皆様こんにちは!青果チーム最年長(66歳)でブログを書くようになった杉本です。
先日私たち青果スタッフ一同で山梨県の桃の産地へ訪問してきました。産地の皆様とお話しして、桃の園地を見て、大切な桃栽培への熱い情熱をひしひしと感じてきました!
そこで今回は、産地の皆様からお伺いした桃へのこだわり、産地での様子を、写真や動画で皆様にレポートいたします。産地訪問記です。
目次
この記事を読んでいただいて、今年の桃は産地の皆様の熱い想いを一緒に感じながらお召し上がりください!ここだけの話も盛りだくさんです(笑)
桃好きな皆様にこのブログ記事を楽しんでいただけたら幸いです。産地の様子をお伝えする動画も写真もたっぷり掲載しますね。ちなみに、カメラマンは私です。
山梨県の甲州市塩山へ出発!
※お昼ご飯を頂いたレストラン「ぶどうの里」から撮影した甲府盆地の風景です。絶景ですね!
山梨県の桃の産地である甲州市塩山と云う処へ行ってきました。
私より(だいぶ)若手の青木君と大村君と一緒でした。
行先は毎年桃の出荷をお願いしている丸大久保田商店さんです。この丸大久保田商店さんではここ数年来は毎年約7,000箱位(1箱約2kg)販売した「本白鳳」桃の出荷をして頂いている会社です。
いつもお世話になっております!いつもありがとうございます!
今年の桃の生育状況を桃のプロフェッショナルに聞いてみました!
桃のプロフェッショナルである久保田社長と農協の担当者によると、「今年の桃の生育状況は今の処はGOODです。でも終わりも早いかも???」とのお話しでした。
今年は桃の花が咲く3月中下旬頃から天候に恵まれていて、桃の花の満開の時期が例年より約1週間ほど早かったようです。
※ちなみに、桃の花が咲くのを見たい方は3月中下旬頃に産地を訪れてみてください。この時期に東京から中央高速で笹子トンネルから勝沼を過ぎた頃、しばらくは桃の花が満開で迎えてくれることでしょう!
その後も天候に恵まれて、順調に生育されてきています。
こんな年は、このままいくと玉伸びがあまり進まず若干小玉系が多くなり、量的には若干少なめになります。小玉で量が少ない分、味は期待できる傾向にあると思います!!
ただし、もしこのまま順調に行き過ぎると…!?
ヘタすると山梨の桃の中でも晩成種の白桃各種(加納岩白桃、浅間白桃)などがお盆前には終わってしまう可能性も充分に考えられるようになってしまいます。
そうすると、例年ですと8月いっぱいから9月初旬位まで有るはずのものが、1か月以上前に終わってしまうかもしれないと云う心配も出てきます。桃好きな方々にとってはとても悲しいことです…。
とにかく夏は毎日毎日良い天気が続く事を祈っています!
桃にとって収穫直前の天候がとても重要!
「桃」と「サクランボ」は収穫直前の天候がとっても大切なんです。
ここでもし大雨が来たり、かえって天気が良すぎても悪影響が出てしまいます。
高温が続いて昼間と夜間の温度が同じくらいだと桃の着色が悪くなってしまったりして、味にも収穫上にも問題が多くなってしまいます。とってもデリケートな果物なんです。
私達の様な青果担当者は6月~7月は毎年、山梨(桃)と山形(サクランボ)の天気がとても気に成って眠れない日も有ったりするんですよ。いわゆる職業病っていうのでしょうか?
ちなみに、おいしい桃を選ぶコツや桃の食べ頃の見極め方について興味がある方はこちらのブログ記事も参考にドウゾ。
こだわり過ぎている桃
私達が販売している桃は、一般的に市場等を経由して店舗で販売している桃とはちょっと異なっていて、こだわりぬいた桃になっています。
具体的に何にこだわっているか、「産地」「糖度13度以上」「品種」「丁寧な箱詰め」「栽培」の5つのこだわりポイントを詳しく解説いたします!
産地へのこだわり
先ず1つ目は産地へのこだわりです。産地は山梨県のJAフルーツやまなしと云う農協で、その中でも大藤共選と云う共選所に限定しています。
※共選所とは、果物を選果して出荷する処です。
JAフルーツ山梨さんは桃の生産量で断トツ日本一の生産量誇っていて、桃の大型出荷場が8つも有る農協さんなんです。元々は幾つかの桃とブドウの産地の農協が合併してできた山梨県ではナンバー1の大きい農協です。
中でも昔から良い桃をつくる生産者さんが数多く居る産地の一つです。
その共選場に出荷している生産は現在約250名で、昨年度は桃の出荷数量は約23万ケースにもなる産地です。ある年では約30万ケース(5㎏箱換算で)も出荷されていた頃もある程の生産量を誇るとっておきの名産地です!
光センサーチェックした糖度13度以上の特秀ランクへのこだわり
2つ目のこだわりは、その大藤共選で出荷時に光センサーで1個ずつチェックして糖度が13度以上の特秀ランクのみを箱詰めして出荷します。
実は、この光センサーチェックにもかなりのこだわりがあります。
光センサーでのチェックは、フリートレイというバーコードがついたお皿に桃を乗せて糖度を計ります。現在は桃の出荷場では比較的良くみられる光景になりましたね。
又、光センサーも従来までは桃の果頂部(上の部分)の1ヶ所だけの糖度を計って居ましたが、今では桃の1個全体の果汁の平均糖度を計るようになりました。これは産地にとって昔と比較しても結構キツイものになっています。
センサーでチェックした後は、一般的には桃を手でつかんでフルーツキャップを掛けていますが、ここの大藤共選では機械を使って出来るだけ人の手に触れない様に細心の注意を払ってフルーツキャップを掛けています。
ここでのポイントは、選果の時には人の手に触れないように機械で行い、最後の箱詰めは人の手で丁寧に行うというのが桃への思いやりなのです。
品種へのこだわり
3つ目は、品種に拘っています。私達のこだわりは「本白鳳」という桃です。(「ほんはくほう」と読みますよ)
桃は時期によってメインの品種が変わって来ます。
例えば、5月は母の日等のギフト商材としてハウス栽培の桃の極早生種(ちよひめ、はなよめ等)が6月中旬位まで主流です。
続いて早生種(日川白鳳等)が6月初旬から下旬にかけての主流となり、7月上旬から8月上旬位にかけて出てくるのがこの「本白鳳」です。
そしてその後は、晩成種(川中島、浅間等の白桃、夏っこ等)が7月中下旬~8月下旬にかけてと大きく分けてこんな感じで品種が変わって来ます。細かく言うと、もっともっとたくさん品種が有りますが…。
その中で私たちは品種を「本白鳳」にこだわっています。
こだわりの「本白鳳」桃とは!
「本白鳳」桃とは、赤色が比較的濃く果汁が豊富で果肉は緻密で甘みも強く、糖度は特秀ランクで13度以上有ります。
ちなみに、このJAルーツやまなしでは早生種の「日川白鳳」の特秀ランクは12度以上となっており、糖度が早生白鳳と本白鳳の特秀ランクで糖度が1度異なります。
桃の糖度1度違いはかなり甘味の感じ方が変わります。
ここではとりあえずはこの上のランクないので、特秀は最高ランクになります。
プロの手による丁寧な箱詰めのこだわり
4つ目のこだわりは、丁寧な箱詰めです。
共選所で桃を選果した後、丸大久保田商店さんでセンターへ持ち帰り、その後しっかり1個ずつ検品して2kg箱に詰め替えています。大きさも1個当たり250g~300g位のずっしり重い大きさで、早朝収穫して当日のうちに出荷するなどのこだわりも持っています。
柔らかくなってしまった桃や、少しでもキズが有る桃は、残念ながら一緒に箱詰めすることはできません…。
丁寧に箱詰めされた桃をおうちで食べるまで上手に保存したい!という方に知っていただきたい、桃の保存方法のちょっとしたコツを青果スタッフの青木君が解説しています。
こちらもぜひドウゾ。
栽培へのこだわり
栽培にもとてもこだわりをもって取り組まれています。
春の桃の木に花が咲くのが大体4月位のこと。樹の大きさにもよりますが、平均では1本の樹に約20,000個の花が咲きます。
そこから花を摘んで、1本の樹に約5,000個程の実をつけます。
そして最終的には、5月末から6月に掛けて摘果しながら1個ずつに袋を掛けて、最後は1本の樹になる実を約1,000個位にして大事に育てます。こちらの動画は、その摘果作業をしながら実1個1個に丁寧に袋掛けをしていらっしゃる様子です。
※摘果とは、樹に付いている実を厳選して間引く作業のことです。
最後は銀シートを敷いて、袋を取って、太陽に光を目いっぱい当てて育てます。
又、圃場に草が生えてきますが、除草剤を使わず機械で刈ってそれを肥料代わりにも使ったりして、美味しい桃を作る為いろんな工夫をされています。
そして程よく成長したらいよいよ桃の収穫ですが、ここで天敵が現れます…!!
桃栽培の天敵
それはカラスなどの鳥が丁度美味しく育った桃を摘んでしまうんです。
どうも彼ら鳥類は美味しく熟した果物を見分けるセンサーを持っているようで、桃が樹上で熟した頃を見計らって、生産者の方が「明日収穫しよう」と思って居る矢先を見事に摘まれてしまいます。野生の勘は流石です…!
桃圃場の横にはカラスを捕獲する仕掛けも有ったりするのですが、中々効果が上がらない様です。
桃栽培に適している矮化栽培とは
そして樹の高さも、あまり高くせず、どちらかと云うと上より横に枝を張る様にして行きます。この栽培方法を矮化栽培(わいかさいばい)と云います。
こうして枝を横に這わすことで作業がしやすくなり、樹間を広く取る事で風通しが良くなり、太陽の光が桃の実によく当たる様にして行きます。
生産者さんから聞いたお話し
今夏はたまたま毎年視察させて頂いている生産者さんの圃場でお話を聞くことが出来ました。この日は丁度摘果しながら袋掛けを奥様と二人でしていました。
※圃場(ほじょう)とは、「畑」「農地」のことです。
この圃場は緩やかな斜面に矮化栽培で多くの桃を植えられているそうです。品種としては日川白鳳からスタートして、本白鳳、夢みずき、浅間白桃、そして大玉のプラム「貴陽」を栽培していると仰っていました。
この圃場だけでなくこのエリア一帯の特徴として、矮化栽培が進んでいる事はもちろんですが、傾斜地であるため西陽が長く当たることも、美味しい桃が出来る条件の一つになっているようです。
いつもおいしい桃をありがとうございます!
ちなみに、桃の生産者様から直伝で教えてもらったおすすめの食べ方についてお話ししたブログ記事もございますので、こちらもぜひ読んでみてくださいね。
山梨の期待の新品種「夢みずき」桃!
現在山梨県では早生系の「白鳳」「本白鳳」、そして晩成種の「夏っこ」「浅間白桃」「川中島白桃」など様々な品種の桃が栽培、販売されています。そして新たにデビューしたのが、山梨県が開発して現在強烈に売り込んでいる新品種の「夢みずき」という桃です。
「夢みずき」は平成12年に品種登録された新品種で、大玉系の「浅間白桃」と「暁星」との掛け合わせです。その特長は380g~400g程の大きさにもなり糖度も15度近くあり、酸味が少なく、7月中旬位から収穫できる桃で山梨県果樹試験場で開発された品種です。
産地間での期待度も高く、大藤共選場では昨年までは個人選果で出荷していたそうですが、今年からは共選場でセンサーを掛けて選果する予定だそうです。
日量200箱位は出荷を予想しているようで、糖度が高く15度以上の物を「特秀」ランクの上のランク作って販売するか現在検討中との事です。どうなるか楽しみですね~!
おそらく、この「夢みずき」桃は出てくると、今年の出始めは百貨店あたりで1個1,000円位で販売が予想されます。もしかしたらもっと高い価格が出てくる可能性もあります。
私も7月中旬になったら是非この「夢みずき」の情報を集めて実際に食べてみますね。これもすべて勉強です。おかげさまで青果業界にかれこれ40年以上身を置いていますが、どんどん次世代の新品種が出て来ますからね!まだまだ勉強中ですよ!
皆さんも7月中旬になって百貨店などに行く機会が有りましたら、是非売場を覗いてみて下さいネ。
もし「夢みずき」が手に入ったら商品画像を撮ってこちらのブログでご紹介できるかもしれません!?どうぞお楽しみに。
これから桃の最盛期を迎えます。ぜひおいしい桃で夏を楽しんでください。
今日もオージーフーズが運営する「青果専門店とっておきや」のブログをご覧いただき誠にありがとうございます!!
杉本
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