁たっぷり。
- 新水梨 …小さめで酸味がありやや甘味あり、品種の交配にも使われます。
- 彩玉梨 …新しい品種で甘味が強く酸味が控えめでシャリ感のある食感が特長。
- かおり梨…青梨系のやや大玉で香りが良くさわやかな美味しさ。
- 豊水梨 …果肉が柔らかくシャキ感のあり、甘味と酸味が程よくマッチした味。
秋に旬を迎える梨の種類
- 二十世紀梨 …青系の代表的な品種 さわやかな酸味とジューシーさが特長。
- サンセーキ梨…二十世紀の無体栽培をこう呼びます。
- 新高梨 …大玉系(1玉1㎏の物もある)瑞々しい食感に甘味があり酸味が少ない。
- あきづき梨 …形が丸く甘味がしっかり有り酸味が少ない。
- 南水梨 …甘味が強く酸味が少なくジューシーな美味しい梨。貯蔵性もある。
- 新興梨 …柔らかい食感で甘味と少しの酸味が有り果汁が多い。
- 長十郎梨 …昔から人気の品種 瑞々しくやや硬い食感と甘みの有る梨。
- にっこり梨 …大玉系だが甘味が強く酸味が少なく瑞々しい果肉を持つ。
11月以降に食べられる梨の種類
愛宕梨、晩三吉梨、王秋梨、などが有ります。
青果部長おすすめの梨5選!!
では、皆さんお待ちかね(!?)の、私のオススメの梨をご紹介いたしましょう!
今年の梨を購入する際の参考情報にしていただけたら幸いです。
元々地方の田舎育ちの私にとっては、夏果実の代表的な果実は梨だったような気がします。今でも幸水や豊水は良く買って食べていますので、梨好き人間なのかもしれませんね。
そんな私のイチオシの梨は合わせて5つの品種です。
和梨では「あきづき梨」「南水梨」「にっこり梨」の3つ。
洋梨では「ル・レクチェ」「ゴールド・ラ・フランス」の2つがイチオシです。
それぞれの特長と魅力をより深くお伝え致しますね。
あきづき梨の特長と魅力
「あきづき梨」は元々「新高×豊水」に「幸水」を掛け合わせて誕生した赤梨です。
平成13年に品種登録されました。
果実は大きめで500g位の大きさで、果肉は柔らかいのですが地味茹で、幸水や豊水に比べて酸味が少なく、強い甘味を感じる事が出来る美味しい梨です。
収獲時期は9月下旬ごろから。
主な産地としては、千葉県、茨城県、熊本県、栃木県、福島県等です。産地もまだまだ新しい処も多い為、まだまだ希少な品種です。
良いあきづき梨を選ぶコツは、形は全体的に丸みが有り、お尻が広めでずっしりとしているものがオススメです。
完熟すると果皮が褐色になるので、程よく色づきの良いものが美味しいあきづき梨と云えるでしょう!
南水梨の特長と魅力
次のお奨めの品種は同じく赤梨の「南水梨」です。
南水梨は長野県で開発された品種で、「越後」と「新水」の掛け合わせでできています。
形はやや楕円形をしておりサイズは凡そ350g程の中玉です。
味の特長は糖度が高く、甘味が強く、酸味が少なく果汁も豊富でジューシーな甘味を堪能できる品種になっています。
南水梨については下記の記事でより詳し~く語っています。ぜひ読んでみてください。
中でも有名な産地は伊那地方のJAみなみ信州で、1個づつセンサーを掛けて、糖度(14度目安位)、色、形などの最高ランクを「太鼓判(たいこばん)」という名前でブランド化しています。
※因みに2番手は「優糖生(ゆうとうせい)」という名前でランク付けをしています。
出荷時期は凡そ9月中旬ごろから出荷が始まりますが、貯蔵性に優れているので年明けでも店頭に並ぶことが有ります。
にっこり梨の特長と魅力
3つめにご紹介するのは「にっこり梨」です。
栃木県が平成8年に品種登録した梨で、今では栃木県を代表する品種です。
大きさはなんと平均果重が800gも有る大きな梨です。時には一玉で約1kg以上の重さのものも有るびっくりの大きさ!
食感は肉質が緻密で甘みが強く、酸味が少なく瑞々しいのが特長です。
晩生種の梨ですから、出荷時期は10月中旬ごろからになります。貯蔵性が大変良い為お正月でも味わうことが出来ます。
因みに現在では、栃木県全体で力を入れており海外向けやお歳暮、お正月に向けてしっかりと貯蔵して販売しています。最近ますます人気が出てきている品種の一つです!
処でこの名前の「にっこり」とはどこから来ているかと云うと、諸説有りますが、より有力なのは…
- 栃木県を代表する観光地の「日光」
- 梨を中国読みで「り」と発声すること
この2つを合わせて、「日光梨=にっこり」になったと云われています!
また、「その大きさに『にっこり』、食べてその美味しさに思わず『にっこり』」とも云われています。
ル・レクチェの特長と魅力
私の大のお気に入りの洋梨は「ル・レクチェ」です。
ル・レクチェは、そのシルエットがエレガントな事から「洋梨の貴婦人」とも呼ばれています。
主な産地は新潟県で、白根、加茂、三条、佐渡などが県内でも優良産地となっています。
味の特長は、果肉が非常に滑らかで緻密であり、果汁も豊富で、何よりもその果肉から発せられる芳香はとても甘くて芳醇なもので、口に入れると舌の上で蕩ける様な食感を味わう事が出来ます。
※前述の通り、洋梨は必ず追熟してからお召し上がりくださいませ。
ル・レクチェは栽培が難しい為、生産量が非常に少ない事も有って、まだまだ希少価値の高い商品だと云えます。価格的な面では、見た目の高級感なども有り、少々お高めのお値段で販売されていることが多いです。
ル・レクチェの旬は12月上旬あたりです。その為、お歳暮の逸品として使われる事も多い品種の一つです。
実は、私自身も毎年この「新潟県産ル・レクチェ」を知り合いや友人たちにお歳暮として送っていて、とても喜ばれています。新潟県出身の私にとっては、ちょっと誇れる一品になっています。
ゴールド・ラ・フランスの特長と魅力
ゴールド・ラ・フランスとは「ラ・フランス」からの枝代わり(突然変異の一種)の品種で、別名「金系ラ・フランス」とも云われています。
ラ・フランスよりはやや小ぶりですが、形は似た様な感じです。特長的なのは「色」ですね。果皮は全体的に灰茶色のサビに覆われて、追熟させると「金」色を思わせるような色合いになります。
その見た目からゴールド・ラ・フランスと云われています。
もしどこかで出会ったら、是非一度召し上がって見て頂きたい洋梨です。
味は追熟が勿論必要ですが、熟度が上がると果肉はとろける様な食感とクリーミーな舌触り、又芳醇な甘い香りが口いっぱいに広がる絶品の洋梨です。
主な産地としては、山形、長野が多いのですが他の東北の一部の地域でも収穫されています。
たま~に通販などで見かけますが、見つけた時が買い時だと思って下さい。私の隠れたオススメの一品です。
美味しい梨の見分け方と保存方法について
季節の美味しい果実を見分けて、その旬の時期に召し上がって頂くことが、我々青果担当者の一つの大きな責務だと思っています。
このブログを読んでくださっている皆さんへ、とっておきの美味しい梨の見分け方をお伝えしますね。
甘くて美味しい梨のポイント
- 全体的に形が良く、果皮に張りが有ること。
- 同じ大きさなら、重みのある方が良いでしょう。
- 軸がしっかりとしている物(枯れていない物)
- 果皮に色むらが無く、お尻の部分がふっくらとして広いものが良いでしょう。
- 赤梨系は適度な赤みの有る方が良いでしょう。
- 二十世紀梨等の青梨系は、緑色からやや黄色み掛かってくると甘味が出てくると思って下さい。
梨は枝側よりもお尻(果頂部)の方が甘い傾向にあります。
また、種に近い部分よりも皮に近い方が糖度が高くなっています。
保存方法のコツ
もし箱買いしたり、数多く買った場合などの保存はどうした良いか簡単にお話ししますね。
赤梨系でも晩生種(遅い時期に出てくる品種:新高、晩三吉、にっこり、新興、愛宕等の大玉系で果肉が若干硬めの品種)は、比較的もともと日持ちがします。
幸水、豊水、あきづき、秋栄等の早生種から中生種(7月~9月位まで)を保存するには、新聞紙で包んでからポリ袋などに入れて冷蔵庫の野菜室等で保存してください。
品種の特性にもよりますが、7日~10日ほどは日持ちすると思います。
元々梨は水分が蒸発するとカサカサになるので、出来るだけ早めに召し上がって下さい。
時間が経つと果肉の部分が蜜状になることが有りますがこれは「水梨」といって、決してリンゴの蜜の様なものではなく、逆に味も無くぼけた味になりますので気をつけてください。
どんどん出てくる新しいユニークな名前の梨たち!
私が幼少の頃、新潟の田舎で食べていた梨と云えば「長十郎」と「二十世紀」でしたが、今では「長十郎」は殆ど見かけなくなってしまいましたね…。
梨は「幸水」「豊水」から始まり、中生種から晩生種に至るまで、かなり多くの品種が見られますが、またまた最近ではいろんな名前の梨が出てきています。
最近はユニークな名前の新しい梨がたくさん誕生しています!
「かおり梨」「王秋梨(おうしゅう)」「新甘泉(しんかんせん)」「秋甘泉(あきかんせん)」「彩玉梨(さいぎょく)」「秀玉(しゅうぎょく)」「秋麗(しゅうれい)」「二十一世紀梨」
等々、きりが無いほど…。
こんな名前の梨は皆さんご存知ですか?
もしこの中で何品かご存知でしたら、もうその方は「梨の通」の方かもしれませんね!
秋の行楽に梨狩りも最高ですよ!
数年前に、茨城県にある昔から懇意にさせて頂いている梨の生産者の方のご厚意で梨園にお邪魔して「梨狩り」をさせて頂きました。
幸水梨の軸を簡単に捻ると、あら不思議!なんと簡単に梨が捥げてしまいました。弊社スタッフ4名でお邪魔したのですが皆びっくり!
その場で収穫したての幸水梨にかぶりついて、またまたビックリ!超が付くほど美味しい梨でした。
皆さんも機会があれば、秋の行楽に梨狩りはいかがでしょうか。ぜひオススメです!
「梨」に対しての概念が変わる位美味しいですよ。
ここ最近、市場で見かける梨の話
夏の暑さも本番を迎え、涼しい秋が待ち遠しいですね。
ここ最近、市場でも日々梨の入荷が増えてきています。それも幾つかの産地から入荷しているのが幸水梨です。
幸水梨の産地は九州が中心で、福岡、熊本、佐賀などが中心で、関東地区では茨城産の幸水梨も入荷してきています。
今入荷している幸水梨は「ハウス栽培」が中心で、今後は「無加温ハウス(施設栽培とかトンネル栽培とも言います)」、そして8月には「露地栽培物」が入荷してきます。
露地ものが出てくる辺りで一玉あたりの単価もこなれて買いやすい価格になってきますが、ハウス栽培の時期はどうしても価格が高いので、中々手が出しにくいですよね。
この時期から、梨のピークを迎え初冬までの間の長いシーズン色んな特長を持った旬の美味しい梨が出てきますので、是非和梨だけでなく、洋梨も含めて楽しいでください!
今日も、株式会社オージーフーズが運営する青果専門店とっておきやのブログをご覧いただきありがとうございます。
今後とも季節の旬の青果のお話しをお届け致しますので、お楽しみにしていただけたら幸いです。
ありがとうございます!
とっておきや 青果担当 杉本
杉本
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