熊本県産の西瓜について青果担当が語ります

皆さんこんにちは。 最年長青果担当の杉本です。

最近は酷く寒い日が有ったり、はたまた急に温かくなってみたりで年齢を増すと中々気温に身体が馴染めず結構厳しいで~す。

3月の初めに市場へ行ったところ熊本名物の「くまモン」が多くいました。

良~く見ると熊本県産(熊本県経済連扱い)の西瓜が初入荷していました。

熊本県産の西瓜について青果担当が語ります(くまモンマーク)

まだ肌寒い季節でも西瓜の入荷が始まります

え~まだまだ寒い日が有るのにもう‟西瓜“と思われるかもしれませんが、実はもうとっくに他の産地の西瓜が入荷している処が有るんですよ。

例えば沖縄県産とか高知県産の小玉系などがいち早く入荷していました。

熊本県の西瓜と云えば、収穫量、出荷量とも日本一の産地です。

次いで千葉県(八街、冨里等)、山形県(尾花沢)、がそれぞれ10%を超える産地で続いて鳥取県、長野県、新潟県などが続きます。紹介の各県で日本のほぼ60%近くになります。

西瓜は3月の沖縄県からスタートして季節と共に南の産地から徐々に北上して最後8月、9月には東北から北海道まで登って西瓜の時期が終了します。

西瓜のイメージからどうしても旬の時期は夏場と思いがちだと思いますが、熊本県産の西瓜の主な出荷時期は、3月初めからスタートして徐々に増えて来てピークは4月下旬から5月いっぱいで6月にはほぼ終了します。

ですから、真夏の暑い時期にはあまり見られない産地なんです。

私も百貨店時代にはゴールデンウィークの頃に、大玉の西瓜を何と1玉7,000円~8,000円位でで販売していたことが有りました。

熊本の西瓜の特長

熊本県産の西瓜について青果担当が語ります(かもとのすいか)

NO1産地の熊本県は昔から(一説によると戦国時代から栽培していたと云う話もあるそうですが????)西瓜の産地としては有名で、優良産地が県内に点在しています。

県内のJAで云うと、JA鹿本、JAかみましき、JA菊池、JA玉名、JA熊本市などが有りますが、幾つかの産地が合併して従来の産地の呼び名が変わっている処もあります。

熊本のブランド産地・植木の西瓜とは

その中でも特に有名なのがJA鹿本管内にある「植木町(うえき)」です。

地区、市町村規模でも全国第一位の生産量を誇り、全国からのプロと云われる人達が集まる町として知られていると云われています。

特にJA鹿本では「夢大地」ブランドで販売をしています。

西瓜以外でも多くの農産物を生産出荷しています。みかん、デコポン(不知火)、苺、完熟金柑(夢小町)太秋柿、梨の果実と最近特に有名になったお米「森のくまさん」等などが有ります。

その中でも、昔から植木の西瓜は私達の様に古い青果担当者にとって「西瓜」と云えば「植木」、「植木」と云えば「西瓜」と云われる位超有名なブランド産地です。

「植木の西瓜」を店舗で販売することは、高級店としての誇りでもありました。

でも販売価格が高い為、中々売れないので良く試食販売したことが有りました。試食は大好評でした!!当たり前ですよね、1玉7~8,000円位もする西瓜の試食ですからね・・・・・

勿論今でも西瓜の産地を代表する地域であることは間違いありません。

西瓜の名産地・植木町を訪れた当時の思い出

思えば、今から約30年近く前に初めて西瓜の産地として「植木町」を訪れた時の印象は今でも忘れられません。

それは今では当たり前の様にどこの西瓜の産地の選果場では見られる光景ですが、光センサーで糖度と中身の空洞化をチェックし、ロボットの様なマジックハンドで西瓜を持ち上げ、箱詰めしてしまうと云うとんでもない選果風景でした。

このショックは約30年経った今でも鮮明に浮かんできます。又、生産者の方々のお住まいも見た目から豪華で正に「西瓜御殿」と呼ぶにふさわしい光景でした。昔は、他の産地でも「西瓜御殿」「メロン御殿」等と呼ばれる位農家さんて儲かっていたんですね。

以前は熊本の西瓜と云うと大玉が当たり前でしたが、最近では次代の流れも有るのか「小玉西瓜」も多く生産して来ています。

熊本の西瓜の人気の理由とは

それでは何故熊本県産西瓜は人気なのでしょうか。

それはやはり美味しいからの一言に他なりません。

見た目だけが良くても味が今一ではやはり評価されませんし、長年トップランクのブランド産地として評価されるだけの事をやり続けているからでしょうね。

熊本西瓜の美味しさの秘密の一つは、ビニールハウスで栽培されている事(トンネル栽培と云われています。特に重油を焚く事は有りませんが、ビニールをハウスに2重、3重に被覆する事もあります)で、高温と強い光を必要とする西瓜がハウス内で光を吸収し甘く育ちます。

熊本は盆地性の気候で一日の寒暖差が大きい事も美味しい西瓜を育てる条件になっています。

もう一つは栽培特徴にあります。

こだわりの西瓜つくりとして大玉西瓜は1株に1個、小玉スイカは1株に2個しか収穫しません。大きく、甘く育てる為に着果数を制限して1個ずつにそれぞれ着果標識を立て、その標識を目印に収穫しているからこそ美味しい西瓜が出来るんですね。

大玉西瓜の特長とは

大玉西瓜の味の特徴は、皆さんも西瓜を召し上がって分かる様に特に甘味が強く、独特のシャリ感が有るのが特徴です。

糖度凡そ12度前後有るので、とても甘く感じます。

大玉西瓜の品種は数多くありますが、一般的には「縞王」「富士光」「春だんらん」「祭りばやし」「肥後浪漫」などが有ります。

小玉西瓜の特長とは

小玉スイカは、こちらも甘味が強いですが、一般的には大玉に比べるとシャリ感が足らないと思われていましたが、最近は甘いうえに、シャリ感も大玉に負けないくらいのひとりじめと云われる人気の品種が出てきました。

食べたらおいしいので誰にも上げたくないので「ひとりじめ」したくなるほど美味しい、という思いから名付けられたとも云われています。

又、小玉スイカで少し毛色の変わった黒皮系の小玉西瓜ひとりじめBONBON(ボンボン)」という品種も出て来て、こちらも高価ですが人気が有るようです。

小玉スイカは、丸ごと冷蔵庫に入れる事が出来るという良さが売りでしたが、皮際まで美味しく食べれるので人気上昇中です。

小玉スイカの品種では他に「姫甘泉(ひめかんせん)」等と云う品種も出てきています。

青果担当おすすめの熊本の西瓜の品種とは

一説によると、西瓜の品種は大玉、小玉併せて1,000種類もあると云われています。

そんな数ある西瓜、それも熊本の西瓜の中で私の一番のお薦めの西瓜は「肥後浪漫@」と云う大玉西瓜です。

熊本県産の西瓜について青果担当が語ります(肥後浪漫西瓜)

出会いはもう15年以上になりますが、東京の百貨店の中の青果の売り場に居たころに紹介されて一度食べてからあまりの美味しさにビックリ、それ以来ずっと追いかけている西瓜です。

「肥後浪漫」は大玉西瓜なので、大玉特有のシャリ感、強い甘味のほかに西瓜特有の風味を強く感じる事が出来る品種なんです。

「肥後浪漫」は前にも紹介している「植木町」の篤農家の生産者(36名・平均年齢55歳)の皆さんが中心になって丹精込めて栽培しています。

現在どこでも販売されている西瓜の品種では有りません。特定の販売先のみへの出荷になっています。販売の大元は我々も「みかん」でお世話に成っている熊本市内の市場内の仲卸の「双葉」さんの登録商標品です。

元々は茨城県の西瓜専門の種苗会社で開発された品種で、化学肥料や化学農薬の使用量を極力減らして、熊本県内での慣行栽培の半分以下に抑えた栽培方法で育てています。

西瓜好きの方は、ぜひ探して一度は召し上がって見てください。ご満足いただけると確信しています。

西瓜の雑学

後、雑学として覚えていてください。

「西瓜」はスーパーマーケット等ではフルーツの売り場で販売されていますが、実際の農水省での分類上は「野菜」として扱われているんですよ。

そんな種類のフルーツとしては「苺」「メロン」等が有ります。ご存知でしたか?

「西瓜」「苺」「メロン」等は野菜同様に土から栽培され、「みかん」「柿」「リンゴ」「梨」「桃」等は落葉果樹と云って樹に実がなる事から「野菜」「果実」と区分けされている様です。

因みに熊本県では、農協で生産される「西瓜」「苺」「メロン」は熊本県経済連扱いとなり、「みかん」「柿」「梨」「金柑」「栗」等は熊本県果実連扱いとなっています。

皆さんにとってはどうでも良い事ですが・・・・

皆さん今年は是非4月後半から「熊本県産」の美味しい大玉西瓜、と小玉西瓜を

是非とも召しあがって見てください。

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杉本

杉本

2003年入社。新潟県出身の66歳(2018年現在)です。学生時代から百貨店で青果販売に従事し、青果の道一筋に45年以上。市場で大野会長と知り合い、人柄に惚れてオージーフーズへ入社を決めました。好きなフルーツは柿とぶどうです。青果のことなら何でも聞いてください。趣味は産地訪問とスポーツ観戦です!