皆さんこんにちは!
最年長青果担当の杉本(66歳)です。いよいよ夏に向ってまっしぐらと云う感じの時期ですね。
今日は「おいしい桃の見分け方と食べ頃の見極め方」を皆様にお伝えいたします!
桃が旬を迎える夏本番のその前に、皆様にぜひ知っておいていただきたいフルーツ知識です。
目次
そういえば、つい先日から市場でもハウス栽培の桃が結構入荷していましたよ。
桃は青果物の中でも老若男女からとても特に人気が高いもののひとつですね。弊社のスタッフの間でも「桃大好き!」という声が多いです。
そんな大人気の桃ですが、お店で自分で選んで買ってみても「はずれ」だった…な~んて、残念に思ったことが有る方は案外いらっしゃるのではないでしょうか?
私が前職の百貨店の青果売り場に立っていた頃も、ご来店くださったお客様から「どんな桃を選べばいいかしら?」とよく尋ねられたものです。
もともと桃って価格的に高いものでもありますし、待ってました!と期待感も高いものということも有りますよね。
せっかくの年に限られた期間しか食べられない桃に巡り合える時期ですから、今回は、皆様が桃をお買い上げ頂いた時に満足感を得て頂ける様に、おいしい桃の見分け方、食べ頃の見極め方を私なりにお伝えしたいと思ってこのブログを書きました。
どうぞよろしくお願いいたします。
おいしい桃の見分け方
実は、青果担当者でも桃を取り扱う上で一番難しいことのひとつが「おいしい桃の見分け方」なんです。
これまでも様々な桃の産地へ出張しましたが、その結果として産地の皆さんに教えて頂いた「おいしい桃の見分け方」のコツをご紹介します。
おいしい桃がもつ3つのポイント
おいしい桃を見分けるためには、3つのポイントに注目してみてください!
- 「形」 桃の形が割れ目を境に出来るだけ左右対称で丸みの有るもの。
- 「色」 全体に着色が良いものでピンク色または黄色がきれいなもの。
- 「香り」甘い香りが出ているもの。
まずはこの3つのポイントを押さえているのがおすすめの桃と云えます。
お店へお買い物に行かれた際は、ぜひ青果担当の方に声をかけて「こんな桃が欲しい」と相談してみてください。青果担当の人間ってお客様とお話しすることが大好きな人間が多い(と私は思っています)ので、お客様から相談していただいたら張り切って良い桃を探しますよ!
また、産地の方々から聞いたおいしい桃のポイントは他にもあります。ご参考までに…
- 桃の果皮の枝の部分にまでしっかり色が付いて居るもの
- 果皮に産毛の様な薄くてやわらかい毛がしっかり生えているもの
- 木の上枝部分のもの
- 実に弾力感の有るもの
等々
桃は出荷の最盛期がおいしい!?
又、桃は品種にもよりますが出荷の最盛期が美味しいとも言われています。
「極早生桃」⇒「早生桃」⇒「中性種桃」⇒「晩生種桃」と、順に品種が変わって来ます。
この中に、例えば「早生種」の代表品種として「白鳳」が有り、「晩生種」の中には「白桃(川中島白桃など)」が有名でしょうか。
光センサーでおいしさチェック!
ここ最近では、桃の産地でも殆ど「光センサー」でのチェックが導入されています。
光センサーでチェック出来るのは、糖度、果形、着色、熟度、です。光センサーのチェックをクリアした高品質な桃だけが、その要素を保証される様に成ってきています。
光センサーで区分けされる桃の等階級
特に最近では産地の統合が進み、光センサーの導入により桃の等階級がよりはっきり区分け出来る様になりました。
産地の光センサー機もより高度化され、以前の様に一点集中の果頂部の一点だけの糖度を計るタイプから、現在では「透過式センサー」という桃の1個の果汁の平均値を計測して糖度として案内するタイプのものが導入され、より詳細に桃の優劣が区分けされています。
基本的に、産地では糖度の高い桃の等級が高くなり、一般的には「特秀」や「秀」等のランクが付けられます。
おもしろい桃の等階級の小話
又、ブランド産地ではいろんな名称でランクを表示している処も有ります。
特に有名なのは山梨県JA笛吹のみさか共選の最高ランクの桃を「大糖領」と云います。「だいとうりょう」と読む当て字ですよ。
この表示の桃は品種によって若干異なりますが、糖度を何度以上と云う基準を設けてセンサーでのチェックに合格した桃だけこの「大糖領」の名称が付けられます。
もし店頭で「大糖領」の名札が付けられた桃を発見したら、それは最高ランクの品質基準を満たしているおいしい桃だと思っていただいて間違いないでしょう!
ちなみに、メロンの等階級も面白いんですよ。
ご興味ある方はぜひこちらのブログ記事も読んでみてください。
桃の食べ頃の見極め方
実は、桃って特に食べ頃って決まりがあるわけではありません。
※メロン等は有る程度、熟度の関係から食べ頃の時期がほぼ決まってきます。
私は、桃の食べ頃とは食べる方の食感のお好みによると考えています。
桃が大好きな方は、硬い桃が好きな方と、表皮が柔らかくなった(中身の果肉も少し柔らかくなります)桃の方が好きな方と、完全に分かれている印象があります。
いまこのブログを読んでくださっているあなた様はいかがでしょうか?
どんな食感の桃がお好みですか??
硬い桃も柔らかい桃も、それぞれの食感のおすすめの食べ頃と食べ方をご紹介いたしますね。
硬い桃が好きな方におすすめの食べ頃&食べ方
硬い桃の好きな方には、収穫したての桃を水洗いした後、そのまま皮ごと頭から(果頂部)から「ガブリ」と丸かじりする食べ方がおすすめです。
実はこの食べ方は、産地の生産者の方から直伝で教えてもらった食べ方なんです。
桃の国内生産量ナンバーワンの産地である、山梨県の桃の生産者の方々からおすすめだよ!と教えてもらった食べ方です。
では、なんで硬い桃を召し上がるのでしょうか。
それは生産者の方々は「桃は皮と身の部分の糖度が一番高い」と云われているのを知っているからでしょうかね。
硬いままですと糖度は変わりませんが、少し酸味が有りますので、それがプラス要因となって、甘味と酸味のバランスを感じる事が出来るので、好まれるのかもしれませんね。
と云うわけで、私も「ガブリ」と丸かじりしてみました。
柔らかい桃が好きな方におすすめの食べ頃&食べ方
柔らかい桃がお好みの方も多くいらっしゃいますよね。
というよりは、一般的にはどちらかと云うと柔らかい方が好きというお客様が圧倒的に多いかもしれません。
ここで云う「柔らかめの桃」というのは、手で皮がスーと剥ける桃の事を云います。
皆様がご自身でお店等で購入したり、頂き物の時でも、まずは「追熟」をしてみてください。
常温で置いて頂き、数日(1~2日後位になると)経つと、甘い香りが立ってきて部屋中に甘~い香りが充満してきます。
※皆様のお住まいの地域の気候・気温によってもかかる日数は変わるので、様子を見ながら追熟してあげてくださいね!
こうなると果頂部(桃の果実の上の部分)から皮を剥くとスーと剥けてきます。
イメージとしてはこの動画の桃ですね。手で簡単に皮を剥くことが出来ます。桃の皮を剥く方法+種を取り除く方法の参考にもなる動画です。
又、これくらい柔らかくなると、食べ易い硬さになり甘い香りも際立ってきます。
硬めの桃特有の酸味も取れ、皮を剥いただけで果汁が滴ってきますので、手に触れると果汁で手がベタベタになることが有ります。ですから、柔らかめの桃を皮を剥いて召し上がる時は濡れタオルが必要になりますので注意してくださいね(笑)
桃は食べる直前にちょっとだけ冷やすのがおすすめです
桃をより一層おいしく楽しむためおすすめなのが、食べる直前に冷蔵庫で小1時間くらい冷やしておくことがポイントです。
暑い夏の日に、ひんやりほどよく冷やした桃をいただく。最高ですね!
昔は冷たい川のせせらぎで自然に冷やしてなんて贅沢な食べ方が出来ましたね。
逆に、避けて頂きたいのは冷やし過ぎない事です。
冷やし過ぎると、折角の甘さや、芳醇な香りなどなどの桃のおいしさが損なわれてしまう事が多くありますので注意してくださいネ…。
また、青果専門店とっておきやブログ内に青果担当者が書いた「桃の保存方法のコツ」「桃のおすすめ料理」などの記事も参考になると思います。
桃好きの方にぜひお読みいただきたい情報満載です。
これからも四季折々の旬のフルーツの話、日本全国各地の産地で体験したこと、情報などなどブログで発信いたします。
更新をお楽しみにしていただけたら嬉しいです!
ここだけの桃の耳より情報
ではここで、昨年福島県の桃の産地へ出張した時のことをお話しいたしますね。
それは桃の選果場の前にある駐車場での出来事です。私たちは福島県の桃の代表品種「あかつき桃」の選果を視察しに行きました。
その選果場の前にある駐車場で、選果時(もしくは選果前)でやや傷が有ったり、少し過熟気味の桃を「訳あり桃」としてお買い得なお値段で販売されていたんです。
なんと長蛇の列で一旦品切れを起こすと2時間待ちになってしまうほど凄い光景でした!
地元の人達は勿論ですが、観光の方々も多く並んでいましたよ。駐車場内の車も、福島ナンバーだけでなく東京地区のナンバーや福島近隣のナンバーも多くありました。
ちゃっかり弊社の青果担当者も自宅用に数枚購入していましたね。「訳あり」ではありますが、自宅で食べるには全く問題なく、おいしく完食したと話していました。
もし、皆さんが、桃の産地(山梨、福島、長野、新潟、山形等々)へ車で行く機会が有りましたら、それぞれの道の駅や産直のお店、地元農協の選果場等を探して掘り出し物の「訳あり桃」にもチャレンジしてみては如何でしょうか?
熟度が高いので日持ちはしませんが、残りそうになったらミキサーにかけて桃ジュースなどにしても良いと思います。
今の処、今年も桃の出来は4月の開花以降天候に恵まれていて、生育は例年よりやや小玉傾向ではあるが順調に来ているようなので、味にも期待したいと思っています。
今年は特に桃を楽しみましょう!!
青果担当者泣かせの果実「桃」のこぼれ話。。。
我々の様に青果の売り場を担当していた者にとって、「桃」は多分扱いにくい果実の代表だと思います。
お店での桃の取り扱いの時には、最大で細心の注意を計ります。
何故なら、桃を手に持つ時は絶対に指先では扱いません。
手のひら全体で桃を包む様にして扱います。
間違ってもし指先に力を入れて桃を扱うと、少し時間が経つと果肉に押されが出て来て、その位置が黒く変色してくるため、もうそこで商品では無くなってしまいます。
又、青果店の店員泣かせの特徴があります。
それは、夏場の暑い時期に汗をかきながら桃に触れると、腕などがとても痒くなることが有ります。桃の産毛(?)のせいでしょうか。皆さんも気をつけてくださいネ。本当に本当に痒くてツライので…。
そして、桃の特長といえばそのデリケートさも果実随一ですね。
元々桃の収穫は、ある程度硬めで収穫します。なぜかというと、ある程度の硬さがないと輸送に耐えられないからです。
基本的に農協扱いの桃は、朝早くから行われます。硬さを保持する為に、出来るだけ外気温が上がらない時間帯に収穫したいんです。生産者の皆様の努力が伺われます。本当に感謝です。
収穫後は、生産者が自宅で一応選果してコンテナに詰めて選果場へ持ち込みます。
その後、各農協によって若干異なりますが、光センサーで糖度、色、形などの幾つかの項目をチェックし等階級を決め、箱詰めしたり、パック詰めしたりして出荷します。
この時も出来るだけ桃に触れない様に産地ごとに工夫しています。
産地の方々が丁寧に、丹精込めてお届けする桃です!
今年も桃のピークが楽しみですね!
今日も青果専門店とっておきやのブログをお読みいただき、誠にありがとうございます。
杉本
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