皆さんこんにちは。青果担当最年長の杉本です。
今日のブログのテーマは『沖縄のパインアップル』について、私が産地に行った時に聞いた話を元に、パインの歴史や栽培の様子、お気に入りの品種、それぞれの特長も含めて語ります。
美味しい実を見分けるコツもお伝えしますね!
目次
パイナップル?パインアップル?沖縄パインは「パインアップル」と呼ぶ!?
まずお伝えしたい雑学ネタがあります。
よく聞かれるのが、「パイナップル」と呼ぶか「パインアップル」と呼ぶかという問題(?)です。気になりますよね。
私が聞いたことがある通説ですが、輸入もののパインを「パイナップル」、沖縄県産パインを「パインアップル」と云って区別している産地の方もいらっしゃいます。
とは言うものの、沖縄でも「パイナップル」呼びは使われています。結局は個人によるみたいですね。呼び名をそう区別している方もいるという雑学ネタとして、どうぞ。
パインアップルの名前の由来とは?
英語で書くと「pineapple」ですから、どっちが正しいというものではなく、ちょっとした発音の違いなんですけどね。
パイン(松ぼっくりに似た姿)+アップル(りんごのように甘くジューシーなフルーツ)ですから「pineapple」です。成長途中のパインアップルの姿をご覧いただければ、名前の由来もなるほど!という感じです。
その名の通りでしょう。
松ぼっくりのような形(パインpine)で、林檎のように甘くジューシーなフルーツ(アップルapple)で、パインアップルpineappleですね。
まずは雑学ネタと名前の由来のお話しでした。
今回のブログは沖縄パインについてのお話しなので、「パインアップル」と書かせていただきます!
沖縄パインアップルの歴史
沖縄の澄み渡った青い空、そして青い海、美味しい沖縄料理、そしてそして私の愛してやまない泡盛!もう考えただけで最高ですね!!いま直ぐにでも沖縄へ飛んで行きたい~。
沖縄の名産品は多数ありますが、その中でも希少な存在と言えるのが『沖縄県産のパインアップル』ですね。
日本へ初めてパイナップルがやってきたのは1930年頃と言われています。
江戸時代末期にオランダ船によって運ばれてきたそうです。もう一説には、品種によっては台湾から石垣島に入ってきた…と云う説も有ります。
石垣島では、昔は生で食するより加工して缶詰めにして販売していたようで、缶詰工場が数多くあったようです。今ではほとんどが生果での対応の為、缶詰工場は殆ど見る事が有りません。
パイナップルの輸入品と国産品はどれくらい?
よく店頭に並ぶパインは、圧倒的に輸入物のパイナップルが多いです。
販売している主な産地はフィリピンが約9割以上締めていて、他には台湾、タイ等東南アジアや南米物が中心になっています。世界的に見て生産量が1位はコスタリカ、2位ブラジル続いてフィリピン、タイ、インドネシアなどです。
国産のパインの主な産地としては、沖縄県内と鹿児島県内の一部のみで栽培されています。加工品も含め、生鮮品として流通している国産のパインは約4%前後ほどと言われています。
沖縄のパインアップル栽培の様子
※写真をよ~くみていただくと、葉の間に小さいパインアップルの実が成っているのが見えますか?カワイイですね!
沖縄県内でも、基本的には「酸性土壌」の地区でパインアップルの栽培が行われています。
県内でも沖縄本島北部の山原(やんばる)と呼ばれている名護市以北、石垣島を中心とした八重山地区(西表島等)に限られています。
石垣島などは、沖縄本島に比較して平均温度が約1℃程高い為、美味しいパインが収穫されると云われています。その中でも八重山地区での生産量は約1.7%程度ほどの希少さです。
パインアップルは1苗から1本だけ!
パインアップルの栽培って想像以上に年月がかかるんですよ。
まず、苗を植えてから2年経って初めて収穫が出来ます。1つの苗から収穫できるのは実1本だけなんです。
そして、翌年もう1回、また実1本だけ収穫します。その後は苗を抜いて、新しく植え替えてしまうのが一般的なんだそうです。
つまり、1本の苗から実は2本しか収穫できないんですね。収穫できるようになるまで2年待って、それから各年1回づつだけ。パインアップルって、とても希少なんです。
ちなみに、ゴールドバレルなどの品種によっては3年に1回の収穫と云われています。
パインアップル畑の日焼け止めネット
実際に沖縄のパインアップル畑を見に行った時は驚きました!
写真を見ていただくと、畑一面が黒いネットに覆われているのがわかりますか?この黒いネットは、なんと「パインアップルの日焼け防止」の為なんだそうです。
パインアップルの栽培には強い陽の光が必要ですが、土地柄、あまりにも陽が強すぎてもパインが日焼けしてしまう事が有るんだとか。びっくりですよね。
沖縄産パインアップルのおすすめ品種5つを詳しくご紹介いたします
パインアップル界にも、多種多様な品種が存在します!
結構ユニークな名前が付いている品種もあって面白いんですよ。今回は、沖縄産のパインアップルの中でも私、杉本おすすめの品種5つをご紹介いたしますね。
スムースカイエン種
定番で良く見かけるのがこの品種です。
「N67-10(エヌ種)」とか、「ハワイ種」とも呼ばれています。沖縄県では沖縄本島や石垣島で一般的に多く栽培されていますね。旬は5月~8月頃でしょうか。
酸味と甘みのバランスが良く、ジューシーで完熟した果肉は口の中でとろけるような柔らかさもあります。生食だけでなく加工品にも最適です。
むきむきパイン
別名「ボゴールパイン」「スナックパイン」と呼ばれる品種です。
当店では「むきむきパイン」と云う名で販売していました。その名の通り、手でちぎってむいて食べるパインアップルなんです!
台湾が原産での品種で、果肉を手でちぎって食べられるお手軽さが魅力です。パインの底のお尻をカットしたら、指先で果肉をちぎりながら、スナック感覚で一口ずつ食べられる珍しさが人気です。
甘味と酸味のバランスが良く、果肉が柔らかくとてもジューシーです。特に甘味が強いのが最大の特長です。一説には糖度が18度近くになるほどの実も。
最盛期は4月~7月位まで。1本あたり700g~1kg位が主なサイズになります。
このパインは芯まで食べる事が出来るので、普通のパインと比べても可食部分が多くシャクシャクした歯ごたえが楽しめます。
ただし、葉の部分は周囲に細かなギザギザとげが有るので注してくださいね。
ピーチパイン
正式品種名は「ソフトタッチ」と云います。元々が沖縄生まれのパインです。
桃の様な甘い香りがすることから「ピーチパイン」と呼ばれています。果肉がやや白っぽく甘い香りがすることから「ミルクパイン」とも呼ばれることがあるようです。
白っぽい果肉はとても柔らかくジューシーです。外側の果皮が全体に赤みがかってきたら食べごろです。サイズはやや小ぶりで約600g~800g位です。
収穫時期が短く、凡そ2ヶ月ほど位しかありません。石垣島では少し早めの4月中旬~6月中旬位、沖縄本島では6月中旬~7月下旬位で、最盛期はだいたい5月頃~7月位までです。
ゴールドバレル
究極のパインアップルと云われるほどの超高級品です!
沖縄県が約20年の歳月を費やして開発し、平成17年に誕生した沖縄生まれの超高級品種です。高級品種だけあって、価格もやはり高めですね。だいたい1本が約2,000円前後位で販売され、化粧箱入りで1本5,000円以上の値がつく物もあるとか。
いつか一度は食べてみたい品種ですね!
このゴールドバレルの特長は、酸味が殆ど無く、糖度が高く、蜜の様な甘さ。また、果肉の繊維が少ないため、とても柔らかく溢れんばかりの果汁でいっぱいです。
産地はやはり石垣島と沖縄本島の山原(やんばる)地区の一部の限られた生産者のみが栽培している品種です。出荷時期もピークが7月中旬から約2週間くらいしかないと云われています。
サイズは比較的大きめで、1本あたりが大体1.5kg位。大きいものだと1本で2kg以上の大物も有るようです。
ティーダパイン
そして、特に私のお気に入りの品種は、石垣島の生産者・當銘敏秀さん限定栽培の「ティーダパイン」です。石垣島の太陽をたっぷり浴びて育った極上のパインアップルです!
ティーダパインの特長は、先ず一言何より「うまい!!」これにつきます。
「ティーダ」とは沖縄の方言で「太陽」を意味しています。正に石垣島の太陽をいっぱいに浴びたパインアップルと云えます。
果肉の色は真っ黄色で果肉は柔らかく、酸味が少なく、甘味がとても強くジューシーで、濃厚だけど決してしつこくない食味に感動すること間違いなし!
栽培方法にもとてもこだわっていて、化学肥料や農薬を減らすことに成功。
代わりに有機発酵肥料などを使用し、安全で環境に優しいパイン栽培を行っていると云う事で、當銘さんの栽培する「ティーダパイン」は全国の学校給食にも人気で製造が間に合わないくらいなんだとか。
ちなみに、学校給食で出される場合は冷凍カットパインにするそうです。半解凍位で食べるとこれまた絶品の美味しさです!
パインアップルのカリスマ生産者の當銘さん
生産者は石垣島島内でもカリスマ生産者と云われる「當銘敏秀さん」(とうめさん)です。
當銘さんはパインの栽培歴20年近くを誇るベテラン生産者で、機械化や環境保全型の農業経営が高く評価され、2009年の第10回全国果樹技術経営コンクールにおいて沖縄県初の農林水産大臣賞を受賞した唯一の生産者です。
私自身も當銘さんとは2007年頃からのお付き合いで、農林水産大臣賞受賞の前から當銘さんのパインを販売していました。
もちろん今でもお付き合いがあり「ティーダパイン」を販売していますし、石垣島へ行くたびに當銘さんの処に入り浸っています。このブログを書いている最中も、當銘さんに電話してお話しを聞いています。
當銘さんいつもありがとうございま~す!また沖縄へ行きますね!
☆2018年4月追記☆
2018年4月、私と若手の大村くんが一緒に沖縄出張に行ってきました!
その道中記ブログも書きました。當銘さんにもお会いしてきましたよ。
沖縄の皆さん、いつもありがとうございます!
まだまだあります、沖縄のパインアップル
とくに私個人が気に入っている5つの品種を詳しく紹介しましたが、沖縄にはまだまだ様々な品種のパインアップルがあります!
名前もユニークで、それぞれ特長があります。いまパッと思いつくのは、「サマーゴールド種」「芳香パイン」「ゴールドパイン」「黄金パイン」等々…。
沖縄へ行った際は、ぜひ皆さまお気に入りのパインアップルを探してみてくださいね。
美味しいパインアップルの見分け方&美味しく食べる方法
さて、様々な品種についてお話しして、次はお店に行った時、店頭に並ぶパインアップルの中から美味しい実を選ぶコツなどをご紹介いたします。
参考にしてみてくださいね。
美味しいパインアップルの見分け方のコツ
どんなパインを探したらよいか?
- まずは葉の色が濃い緑で、葉先までしっかりピンとしているもの。
- 胴は下膨れの形で、色は全体が黄色みを帯びているもの。※胴の色が青めだと未熟なものが多くありますので注意です。未熟果は酸っぱい可能性が…。
- 甘い香りがするもの。
- 手に持ってずっしりと重いもの。
以上の4点が、美味しいパインアップルのサインです。ぜひ注目してみてください!ちなみに、お尻にカビが有るものは古いものですから選ばないでくださいね。
パインアップルの美味しい食べ方
パインアップルは追熟しません。買ってきてから家に置いておいても、熟度が進むことはありません。時間が経つと果皮が黄色く柔らかくなるため、熟す様に思われがちですが、糖度が上がるわけではなく、酸味が和らぐのです。
追熟はしませんが、1日2日くらい「さかさま」にして置いておくと美味しくなるんですよ。
パインアップルは糖分が下(おしり)の方に沈んでいるので、葉っぱ(葉はそのままでも、取っても良いです)の部分を下にして、そのまま1~2日、常温の涼しい場所で置いてみてください。そうすることで、果肉全体に甘味がまわり均一に甘味を楽しんで頂けます。
葉っぱは簡単に取れます。葉と果実をそれぞれ左右の手で持ちお互い反対側へ捻ると簡単に葉が取れますので、是非試してみてください。
葉っぱの取り方や、パインアップルの切り方、盛り付け方について青果チームの田中がブログ記事を書きました。ぜひこちらのブログも読んでみてくださいね!
こんな風にこだわって頂けると、ご自宅でも沖縄(石垣島も含め)へ行ったつもりで楽しんで頂けます。
杉本
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